汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

本レビュー 「顔のない裸体たち」 平野啓一郎

2012年04月12日 | 本レビュー

顔のない裸体たち (新潮文庫)

クリエーター情報なし
新潮社

 

 

彼の書く文章は、どことなく固い。それは、流れているというよりも、展示しているという感じだ。しかし、その展示物の色彩が、色とりどりの感情を生み出しているのも確かに感じる。この小説もそうだと感じた。この小説に登場する人たちの感情は、まるで流れている感じがしない。けど、登場人物の心の裡では、確かな鼓動のような音が聞こえる。それは、確かなリズムを持って、読者に届くのだと思う。でも、その手法による表現については、あまりにも固いが、それでも強烈な波動を発し続けるモノなので、読者によっては、好き嫌いがはっきりと表れる作家であると感じる。彼の描く表現は、まるで熱せられ、光りを放つ鉄の固まりだ。それは強烈な存在感を放ちながら、読者の心情を困惑へと陥れる。いわば読者に対する挑戦状であると感じました。

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音楽レビュー NHKスペシャル「宇宙~未知への大紀行」 東儀秀樹

2012年04月12日 | 音楽レビュー
NHKスペシャル「宇宙~未知への大紀行」
クリエーター情報なし
EMIミュージック・ジャパン

 

広い宇宙を感じた。それも存在することの哀切さ、それでもここに居るという核心に満ちた感情。そして穏やかさが微睡む優しい気持ち。それは、この宇宙という存在を、受け止めたときに感じる法悦のような感情だと思った。自分が存在する世界を素直な感情で受け止めること。それこそが、人が幸福を感じる、一つの途なんだと感じさせられた。

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