1970年代から80年代にかけてのポルノ業界を群集劇にして描いたのが今回紹介する映画ブギーナイツ。最初に断っておくが、本作はポルノ映画ではない。確かに扱っているテーマがテーマなだけに、際どい表現はある。しかし、本作の見方としてエロ目的ではなく、ダメダメな人間の生き方を優しく見守っていくというのが正しい観方だろう。
そして、1970年代のイケイケのポルノ映画が1980年代に陰りを見せるように栄枯盛衰の世界が描かれている。本作はある意味では特殊な世界を描いているが、どこの世界でも同じことが起こっていることが理解できる作品だ。
主役が実在したポルノ男優をモデルにしたストーリーの紹介を。
1977年、ナイトクラブでアルバイトしていた17歳のエディ(マーク・ウォールバーグ)はお客に来ていたポルノ映画監督のジャック(バート・レイノルズ)からポルノ男優へとスカウトされる。それまで何をやっていてもダメだったエディだったが、彼には巨根という天性の武器があり、そこをジャックから見込まれたのだ。
エディはジャック・ディグラーという芸名でたちまちポルノ映画界の大スターに登りつめる。しかし、1980年代に入るとポルノ映画界も不況に陥り、エディも麻薬漬けの日々がたたり、次第に自慢の巨根も立たなくなってきて、ジャックとの確執もおこり次第に落ち目になっていく・・・
1970年代を感じさせるポスターや音楽なんかは、この時代のアメリカの雰囲気を感じさせる。そして、本作は冒頭からの長回しで主要人物を登場させてしまう映像が圧巻。その他にも映像表現で色々と魅せる。前半のストーリーは何をやってもダメな17歳の少年が母親の一言にブチギレて、ポルノ男優になって成功をおさめるサクセスストーリー。『人間、誰にだって長所が一つぐらいあるだろう』なんて主人公の口から発せられるが、俺もなんだか急に元気になった気分だ。
そして、登場人物が個性的な面々。嫁がセックスに狂っている映画助監督、前の夫との間で息子がいるポルノ女優、ゲイの映画スタッフ、ローラースケートをいつも履いているポルノ女優の卵等。この登場人物達も悩みを抱えながら頑張って生きていこうとする姿が描かれている。まあ、この中には悲惨な結末を迎える奴もいるが。
1970年代は、みんながイケイケだったポルノ映画関係者だったが、1980年に入ってからは、エロビデオの普及や麻薬の日常化に伴い彼らも次第に転落の人生を歩んでいく。この落ちっぷりがポルノ業界や大麻とは関係のない俺が見ていても深刻だった。元ポルノ男優という理由で銀行から融資されないシーンには俺が見ていても可哀想に思えた。しかし、エロやバイオレンスが若干強めだが、全体的には音楽や凝った映像シーン、そしてサタデーナイトフィーバーを思わせるダンスシーンのおかげでノリが良くて明るい雰囲気を感じさせる。そして、最後の方ではどんなに苦しい時があっても頑張ろうという展開になるのが良い。しかし、最後のボカシが入るシーンはいただけない。あのボカシがなければ、俺なんかはもっと色々な意味で自信が持てたはずなのだが。
1970年代のアメリカの文化に興味がある人、ポルノ産業に興味がある人、多数の豪華キャストが出演する映画が好きな人、登場人物やストーリーに共感ができなくても映像表現に惹かれる人等に今回はブギーナイツをお勧めに挙げておこう
監督はポール・トーマス・アンダーゾン。本作のような群集劇が繰り広げられるマグノリア、長編デビュー作品にあたるハードエイト、ちょっと刺激の恋愛映画パンチドランク・ラブ、そして私利私欲に溺れる石油王を描くゼア・ウィル・ビー・ブラッドなどがお勧め
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そして、1970年代のイケイケのポルノ映画が1980年代に陰りを見せるように栄枯盛衰の世界が描かれている。本作はある意味では特殊な世界を描いているが、どこの世界でも同じことが起こっていることが理解できる作品だ。
主役が実在したポルノ男優をモデルにしたストーリーの紹介を。
1977年、ナイトクラブでアルバイトしていた17歳のエディ(マーク・ウォールバーグ)はお客に来ていたポルノ映画監督のジャック(バート・レイノルズ)からポルノ男優へとスカウトされる。それまで何をやっていてもダメだったエディだったが、彼には巨根という天性の武器があり、そこをジャックから見込まれたのだ。
エディはジャック・ディグラーという芸名でたちまちポルノ映画界の大スターに登りつめる。しかし、1980年代に入るとポルノ映画界も不況に陥り、エディも麻薬漬けの日々がたたり、次第に自慢の巨根も立たなくなってきて、ジャックとの確執もおこり次第に落ち目になっていく・・・
1970年代を感じさせるポスターや音楽なんかは、この時代のアメリカの雰囲気を感じさせる。そして、本作は冒頭からの長回しで主要人物を登場させてしまう映像が圧巻。その他にも映像表現で色々と魅せる。前半のストーリーは何をやってもダメな17歳の少年が母親の一言にブチギレて、ポルノ男優になって成功をおさめるサクセスストーリー。『人間、誰にだって長所が一つぐらいあるだろう』なんて主人公の口から発せられるが、俺もなんだか急に元気になった気分だ。
そして、登場人物が個性的な面々。嫁がセックスに狂っている映画助監督、前の夫との間で息子がいるポルノ女優、ゲイの映画スタッフ、ローラースケートをいつも履いているポルノ女優の卵等。この登場人物達も悩みを抱えながら頑張って生きていこうとする姿が描かれている。まあ、この中には悲惨な結末を迎える奴もいるが。
1970年代は、みんながイケイケだったポルノ映画関係者だったが、1980年に入ってからは、エロビデオの普及や麻薬の日常化に伴い彼らも次第に転落の人生を歩んでいく。この落ちっぷりがポルノ業界や大麻とは関係のない俺が見ていても深刻だった。元ポルノ男優という理由で銀行から融資されないシーンには俺が見ていても可哀想に思えた。しかし、エロやバイオレンスが若干強めだが、全体的には音楽や凝った映像シーン、そしてサタデーナイトフィーバーを思わせるダンスシーンのおかげでノリが良くて明るい雰囲気を感じさせる。そして、最後の方ではどんなに苦しい時があっても頑張ろうという展開になるのが良い。しかし、最後のボカシが入るシーンはいただけない。あのボカシがなければ、俺なんかはもっと色々な意味で自信が持てたはずなのだが。
1970年代のアメリカの文化に興味がある人、ポルノ産業に興味がある人、多数の豪華キャストが出演する映画が好きな人、登場人物やストーリーに共感ができなくても映像表現に惹かれる人等に今回はブギーナイツをお勧めに挙げておこう
監督はポール・トーマス・アンダーゾン。本作のような群集劇が繰り広げられるマグノリア、長編デビュー作品にあたるハードエイト、ちょっと刺激の恋愛映画パンチドランク・ラブ、そして私利私欲に溺れる石油王を描くゼア・ウィル・ビー・ブラッドなどがお勧め
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