詩集の題名「遠くへ」の作品は最後に綴られておりましたのでご紹介させて頂きました
著者の村上久江様は短歌教室の先輩、素晴らしいお歌を学ばせて頂いておりますが、詩歴も長く多くの作品を発表されておいでのお方です。
ご主人様は、60歳の時に大腸がんが発見されてから15年余の闘病生活に耐え、平成31年3月6日にご逝去されました。合掌
短歌作品にもご主人様を偲ぶ多くのお歌を詠まれていますので一部ご紹介させて頂きます。
十五年余の闘病終へて夫生の点滅ゼロにして逝く
生を超へ逝きたりし夫淡くあはく刻は流るる病院の一室
体温のほの残りゐる夫の身体額(ひたひ)撫でつつ終(つひ)の別れす
苦しみの身体さつぱりと脱ぎて夫遺影のなかに笑みて和(な)ぎをり
玄関を開け「ただいま」とぽつり言ふ返事なき闇に百合の香れる