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子供の時はひたむきで純粋な心を持っていたのに、大人になると欲望にまみれてすっかり堕落してしまった人をよく見かける。まあ、俺なんかはいつまでも少年のような気持ちをずっと持ち続けている方だ。しかし、そんな俺でも誘惑に負けてしまいそうな時がしょっちゅうある。特に性欲と食欲を抑えるのが大変だ。
この世に生まれてから3年しか経っていないのに、もう大人にはなりたくないと自ら成長を止めてしまったオスカル君のお話が、今回紹介する映画ブリキの太鼓。ドイツのノーベル文学賞受賞作家ギュンター・グラスの同名小説を原作とする映画化作品だ。
オスカル君が自らの半生を語る形でストーリーが進んで行くが、現在のポーランドにある自由都市ダンツィヒが舞台であり、ナチスドイツが台頭する第二次世界大戦の前後が時代背景(1927年~1945年)が主に描かれている。ちなみにオスカル君は1924年に生まれるのだが、映画自体は彼が生まれるより前の1899年のお祖母ちゃんと放火魔の男がひょんな事から結ばれて妊娠してしまうシーンから始る。そして生まれたのがオスカル君の母親。さらにオスカル君の誕生秘話も映画の中で描かれるが、これが結構俺には笑えた。
3歳で成長することを止めたオスカル君だが案の定と言うべきか、相当変な子供だ。3歳の誕生日のお祝いにもらったブリキで出来た太鼓を片時も放さずにずっと持ち歩き、ところかまわず太鼓を叩きまくるような非常にはた迷惑な3歳児。そして彼には驚くべき超能力が成長を止めた瞬間から備わった。それは『きゃ~』と叫び声をあげるとガラスが割れること。羨ましいと思わないどころか、全く何の役にも立たないような超能力に思えたのだが、意外にも後半ではこの超能力が大活躍する。
大人の猥褻な行為にすっかり幻滅し、3歳で成長を止めてしまったオスカル君の目には第二次世界大戦前後の特異な時代はどのように写ったのか!何だかエログロの強烈なインパクのあるシーンばかりが印象に残るが、それはそのままオスカル君が感じた大人の世界を表わしているのだろうか。そして肉体は3歳のままでも、様々な経験により精神の方は3歳のままでは居られない。普通の青年と同じように女性に興味を持ってしまう。
寓話的要素と戦争の悲劇を思い知らされる現実が入り混じったようなストーリーの紹介を。
1899年、自由都市ダンツィヒ(現在のポーランドのグタニスク)において、荒野で芋を焼いていたアンナは警官に追われていた放火魔の男を自らのスカートの中に隠すが、それがもとで妊娠し、女の子アグネスを産む。
1924年、アグネスはオスカル(ダーフィト・ベンネント)を産む。アグネスはアルフレート(マリオ・アドルフ)と結婚していたのだが、従兄で恋人のヤン(ダニエル・オルブリフスキー)とも愛し合っていたために、どちらがオスカル(ダーフィト・ベンネント)の本当の父親なのかはわからない。
1927年、3歳になったオスカル(ダーフィト・ベンネント)は誕生日のお祝いに母のアグネスからブリキの太鼓をもらうのだが、その場に居た大人達の狂乱した様子に幻滅したオスカル(ダーフィト・ベンネント)は、その日から身長が1cmでも伸びることを拒むために階段から飛び降りて成長することを止めてしまう。
それ以来オスカル(ダーフィト・ベンネント)は片時もブリキの太鼓を離そうとせず、しかも叫び声をあげると周囲のガラスを割る超能力を身につけてしまう。やがて第二次世界大戦が勃発し、自由都市ダンツィヒにナチスドイツが侵攻。そんな激動の時代の最中にオスカル(ダーフィト・ベンネント)は様々な人々の出会い、永遠の別れを経験するのだが・・・![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/atten.gif)
階段から飛び降りて成長が止まるわけがないだろう、なんて思いながら観ていたのだが、こんな事って本当にあるのかよ!?何だか変てこりんなストーリー展開もさることながら、結構色々と強烈なシーンを見ることができる。オスカルが子宮から出てきて誕生するシーン、浜辺で馬の首が引き上げられてからウナギがウヨウヨ出てくるシーン、お母さんのアグネスが魚を食いまくるシーン、唾液で戯れるシーン、3歳のオスカルが若い女性のあそこの部分に顔をうずめるシーン等などエログロ描写がたくさん出てくる。そしてサーカス団に属する小人達の存在も何だか非常に意味深だ。これらのシーンは大人の世界に対する皮肉だと俺には感じられたのだが、何だか他にも重要なメッセージが隠されているような気がするのだが、果たしてそれは何なのか。
そしてそんな映像的な見どころと同時にオスカル君の身近の存在だった人が次々に死んでいくが、これなんかは非常に戦争の悲惨さを感じさせる。3歳で身体的成長を止めることが出来たとしても、目の前で人が死んでいく現実はオスカル君の精神面に対しては大きな変化を与えてしまうし、そして女性の存在は彼を否応にも普通の青年と同じような気持ちにさせてしまう。
あのシーンが意味することは何だったのかと深読みしたくなるし、もしかしたら大して意味が無いのかもと感じたりさせる非常に悩ましい映画。しかしながらカンヌ国際映画賞のパルムドール賞、アカデミー外国賞を受賞するなど世界的に名作として誉れの高い映画。そのような映画に限って退屈な内容に感じられてしまう時もあるが、本作はオスカル君の素っ頓狂な設定、インパクトのある映像が飽きさせずに見せてくれる。
今や懐かしい西ドイツの映画であるが、ちょっとヨーロッパの名作映画を観たいと思っている人、実は原作を既に読んでいるが映画はまだ観ていない人、ちょっと変わった内容の映画を観たい人には映画ブリキの太鼓をお勧めしておこう。
コチラが原作、かなりの長編です![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/down.gif)
ちなみに監督はフォルカー・シュレンドルフ。ヴィム・ヴェンダース、ヴェルナー・ヘルツォーク等と並び、ニュー・ジャーマン・シネマを代表する監督。この監督の作品は本作しか観ていませんが、最近もパリよ、永遠にを撮るなど、未だに創作力旺盛な監督です。この監督のお勧め作品があったら逆に教えて欲しいです![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_tehe.gif)
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この世に生まれてから3年しか経っていないのに、もう大人にはなりたくないと自ら成長を止めてしまったオスカル君のお話が、今回紹介する映画ブリキの太鼓。ドイツのノーベル文学賞受賞作家ギュンター・グラスの同名小説を原作とする映画化作品だ。
オスカル君が自らの半生を語る形でストーリーが進んで行くが、現在のポーランドにある自由都市ダンツィヒが舞台であり、ナチスドイツが台頭する第二次世界大戦の前後が時代背景(1927年~1945年)が主に描かれている。ちなみにオスカル君は1924年に生まれるのだが、映画自体は彼が生まれるより前の1899年のお祖母ちゃんと放火魔の男がひょんな事から結ばれて妊娠してしまうシーンから始る。そして生まれたのがオスカル君の母親。さらにオスカル君の誕生秘話も映画の中で描かれるが、これが結構俺には笑えた。
3歳で成長することを止めたオスカル君だが案の定と言うべきか、相当変な子供だ。3歳の誕生日のお祝いにもらったブリキで出来た太鼓を片時も放さずにずっと持ち歩き、ところかまわず太鼓を叩きまくるような非常にはた迷惑な3歳児。そして彼には驚くべき超能力が成長を止めた瞬間から備わった。それは『きゃ~』と叫び声をあげるとガラスが割れること。羨ましいと思わないどころか、全く何の役にも立たないような超能力に思えたのだが、意外にも後半ではこの超能力が大活躍する。
大人の猥褻な行為にすっかり幻滅し、3歳で成長を止めてしまったオスカル君の目には第二次世界大戦前後の特異な時代はどのように写ったのか!何だかエログロの強烈なインパクのあるシーンばかりが印象に残るが、それはそのままオスカル君が感じた大人の世界を表わしているのだろうか。そして肉体は3歳のままでも、様々な経験により精神の方は3歳のままでは居られない。普通の青年と同じように女性に興味を持ってしまう。
寓話的要素と戦争の悲劇を思い知らされる現実が入り混じったようなストーリーの紹介を。
1899年、自由都市ダンツィヒ(現在のポーランドのグタニスク)において、荒野で芋を焼いていたアンナは警官に追われていた放火魔の男を自らのスカートの中に隠すが、それがもとで妊娠し、女の子アグネスを産む。
1924年、アグネスはオスカル(ダーフィト・ベンネント)を産む。アグネスはアルフレート(マリオ・アドルフ)と結婚していたのだが、従兄で恋人のヤン(ダニエル・オルブリフスキー)とも愛し合っていたために、どちらがオスカル(ダーフィト・ベンネント)の本当の父親なのかはわからない。
1927年、3歳になったオスカル(ダーフィト・ベンネント)は誕生日のお祝いに母のアグネスからブリキの太鼓をもらうのだが、その場に居た大人達の狂乱した様子に幻滅したオスカル(ダーフィト・ベンネント)は、その日から身長が1cmでも伸びることを拒むために階段から飛び降りて成長することを止めてしまう。
それ以来オスカル(ダーフィト・ベンネント)は片時もブリキの太鼓を離そうとせず、しかも叫び声をあげると周囲のガラスを割る超能力を身につけてしまう。やがて第二次世界大戦が勃発し、自由都市ダンツィヒにナチスドイツが侵攻。そんな激動の時代の最中にオスカル(ダーフィト・ベンネント)は様々な人々の出会い、永遠の別れを経験するのだが・・・
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階段から飛び降りて成長が止まるわけがないだろう、なんて思いながら観ていたのだが、こんな事って本当にあるのかよ!?何だか変てこりんなストーリー展開もさることながら、結構色々と強烈なシーンを見ることができる。オスカルが子宮から出てきて誕生するシーン、浜辺で馬の首が引き上げられてからウナギがウヨウヨ出てくるシーン、お母さんのアグネスが魚を食いまくるシーン、唾液で戯れるシーン、3歳のオスカルが若い女性のあそこの部分に顔をうずめるシーン等などエログロ描写がたくさん出てくる。そしてサーカス団に属する小人達の存在も何だか非常に意味深だ。これらのシーンは大人の世界に対する皮肉だと俺には感じられたのだが、何だか他にも重要なメッセージが隠されているような気がするのだが、果たしてそれは何なのか。
そしてそんな映像的な見どころと同時にオスカル君の身近の存在だった人が次々に死んでいくが、これなんかは非常に戦争の悲惨さを感じさせる。3歳で身体的成長を止めることが出来たとしても、目の前で人が死んでいく現実はオスカル君の精神面に対しては大きな変化を与えてしまうし、そして女性の存在は彼を否応にも普通の青年と同じような気持ちにさせてしまう。
あのシーンが意味することは何だったのかと深読みしたくなるし、もしかしたら大して意味が無いのかもと感じたりさせる非常に悩ましい映画。しかしながらカンヌ国際映画賞のパルムドール賞、アカデミー外国賞を受賞するなど世界的に名作として誉れの高い映画。そのような映画に限って退屈な内容に感じられてしまう時もあるが、本作はオスカル君の素っ頓狂な設定、インパクトのある映像が飽きさせずに見せてくれる。
今や懐かしい西ドイツの映画であるが、ちょっとヨーロッパの名作映画を観たいと思っている人、実は原作を既に読んでいるが映画はまだ観ていない人、ちょっと変わった内容の映画を観たい人には映画ブリキの太鼓をお勧めしておこう。
![]() | ブリキの太鼓 HDニューマスター版 [DVD] |
ダービッド・ベネント,シャルル・アズナヴール,アンゲラ・ヴィンクラー,ダーヴィッド・ベネント,ダニエル・オルブリフスキ | |
ギャガ・コミュニケーションズ |
![]() | ブリキの太鼓 ディレクターズカット ブルーレイ [Blu-ray] |
ダーヴィット・ベネント,マリオ・アドルフ,アンゲラ・ヴィンクラー,ダニエル・オルブリフスキー,シャルル・アズナヴール | |
角川書店 |
コチラが原作、かなりの長編です
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/down.gif)
![]() | ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』全3巻セット (集英社文庫) |
高本 研一 | |
集英社 |
ちなみに監督はフォルカー・シュレンドルフ。ヴィム・ヴェンダース、ヴェルナー・ヘルツォーク等と並び、ニュー・ジャーマン・シネマを代表する監督。この監督の作品は本作しか観ていませんが、最近もパリよ、永遠にを撮るなど、未だに創作力旺盛な監督です。この監督のお勧め作品があったら逆に教えて欲しいです
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