最近のハリウッド映画は家族の絆を強調した映画が多い。失業者が続出でお金ない、車ない、家もない。そんなアメリカの貧乏人を惹きつける映画を描くとなると、手っ取り早いところで家族を礼賛することであり、そんな内容の映画ばかりが流行ってしまうのか。
しかし、現状のアメリカは離婚率が高い国。そんな国が製作する映画としては、家族礼賛では無く、家庭崩壊を描いた内容の方がリアリティがある。
突然に予測しない不幸が起きて、もろくも家庭が崩壊していく様子が描かれた映画が今回紹介する普通の人々
しかし、派手なシーンがあるわけでも無く、淡々と進んでいく印象。よってアクションは無いし、笑いも無い、熱い感動があるわけでもない。ハリウッド映画に有り勝ちな大げさな表現は全く無い。本当はかなり大変なことが起こっているのだが、そんなところには時間を掛けずに、人間描写を丁寧に描いた映画だ
アメリカ人の印象として、喜怒哀楽の気持ちをストレートに表現するイメージがあるのだが、この映画の登場人物たちは心の中に悩み、葛藤、怒りを押し殺している。家族同士においても、自分の気持ちを言葉で伝えることをしない。
特にこの映画の主人公である青年は、ある大きな事件に対して、とことん自らを責めまくる。ところが自らを責めれば責めるほど、自分への癒しにならずに、満足感も得られず、さらに苦しみもがくことになってしまう。しかも、自分の悩みを全く他人に打ち明けることができない。
日本人のような奥ゆかしい民族から見ても、そんな主人公にイライラするぐらいだ。果たして、この主人公は永遠に自らを責め続けるのか?この主人公に本当の癒し、安らぎが来るのか?
さて、そんなイライラさせる青年が主人公のスト-リーとはどのような内容か
ボート遊びをしていた兄弟のバックとコンラッド(ティモシー・ハットン)だったが、ボートの転覆事故により、兄のバックが死んでしまう。兄を死なせてしまったのは自分だと、罪の意識に悩まされていたコンラッド(ハットン)は手首を切って自殺を図るが、未遂でおわる。
そんな事件があって以来、兄のバックをひたすら愛していた母のベス(メアリー・タイラー・ムーア)はコンラッド(ハットン)に対して愛情を示すことはなく、ひたすら冷たく当たる。コンラッド(ハットン)も心を閉ざしてしまって誰とも話そうとしない。そんな上手くいかない母子関係、何も話したがらないコンラッド(ハットン)に父親のカルビン(ドナルド・サザーランド)は、大そう悩んでいた。
ひたすら罪悪感に支配され、悪夢にうなされていたコンラッド(ハットン)だったが、カルビン(サザーランド)の忠告もあり精神科医のバーガー(ジャド・ハーシュ)に診てもらう事を勧められるが、コンラッド(ハットン)はバーガー(ハーシュ)に対して打ち解けることが出来ないでいた。
相変わらずベス(ムーア)はコンラッド(ハットン)に対して冷たいが、コンラッド(ハットン)は同じ合唱隊に所属するジェニン(エリザベス・マクガヴァン)と親しくなる。やがてコンラッド(ハットン)は様々な困難、ショックを乗り越えて、自ら閉ざしていた心を開けつつあったのだが・・・
有能な弁護士だが頼りなさそうな父親のカルビン(サザーランド)、冷淡で家事よりもゴルフばかり行く母親のベス(ムーア)、そして神経質過ぎるコンラッド(ハットン)の三人が織り成すホームドラマ。それぞれに欠点があるが、誰がどう見ても母親のベス(ムーア)が一番悪い存在だろうと思うのだが、観る人によっては母親の立場に同情できるのか。
救いようの無い3人家族に対して、暖かい気持ちで接する周囲の人たちの存在が唯一の救い。家族同士が顔を突き合わせると感情的になってしまうが、家族以外の他人と一緒に居るほうが自分らしく振る舞える様子が描かれているが、妙に納得できるし、人間関係の難しさを浮き彫りにする。
そして絶望と再生を同時に見せる結末は、色々なことを考えさせられ、余韻がいつまでも残ります。
ちなみにこの映画は町並みを映し出す風景が綺麗、そして音楽(よく耳にする音楽ですが、タイトルがわかりません)が良い。映画における風景、音楽の役割は改めて重要だと言うことに気づきます。
絶望的な中に、ほんの少しの希望を感じることができる映画を観たい人、最近のハリウッド映画のハッピーエンドの結末が家族の絆ばかりに飽きてきた人には普通の人々はお勧めです
監督は明日に向かって撃て!、スティング等の出演で知られる、大スターロバート・レッドフォード。今ではメル・ギブソン、クリント・イーストウッド等大スターとしてだけでなく、映画監督としても優秀な作品を撮る人が出てきましたが、もしかしたらその先駆けとなったのがロバート・レッドフォードだと思います。
個人的にはノスタルジックな作品を撮るイメージがあります。リバー・ランズ・スルー・イット、モンタナの風に抱かれて等がお勧め。さらに社会派映画にも才能を見せる監督でクイズ・ショウ、大いなる陰謀も良いです。
ちなみに個人的に彼の作品で1番好きなのはミラグロ/奇跡の地。環境破壊をテーマにしながら、どこかお伽噺のような雰囲気のある映画です。
ひたすら自分を責めまくるコンラッド役はティモシー・ハットン。タップス、メイド・イン・ヘブン等、若い時は演技派として売れていました。最近はロマン・ポランスキー監督のゴースト・ライターで健在なところを見せています。
悩める父親のカルビンを演じたのが名優ドナルド・サザーランド。主役からチョイ役まで出演しまくっているイメージがあります。
ロバート・アルトマン監督のM★A★S★H マッシュ、クリント・イーストウッド監督のスペース・カウボーイがお勧めです。
ちょっと懐かしいところではティモシー・ハットンの恋人役でエリザベス・マクカヴァンが出演しています。彼女の出演作品ではロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ共演のワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカがお勧めです。今のところ彼女の代表作だと思います。
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しかし、現状のアメリカは離婚率が高い国。そんな国が製作する映画としては、家族礼賛では無く、家庭崩壊を描いた内容の方がリアリティがある。
突然に予測しない不幸が起きて、もろくも家庭が崩壊していく様子が描かれた映画が今回紹介する普通の人々
しかし、派手なシーンがあるわけでも無く、淡々と進んでいく印象。よってアクションは無いし、笑いも無い、熱い感動があるわけでもない。ハリウッド映画に有り勝ちな大げさな表現は全く無い。本当はかなり大変なことが起こっているのだが、そんなところには時間を掛けずに、人間描写を丁寧に描いた映画だ
アメリカ人の印象として、喜怒哀楽の気持ちをストレートに表現するイメージがあるのだが、この映画の登場人物たちは心の中に悩み、葛藤、怒りを押し殺している。家族同士においても、自分の気持ちを言葉で伝えることをしない。
特にこの映画の主人公である青年は、ある大きな事件に対して、とことん自らを責めまくる。ところが自らを責めれば責めるほど、自分への癒しにならずに、満足感も得られず、さらに苦しみもがくことになってしまう。しかも、自分の悩みを全く他人に打ち明けることができない。
日本人のような奥ゆかしい民族から見ても、そんな主人公にイライラするぐらいだ。果たして、この主人公は永遠に自らを責め続けるのか?この主人公に本当の癒し、安らぎが来るのか?
さて、そんなイライラさせる青年が主人公のスト-リーとはどのような内容か
ボート遊びをしていた兄弟のバックとコンラッド(ティモシー・ハットン)だったが、ボートの転覆事故により、兄のバックが死んでしまう。兄を死なせてしまったのは自分だと、罪の意識に悩まされていたコンラッド(ハットン)は手首を切って自殺を図るが、未遂でおわる。
そんな事件があって以来、兄のバックをひたすら愛していた母のベス(メアリー・タイラー・ムーア)はコンラッド(ハットン)に対して愛情を示すことはなく、ひたすら冷たく当たる。コンラッド(ハットン)も心を閉ざしてしまって誰とも話そうとしない。そんな上手くいかない母子関係、何も話したがらないコンラッド(ハットン)に父親のカルビン(ドナルド・サザーランド)は、大そう悩んでいた。
ひたすら罪悪感に支配され、悪夢にうなされていたコンラッド(ハットン)だったが、カルビン(サザーランド)の忠告もあり精神科医のバーガー(ジャド・ハーシュ)に診てもらう事を勧められるが、コンラッド(ハットン)はバーガー(ハーシュ)に対して打ち解けることが出来ないでいた。
相変わらずベス(ムーア)はコンラッド(ハットン)に対して冷たいが、コンラッド(ハットン)は同じ合唱隊に所属するジェニン(エリザベス・マクガヴァン)と親しくなる。やがてコンラッド(ハットン)は様々な困難、ショックを乗り越えて、自ら閉ざしていた心を開けつつあったのだが・・・
有能な弁護士だが頼りなさそうな父親のカルビン(サザーランド)、冷淡で家事よりもゴルフばかり行く母親のベス(ムーア)、そして神経質過ぎるコンラッド(ハットン)の三人が織り成すホームドラマ。それぞれに欠点があるが、誰がどう見ても母親のベス(ムーア)が一番悪い存在だろうと思うのだが、観る人によっては母親の立場に同情できるのか。
救いようの無い3人家族に対して、暖かい気持ちで接する周囲の人たちの存在が唯一の救い。家族同士が顔を突き合わせると感情的になってしまうが、家族以外の他人と一緒に居るほうが自分らしく振る舞える様子が描かれているが、妙に納得できるし、人間関係の難しさを浮き彫りにする。
そして絶望と再生を同時に見せる結末は、色々なことを考えさせられ、余韻がいつまでも残ります。
ちなみにこの映画は町並みを映し出す風景が綺麗、そして音楽(よく耳にする音楽ですが、タイトルがわかりません)が良い。映画における風景、音楽の役割は改めて重要だと言うことに気づきます。
絶望的な中に、ほんの少しの希望を感じることができる映画を観たい人、最近のハリウッド映画のハッピーエンドの結末が家族の絆ばかりに飽きてきた人には普通の人々はお勧めです
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ドナルド・サザーランド | |
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン |
監督は明日に向かって撃て!、スティング等の出演で知られる、大スターロバート・レッドフォード。今ではメル・ギブソン、クリント・イーストウッド等大スターとしてだけでなく、映画監督としても優秀な作品を撮る人が出てきましたが、もしかしたらその先駆けとなったのがロバート・レッドフォードだと思います。
個人的にはノスタルジックな作品を撮るイメージがあります。リバー・ランズ・スルー・イット、モンタナの風に抱かれて等がお勧め。さらに社会派映画にも才能を見せる監督でクイズ・ショウ、大いなる陰謀も良いです。
ちなみに個人的に彼の作品で1番好きなのはミラグロ/奇跡の地。環境破壊をテーマにしながら、どこかお伽噺のような雰囲気のある映画です。
ひたすら自分を責めまくるコンラッド役はティモシー・ハットン。タップス、メイド・イン・ヘブン等、若い時は演技派として売れていました。最近はロマン・ポランスキー監督のゴースト・ライターで健在なところを見せています。
悩める父親のカルビンを演じたのが名優ドナルド・サザーランド。主役からチョイ役まで出演しまくっているイメージがあります。
ロバート・アルトマン監督のM★A★S★H マッシュ、クリント・イーストウッド監督のスペース・カウボーイがお勧めです。
ちょっと懐かしいところではティモシー・ハットンの恋人役でエリザベス・マクカヴァンが出演しています。彼女の出演作品ではロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ共演のワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカがお勧めです。今のところ彼女の代表作だと思います。
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