黒澤明、淀川長治、詩人の田村隆一…この人たちに共通するのは朝から肉を食うこと。
とにかく肉を食らう、食えることを創作のエネルギーに変えた人たちだってこと。
ことほど左様に、高齢になっても肉食は必要であるという説が出回って、
老齢の方々も肉を頬張っておられるのは結構なことである。
もちろん、ほどよく野菜もね。
さて、肉をダイナミックに食いたくて京都。堺町通蛸薬師下る「オステリア・イルカント・デル・マッジョ」。
オステリア=居酒屋だというけれど、この名で高級イタリアンもあったりするから、額面通りには行かぬ。
まずは快適に冷えたスプマンテ。
肉というと焼き肉かステーキか、という時代ではなくなった。
フランスやイタリアで修業してきて、そのままのスタイルのステーキを出す店が増えた。
日本的な霜降りのとろけるような牛肉という観念を変える店が。
ここもその一軒。トスカーナで10年間修業した屋号をそのままに、
飾り気のないトスカーナの料理を楽しめる店。
ここでしか出会えない(気がする)ナスのスフレ。
なんの飾りもないのが小気味いい。 モッツァレラチーズ、塩コショー・オリーブオイル
タリアテッレ・アスパラガス
そういえば、イタリア料理でも細分化され、ヴェネチア料理、ナポリ料理、シチリア料理など
専門家されてきたのはまことに楽しいことである。
スパゲッティといえばイタリアン(ナポリタン)かミートソースしかなかった時代が哀れだがなつかしい。
ここは付け合わせもお仕着せではなく、客に選ばせる。
この辺りも現地スタイルということかな。
トマトサラダ
白いんげん豆 これも旨かった。
イタリア人って豆がお好みなんだそうな。
焼いては寝かせ…をくり返すのだろう。 お待たせ加減で真打ビステッカ登場。
キアーナ牛を使うと、ビステッカ・ア・ラ・フィオレンティーナということになるのだろう。
塩をいっぱい擦り込み、ガス火のグリルで焼き上げると表面の塩が炭化し、
炭焼きのようなちょっとした野蛮な感じの焼き具合となる。
ワインは赤、カベルネソーヴィニオンで丁度いい。
口いっぱいに肉を頬張って噛む楽しさ、食いちぎる喜びがある。
これこそが肉食民族である。うお~!
ドルチェは割愛して、エスプレッソ。
エスプレッソうまし。まとわりつく脂をすっと流してくれる。
高校の時、初めてエスプレッソを淹れてくれた岸和田の神父どうしてるかな。
あの時は鼻から煙が出そうな気がした。
手作りっぽい看板もまた、いいんではないでしょうか。
肉を食いたい夜、イタリアン気分の時にぜひ。
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