褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 過去を逃れて(1947) もの凄い悪女です

2023年07月10日 | 映画(か行)
 サスペンス映画を盛り上げる要素の一つに悪女の存在が挙げられるだろう。美人な悪女であるほど惚れてしまうのは悲しい男の性なのか。そういう意味では今回紹介する映画過去を逃れてはとんでもなく凄い悪女が登場する。悪女によって男が破滅していくようなサスペンス映画の分類として、よくフィルムノワールという言葉が使われるが、本作はその代表作と言っても良いだろう。フィルムノワール作品には本当にモノクロの画像がよく似合う。白黒の陰影が鬱蒼とした雰囲気を醸し出し、想像力を掻き立て、カラーでは出来ないような演出が観る者を惹きつける。

 早速だが、決して褒められたものではない自分を愛してくれる女のために、過去と決別しようと対決に飛び込んでいく男の運命を描いたストーリの紹介を。
 今ではジェフ(ロバート・ミッチャム)は片田舎のガソリンスタンドで働き、アン(ヴァージニア・ヒューストン)という恋人と慎ましく暮らしていた。しかし、そこへジョー(ポール・ヴァレンタイン)が訪れてきて、2人の生活は一変する。
 自分の正体を今まで隠していたジェフはアンに自分の過去を語り出す。それは、かつて自分はニューヨークで相棒のフィッシャー(スティーヴ・ブロディ)と組んで私立探偵を営んでいたこと。そこでカジノを経営するウィット(カーク・ダグラス)から、40,000ドルを持ち逃げされた恋人であるキャシー(ジェーン・グリア)を探して来いと強制的に依頼される。
 ジェフは僅かな手掛かりをもとにメキシコのアカプルコで、キャシーを見つける。実物を目にすると輝くばかりの美しさでジェフはすっかり自分の仕事を忘れてしまいキャシーと愛し合うようになったばかりか、40,000ドルの持ち逃げを否定される。
 そして、ウィットとその部下であるジョーが、突然アカプルコにジェフを突然訪ねてきた。難とかその場をごまかしたジェフは、キャシーと一緒にサンフランシスコへ逃げて、なるべく目立たないように行動する。
 しかし、その場も安泰ではなく相棒であるフィッシャーがウィットから命令を受けてジェフを探し出し、キャシーと一緒に居るところを見られてしまう。分け前を寄こせというフィッシャーとジェフが争いを始めた時に、キャシーは隙を見て銃を取り出しフィッシャーを射殺。その合間を見てキャシーはジェフの車で逃亡してしまう。
 そんな暗い過去をジェフはアンに語り、アンとの愛を再確認したジェフは新しい人生を始めるためにウィットと会ってキリをつけようと彼の所へ向かうが、そこで出会うはずのないキャシーが居るのを見てしまい・・・

 どこへ隠れても、なぜか直ぐに場所がバレてしまうジェフ(ロバート・ミッチャム)の運の悪さに笑ってしまいそうになるが、そんな笑いそうになるのを吹き飛ばしてくれるのが、美人で男が放っておけない魅力を醸し出すキャシー(ジェーン・グリア)の悪女ぶり。彼女も色々な意味で何度もピンチに陥りそうになるのだが、口から出まかせの言い訳が高田純次もビックリの適当さ。何度も「私が愛しているのはあなたよ」なんて言葉で、すぐに男はだまされてしまう。キャシーが狡猾なのではなくて、男がチョロすぎてピンチを脱しているというのが本当のところ。しかし、この悪女が凄いのは口八丁が尽きたと思ったら、最後の手段に打って出るところ。俺も手当たり次第に女性を追いかけたら、痛い目に遭うことを痛感させられた。
 キャシーの悪女振りだけでなく、対比する関係として聖女のようなアンもしっかり描かれているので、過去を清算しようとするジェフの決心にも説得力、格好良さを感じさせるのも良い。何かと予想外の出来事が次々と起きてくるので楽しんで観れる。1940年代のハリウッドで大流行りだったフィルムノワール作品の中でも秀逸な出来の良さだということで今回は過去を逃れてをお勧め映画に挙げておこう。
 ちなみに本作は1984年にテイラー・ハックフォード監督でカリブの熱い夜でリメイクされるぐらいの名作。こちらの方は本作よりも女性のファムファタール度がだいぶ落ちているし、元私立探偵が、クビを宣告されたフットボウラーなど多くの変更点があったりするので、どちらを先に観てても楽しめます。







 


 

 
 
 
 

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