褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 フォックスキャッチャー(2014) 実話のサイコサスペンス

2024年11月19日 | 映画(は行)
 アメリカでは実際に起きたデイヴ・シュルツ殺人事件を描いているのが今回紹介する映画フォックスキャッチャー。個人的にはこんな殺人事件があったことを知らなかったので、どことなく全体的に不穏な雰囲気を感じた。しかし、多くの人が知っていると思われるアメリカ人と、こんな殺人事件があったことを知らない日本人が見るのとでは、感覚が異なるか。実は最初はレスリングを舞台にしたスポコン映画かと思っていたのが、全く違った方向へ行くので戸惑ったのだが、実は結構好きな人が多い分野のサイコサスペンスだったことに後から気づいた。
 しかし個人的に惹かれたのが愛国心の描かれ方。俺の周りには、ネジ曲がった奴が愛国心を強調するのを見掛ける時があるが、うっぷん晴らしに愛国心を強調する人間が我が国ニッポンにも多く見かけるのが何とも嘆かわしい。本作を観ると何処にでも不満の鬱憤晴らしに愛国心を利用する奴が存在するんだとわかる。

 さて、コメディの印象が強いスティーヴ・カレルがイメージを覆すほどの演技を見せるストーリーの紹介を。
 1984年のロス五輪のレスリングにおける金メダリストであるマーク・シュルツチャニング・テイタム)だが、レスリングがマイナー競技であるためか貧乏暮らしから抜け出せないでいた。彼の兄であるデイヴ・シュルツマーク・ラファエロ)も同じくレスリングの金メダリストであり、すでに家族も持っており、今では競技に未練もなく安定した今の生活に何の不満も持っていなかった。
 そんな時にマークに声をかけてきたのが、デュポン財閥の御曹司であるジョン・デュポンスティーヴ・カレル)。彼は次のソウル五輪へ向けて金メダリストを産み出すために自前のレスリング練習場を設立し、エリート集団フォックスキャッチャーを創設。そのエースとして破格の待遇でマークを迎えるのだった。当初はジョンとマークの間は上手く行っていたのだが・・・

 本作は実話であり、実名でそのまま登場させている。カネの力で何でもやり遂げようとするジョン・デュポンだが、そんな彼でも何処か満たされない想いを抱えている。そして、金メダルをとりながらも、国民的に人気のある兄のデイヴの陰から抜け出せないままであることに不満を持っているマーク。金持の頂上にいるかのようなデュポンと、対照的に貧乏暮らしのド底辺にいるマークが運命的に出会い、その二人を結び付けたのが愛国心というのが興味深い。世の中への不満に対して愛国心が逃げ場になっているリアルな現実を本作から感じ取れる。
 そして、スティーヴ・カレル演じるジョン・デュポンが非常に不気味な雰囲気を漂わせており、本作を興味深い作品に仕立てている。なぜこんな事件が起きてしまったのか?とハッキリさせない感じが余韻を残す。
 ハッピーエンドな映画を見飽きた人、サイコサスペンスが好きな人、ウヨクチックな人、そしてサヨクチックな人も。今回はフォックスキャッチャーをお勧めに挙げておこう

 監督はベネット・ミラー。トルーマン・カポーティーの伝記映画カポーティー。ブラッド・ピット主演の野球映画マネーボールがお勧め








 
 
 

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