年賀状に皇帝ダリアなどを描き心を込むる八十七歳 御礼に詠む お年賀に描き添へたしと保存せしふうせんかづらに朱みさしたり
年賀状に米寿の友の描きて来しふうせんかづらほんのり朱し
卒寿なる媼の描きし杜鵑草(ほととぎす)生きる喜び賀状にあふる 花言葉「困難に勝つ」とふ山茶花を賀状に描く卒寿の加藤さん
媼書く七十通の年賀状一日一枚杜鵑草(ほととぎす)咲かす 「お迎へを待っているの」と加藤さんスカートはきてヒールの装ひ
上記、平成29年に頂きましたお年賀が最後のお年賀状となりました。
トンボのブローチ 加 藤 信 子
庭先のチューリップ二本お互いに触れない距離で風にゆれてる 28年度NHK短歌大会題詠「風」入選歌
われの身の壊れゆくがにほつれては直しつつ着る古き掻巻(かいまき) 28年度NHK短歌大会自由題入選歌
お日様はどんな匂いか知らないが布団は確かにお日様のにおい
亥鼻山の緑したたる並木道前行く母子も絵画の一部
バスを降り遠回りして陽のさせる暖かき側を教会に向かう
大切な人に会うのに薄い髪逆立てつつふあっと梳(と)かす
おそろいの帽子の園児わやわやとしめじの株のごとく群がる
浴びるほど好きなタンゴを聴きたくなる一人暮らしの心の渇きか
八十路なる峠越えてもなお残る夕映えにも似た友のいくたり
ゆで玉子の殻のつるりと剥けた朝ゆとり感じるコーヒータイム
怖いのは天変地異と戦争と塩分かなと息子との会話
ペン立ての鉛筆見事に削ってあり帰った息子の残した気遣い
加藤信子様が84歳の時に同年齢の従姉にダンスの先生を紹介して以来、お二人をダンス教室のお仲間としてお迎えして従姉共々ご厚誼を頂いてまいりました。
加藤様も従姉もサークルでのダンス歴が長かったのですが年齢的にサークルでは無理と私の個人レッスンの先生を選んで頂き、大腸ガンが発見されるまでの3年間お手製の沢山の素敵な
ドレスを身にまとい楽しいダンスタイムを過ごして頂きました事と確信いたしております。
術後は順調に快復しましたものの体力的にダンスは無理と、お若い時の油絵と書道の趣味を生かして「絵手紙」を楽しんでおられました。
又、短歌もお詠みになっておりますことを伺い、私の先生にご指導を頂くことができました事も懇親を深める幸いの思い出になりました。
この度、合同歌集(一部ご紹介)のメンバーとして30首の素敵なお歌を提出され、3月発刊の「遠山」をご覧いただくことができました事も幸いと存じております。
平成29年5月から一人住まいは不安と千葉市若葉区小倉町の「若葉の丘」に入居、お部屋にはご自身が描かれました素晴らしい油絵を飾り、大きな三面鏡を備えて毎日お化粧を欠かさず
おしゃれを楽しまれてお元気に過ごしてお出ででございました。
そして短歌も続けて頂きたく施設を訪問して励ましてまいりました。
平成29年11月、短歌はもう無理と最後に詠まれました一首です。
濡れ縁で朝顔めでしは去年(こぞ)のこと今はホームで蝶や鳥愛ず 「軽雪」 2018年 第1号に掲載
加藤信子様、8年間のご厚誼に心から感謝を申し上げます。
お食事時のわかめが原因と病院に搬送されました事を伺い、先日4月18日(水)に青葉病院をお訪ね致しました。
しかし、すでに会話をすることも叶わず眠られましたままのお姿が最後になりました。
お見舞いから2日後に残念!平成30年4月20日(金) 11時15分 ご永眠されました 合掌