関西に限っての話かもしれないが、いい蕎麦屋・うどん屋は“在”にあり。
蕎麦はなんとなく分かる。空気や水のいい鄙びた田舎家で食べた方が雰囲気である。
実はうどんもそうで、ちょいと離れた場所にひらくと家賃や地代を圧縮し、原価の方にかけられる。
街の真ん中で踏ん張ってる名店は少数派で、見渡せば、真中はぽっかり空き、
周辺部へと分布する、ドーナツ化現象ともいえる。まぁ、どちらも原料は小麦粉な訳でね。
今や関西讃岐うどんはすっかり定着し、力のある店はどこにあっても客が呼べるという塩梅。
こちらの店も堺の在。 深井駅からさらに村の中へと入った、他に店なんかな~んにもない場所。
一度目は村の中をぐるぐる廻り、ようやく見つけた時には営業時間終了。
二度目は貸し切りで入店できず。ここまで来て、木戸を突かれるとなかなかつらいものがある。
ってことで三度目にして、ようやくありつけた。
開店時間まもない、「どとうぜにや」へ。
どこから見ても、普通の家である。
のれんがかかってなかったら、確実にスルーしてしまう。
のれんに“島田一の介”の名前。
外にいらしたお父さんに聞くと、お母さんの出身地が師匠がスナックをひらく尼崎だそうで。
ガラガラと引き戸を開けて、靴脱いであがる。
街中では味わえない、のんびりした気持ちになる。
メニューを眺めている間にも、次々に客が入ってくる。
わざわざ来るのだから、常食向きのその辺のうどん屋ではない、ちょっと上等うどん。
「ちく玉天ぶっかけ」750円
本当は温かいかけうどんの方が好みだが、冷たい方が手打ち麺の真価が表れるので
そちらで。
名物まんまる天うどん 980円
屹立したる海老天と焼きちくわ天が支え合い、「人」という字になる。
長い棒に短い棒~支えあったら人になる
支えるから人なんだ 支え合うから人なんだ~
(詞 サキタハヂメ 歌 ムッシュかまやつ)
サイズがわからないので、お茶のコップを。
他に半熟卵天、なすと大葉天。 刻み海苔に削りかつお。
麺はしっかりとしてグミの弾力と歯触り、のどごしあり。
ときとして、こうした剛麺系をすすり込むのがしんどい時もある。
たぶんこれが咀嚼、嚥下できなくなったら、もう老人なのだろう。 なんとかセーフ。
玉子をつぶして麺にからめながら。
くくっ・・・たまりませんな。
食べても食べても減らないのは、腹へりんには嬉しいところ。
堺まで行って時間が許せば、わざわざ行っても損のない店です。