一攫千金の大チャンスが転がっていると言われるアメリカ合衆国だが、そんな物はハッキリ言って嘘。戦後の日本を支配したGHQの占領政策によって、アメリカは良い国だと多くの日本人は教えられた。そして多くの人がアメリカン・ドリームという言葉に憧れを持った。
しかし、今は昔ほどでは無いにしても実際はあの国はWASP(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント)と呼ばれるエリート意識を持った白人連中が牛耳る極めて排他的な社会であり、アフリカ系の黒人は奴隷として扱われ、白人でもアイルランド系、イタリア系、ユダヤ系等のマイノリティに属する人たちは社会的に虐げられて、中国系、日系の黄色人種も単に労働力としての扱い。誰もが平等にチャンスがあるなんて言われるが、これだけ差別がまかり通っている国においては、チャンスを手に入れる前に潰される。
だいたいゴールド・ラッシュにおける金を採掘したり、石油を発見したなどのような一攫千金で大金持ちなんて話に至っては、それこそ天文学的な確率での中からの成功者の人たちのことであり、その確率はジャンボ宝くじで1等を的中させるよりも、その数百倍(それ以上か?)は低い。
個人的にはそんな低い確率を巡って争って勝ち上がっていく事をアメリカン・ドリームとして憧れる事など、ほとんどボケた人の戯言ぐらいにしか思えない。しかし、洗脳とは恐ろしいもので今やあの国は今日でも路頭に迷う生活者が増えているのに、日本人の中にはまだアメリカンドリームに憧れている人が多いのは本当に驚き。
さて、今回紹介するわが心のボルチモアは東欧からアメリカに渡って来た家族の三世代の時の流れをユーモア、悲哀を交えつつ描かれる。
ストーリー構成は東欧からアメリカに渡って来たお祖父ちゃんが、まだ幼い孫にアメリカに来てから現在に至るまでの出来事を語るという構成。ところがこのお祖父ちゃんが孫に聴かせる話は、同じ話の繰り返しが多く、そして微妙に記憶がアヤフヤだったりでゆる~く笑わせる。
果たして、東欧から夢と希望を抱いてアメリカに渡ってきたお祖父ちゃんのアメリカの暮らしとは如何なる物だったのか?
1914年の7月14日、サム(アーミン・ミューラー=スタール)が東欧からアメリカに渡ってきたのはアメリカの独立記念日。その華やかな様子に、彼は夢と希望でいっぱいだった。
彼は先にアメリカに渡ってきた兄弟たちと一緒に暮らし、壁紙職人としてくらしていた。
やがてサム(アーミン・ミューラー=スタール)は同じ東欧出身の移民であるエヴァ(ジョーン・プローライト)と結婚し、息子ジュールス(エイダン・クイン)をもうける。
さらにジュールス(クイン)はアン(エリザベス・パーキンス)と結婚し、2人の間にはマイケル(イライジャ・ウッド)が生まれる。
それ以来、サム((アーミン・ミューラー=スタール)は孫のマイケル(ウッド)に東欧からアメリカにやって来てからの苦労話を語るのが日課となっていた。
やがてジュールス(クイン)はいとこのイジー(ケヴィン・ポラック)と共同で家電販売店を経営するが、宣伝効果もあり、大繁盛しようとしていたのだが・・・
この映画の大きな流れの見所として、アメリカに渡ってきた当初は兄弟四人を中心に結束が固かったのだが、故郷から父親を呼び寄せたり、それぞれが結婚して子供が産まれ、驚くほどの大家族になるにつれて、次第に家族がバラバラになってしまう所。
兄弟の中でも勝ち組、負け組みが存在し、それが嫉妬を生み出し、つまらないことを切欠にバラバラになっていく様子は核家族化している日本社会に生きる者たちが見ても決して他人事ではない切なさを感じる。
時々悲惨な事が起こったりするが、すぐにオチを入れて笑わせるなど暗い雰囲気は全く無い。最終的にはアメリカンドリームの崩壊を見せつけられるが、どことなくラストシーンはほんの少しの希望を感じさせる。
ちょっぴり笑えて感動し、家族って良いなと思わせられるのは勿論のこと、移民としてのアイデンティティーが世代を重ねるごとにアメリカナイズされていく描写は上手いです。大家族って良いな~と感じることができるわが心のボルチモアはお勧めです
監督は多くの名作を撮っているバリー・レヴィンソン。ロビン・ウィリアムズ酒主演のグッドモーニング、ベトナム、ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ競演のレインマン、ウォーレン・ベイティー主演のバグジー、ロバート・レッドフォード主演のナチュラル等、ノスタルジックな作品を撮らせると良い映画を作ります。
他にマイケル・ダグラス、デミ・ムーア競演の大企業内でのパワハラ、セクハラを描いたディスクロージャーもお勧めです。
主役のサムを演じるのがアーミン・ミューラー=スタール。大ベテランの俳優ですが最近でも悪役などで存在感を発揮しています。
デヴィッド・クローネンバーグ監督のイースタン・プロミスがお勧め。他にトム・ティクヴァ監督のザ・バンク 堕ちた巨像、トム・ハンクス主演の天使と悪魔がお勧め。
孫のマイケル役でイライジャ・ウッドがまだ少年ですが出演していました。代表作はロード・オブ・ザ・リングシリーズ。他にロバート・ロドリゲス監督のシン・シティでは無口な殺し屋を演じていたのが印象的です。
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しかし、今は昔ほどでは無いにしても実際はあの国はWASP(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント)と呼ばれるエリート意識を持った白人連中が牛耳る極めて排他的な社会であり、アフリカ系の黒人は奴隷として扱われ、白人でもアイルランド系、イタリア系、ユダヤ系等のマイノリティに属する人たちは社会的に虐げられて、中国系、日系の黄色人種も単に労働力としての扱い。誰もが平等にチャンスがあるなんて言われるが、これだけ差別がまかり通っている国においては、チャンスを手に入れる前に潰される。
だいたいゴールド・ラッシュにおける金を採掘したり、石油を発見したなどのような一攫千金で大金持ちなんて話に至っては、それこそ天文学的な確率での中からの成功者の人たちのことであり、その確率はジャンボ宝くじで1等を的中させるよりも、その数百倍(それ以上か?)は低い。
個人的にはそんな低い確率を巡って争って勝ち上がっていく事をアメリカン・ドリームとして憧れる事など、ほとんどボケた人の戯言ぐらいにしか思えない。しかし、洗脳とは恐ろしいもので今やあの国は今日でも路頭に迷う生活者が増えているのに、日本人の中にはまだアメリカンドリームに憧れている人が多いのは本当に驚き。
さて、今回紹介するわが心のボルチモアは東欧からアメリカに渡って来た家族の三世代の時の流れをユーモア、悲哀を交えつつ描かれる。
ストーリー構成は東欧からアメリカに渡って来たお祖父ちゃんが、まだ幼い孫にアメリカに来てから現在に至るまでの出来事を語るという構成。ところがこのお祖父ちゃんが孫に聴かせる話は、同じ話の繰り返しが多く、そして微妙に記憶がアヤフヤだったりでゆる~く笑わせる。
果たして、東欧から夢と希望を抱いてアメリカに渡ってきたお祖父ちゃんのアメリカの暮らしとは如何なる物だったのか?
1914年の7月14日、サム(アーミン・ミューラー=スタール)が東欧からアメリカに渡ってきたのはアメリカの独立記念日。その華やかな様子に、彼は夢と希望でいっぱいだった。
彼は先にアメリカに渡ってきた兄弟たちと一緒に暮らし、壁紙職人としてくらしていた。
やがてサム(アーミン・ミューラー=スタール)は同じ東欧出身の移民であるエヴァ(ジョーン・プローライト)と結婚し、息子ジュールス(エイダン・クイン)をもうける。
さらにジュールス(クイン)はアン(エリザベス・パーキンス)と結婚し、2人の間にはマイケル(イライジャ・ウッド)が生まれる。
それ以来、サム((アーミン・ミューラー=スタール)は孫のマイケル(ウッド)に東欧からアメリカにやって来てからの苦労話を語るのが日課となっていた。
やがてジュールス(クイン)はいとこのイジー(ケヴィン・ポラック)と共同で家電販売店を経営するが、宣伝効果もあり、大繁盛しようとしていたのだが・・・
この映画の大きな流れの見所として、アメリカに渡ってきた当初は兄弟四人を中心に結束が固かったのだが、故郷から父親を呼び寄せたり、それぞれが結婚して子供が産まれ、驚くほどの大家族になるにつれて、次第に家族がバラバラになってしまう所。
兄弟の中でも勝ち組、負け組みが存在し、それが嫉妬を生み出し、つまらないことを切欠にバラバラになっていく様子は核家族化している日本社会に生きる者たちが見ても決して他人事ではない切なさを感じる。
時々悲惨な事が起こったりするが、すぐにオチを入れて笑わせるなど暗い雰囲気は全く無い。最終的にはアメリカンドリームの崩壊を見せつけられるが、どことなくラストシーンはほんの少しの希望を感じさせる。
ちょっぴり笑えて感動し、家族って良いなと思わせられるのは勿論のこと、移民としてのアイデンティティーが世代を重ねるごとにアメリカナイズされていく描写は上手いです。大家族って良いな~と感じることができるわが心のボルチモアはお勧めです
わが心のボルチモア [DVD] | |
バリー・レビンソン | |
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント |
監督は多くの名作を撮っているバリー・レヴィンソン。ロビン・ウィリアムズ酒主演のグッドモーニング、ベトナム、ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ競演のレインマン、ウォーレン・ベイティー主演のバグジー、ロバート・レッドフォード主演のナチュラル等、ノスタルジックな作品を撮らせると良い映画を作ります。
他にマイケル・ダグラス、デミ・ムーア競演の大企業内でのパワハラ、セクハラを描いたディスクロージャーもお勧めです。
主役のサムを演じるのがアーミン・ミューラー=スタール。大ベテランの俳優ですが最近でも悪役などで存在感を発揮しています。
デヴィッド・クローネンバーグ監督のイースタン・プロミスがお勧め。他にトム・ティクヴァ監督のザ・バンク 堕ちた巨像、トム・ハンクス主演の天使と悪魔がお勧め。
孫のマイケル役でイライジャ・ウッドがまだ少年ですが出演していました。代表作はロード・オブ・ザ・リングシリーズ。他にロバート・ロドリゲス監督のシン・シティでは無口な殺し屋を演じていたのが印象的です。
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