堺のライブハウス主人より、いい店見つけたとの報せが入り、
さっそく、ミナミの服屋大将と出かけた。
外から見ると変わり映えのしないフツウの酒屋だが、中に入ると
真ん中にドンとおかずの並んだガラスケースがあり、コの字型に
客席がある。夕方から酒場になるという田宮酒店。オッサンらが
いい具合に飲んでいる。ぷんぷんといい店の気配がする。
穴子寿司で有名な深清鮨の隣り。
戦後の開店というが、各社銘柄の酒看板が掲げられ、
昨日今日にできた店ではこのアトモスフィアは醸し出せない。
大体、客席を支配する先代女将が堂々たる存在感。
「勘定」の声と共に、五つ玉の算盤をはじく。
シャコ塩ゆで。
こういうので一杯いくのが泉州らしくていい。
堺から南の海は砂地でシャコがいっぱい獲れる。指先が痛い。
ちゃいと涼しかったので熱燗。上等の錫製ではなく、銅製かブリキの
ようにも見えるたんぽ。こういう見栄え気にせず実質的なのが角打ちのよさ。立ち飲みではないけれども。
うまき、結構なり~!
穴子の肝なべ! これがバカうま!!
この辺り、石津港や堺の魚市場があったりで、穴子屋が多かった。
こいつを小鍋立てでグツグツ焚いたのが出てくる。温まる~
精つけて竜神へでもくり出すか!いつの時代や。
かつて酒屋とはその地区の庄屋だったり名士だったりした。
ここも鰻の寝床のように、奥は大きな所帯となっており、坪庭が
眺められたりする。大きな仏壇があり、古いお多福人形があった。
厠前の佇まい。これは残して欲しいなぁ~。
労働者も、女性同士も来る…いい時代になったもんで、
和気あいあい。価格は激安である。
次は西へ歩いてスグ。
以前にも行ったことある居酒屋「犬吉」へ。
焼き鳥チェーン大吉のパロディというべきか。
手作り感バリバリのバラック建て。どですかでん風。
店先に「この先、大浜湊海水浴場 スグそこ200m」なんて
手描き看板がある。昔はそんなもんだったんだろう。
信じて海パンのまま行ってはいけない。
たたき胡瓜、春雨サラダ、おから、焼きめし・・・など次々に。
これは焼き豚とナムル、キムチの盛り合わせ。
店主も客層も若いだけにボリュームがある。
地元ミュージシャンなどが集まる。
なんだか中は70年代風というか。ちょっと文化祭ノリというか。
焼酎、ハイボールなど。
居心地よくて、のんびりしてると早や終電時刻。
急いで堺東へ車を飛ばす。
元々造り酒屋が多かった堺。まだまだいい店がどこかに隠れているに
ちがいない。目撃情報もらえりゃまた足を運びたし!
「田宮酒店」 「犬吉」 堺市御陵通
はさみ使う?
基本はこの両の手で。殻にトンガリがあったりして
手で剥くの骨が折れます。
これ仕事だったらやだなぁ。
泉州の人間はとろ箱で買ってきて、蒸しておやつにしたそうです。香港で食ったシャコはでかくて慄いたなぁ。
いつの間にやら、蝦蛄を剥くのにキッチンはさみを使うようになってたんですけど、子供の頃はそんなん使ってなかったなーと思い出しまして。
ポイントは、脚をむしってしまうとはさみが要らないということに気が付いた次第。
おっしゃるとおり、ええアトモスフィアが写真からも醸し出されています。
多くの呑ん兵衛が少しずつこぼしていった酒が染み込んだような飴色のテーブル、そんな呑ん兵衛達を見守ってきた古い酒看板や置物、美味そうなアテ。
こんな店はいつまでも残ってほしいなあ。
日生!2年ほど前から行こう行こうと思いながら叶っていません。冬場の牡蠣ね。シャコとは小魚もなんだか旨そうではあるね。堺のはちょいと子持ちでした。
二日酔次郎さん
ちげぇねえ!あの飴色のテーブルはちょっとずつこぼした酒で磨きこまれたもんなんですね。店の雰囲気を体現したかのような老女将が一番の骨董品でした。
アテ…この響きが大阪っぽくてよろしなぁ。