健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

光回折像とスプリング8

2010-03-07 07:54:36 | 研究
骨格筋細胞には規則的な構造がぎっしり詰まっています。骨格筋の微細構造の勉強をした方は良くわかると思います。こうした微細構造を解析することから、骨格筋がどのように収縮するか(力を出すか)という研究が始まっています。実際に、収縮している時に微細構造がどのように変化するか、これを詳細に観察することは重要なことになります。つまり、私たちの体は、構造を持った機能体ですので、構造と機能の関係を結びつける研究が重要ということになるのです。
こうした骨格筋の微細な規則的な構造を直接眼でつまり肉眼で確かめるというのは非常に難しいです。顕微鏡で見ればと思いますが、普通の光学顕微鏡では骨格筋の微細構造の全てを見ることはできません。一般的に何で見ているかというと、電子顕微鏡を使って見ています。しかし、電子顕微鏡で観察する場合、筋肉に特殊な処理をしないと見ることができないために、筋肉が収縮している時に微細構造がどうのように動いているか動的に観察することができません。そのために光回折というのを利用します。規則的な構造に強い真っ直ぐに進む光を当てると、特徴的にな回折像が得られます。構造が規則的であればある程、その規則性を象徴するような特徴的な回折像が得られます。例えば、ヘリウム-ネオンレーザーを利用すると、マイクロメーター(1ミリメーターの1000分の1)の動的な変化を得ることが可能となります。この光をさらに直線性のある強いものにしていくと、より時間的かつ空間的に詳細に分析ができるようになります(専門家ではないので、多分そう思います)。そういう意味で、兵庫県にある大型放射光実験施設(スプリング8)が使用されることがあります。このスプリング8に関して、その管理運営について問題が報道されています(ASAHI.COM)。この施設は理化学研究所の所有だそうで、管理は会社に委託しているそうです。問題は、その管理を天下り先の管理会社に丸投げしているというものです。しかも、昨年度まで随意契約、今年度は入札にしたが応札したのはこの管理会社一社であったというのです。特殊な施設ですので、一括して管理を任すとなればそれなりの知識と技術力のある会社に限定されるのは理解できます。世界有数の施設ですので、きちんとした説明を期待します。
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おもしろ宇宙実験

2010-03-07 07:30:45 | 宇宙
国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の野口宇宙飛行士が、任務の合間を利用して無重力空間をより理解してもらうために「おもしろ宇宙実験」を行ったそうです。無重力の影響と言っても様々なものがあります。もちろん、身体機能にも大きな影響が現れます。しかし、身体機能への影響は「実験」として映像的にインパクトのあるものが得られにくい傾向があります。まぁそうですね。映像的によく理解できるということは、形が変わるとか動きが変わるとかというものですのです。ヒトの体にこうした変化が急激に起こるというのもあり考えられません。
一方、地球上に比べて宇宙空間だからこそよくわかる現象があります。それは「物理現象」です。物理学で学習した「運動の法則」に代表されるものは宇宙空間で非常に分かりやすくなります。例えば、等速度運動。等速度運動をしている物質に外から力が加わらなければ、その物質は等速度運動を続けるというものがあります。地球上でこの法則を実験的に証明しようとすると少し難しくなります。なぜなら、地球上で実験を行うと、必ず重力の影響を受けてしまうからです。重力も「力」の1つです。したがって、等速度運動を続けるという現象を得ることは極めて困難であるということになります。ところが、国際宇宙ステーションの中では、簡単に証明できます。国際宇宙ステーション内部にも地球上に比べて小さいですが重力は存在します。しかし、ステーションが地球を周回するときに発生する遠心力と重力が釣り合っているために、実質重力が「ゼロ」になっています。ですので、何か物を投げたりすると、どこかにぶつからない限り、同じ方向へ同じ速度で移動し続けるということになります。これは宇宙空間でも似たような現象を得ることができます。仮に、宇宙ステーションの外で船外活動中にステーションから離れるような動きが生じてしまったとすると、命綱がなければその動いた方向に一定の速度で動き続けます。こ動きが地球から離れる方向だとしたら、その飛行士は宇宙のどこかへ行ってしまうということになります。何とか宇宙ステーションに戻ろうとしてもがいたりしても、まったく効果はありません。もちろん、重力の影響がわずかにあります。しかし、その影響はちいさく地球に引き寄せられる可能性はかなり小さいと考えられます。
話を元に戻しますが、こうした実験は物理学を学習しているあるいは学習した人にとって面白く興味深いものだと思いますが、まだ学習する前の人にとってはだた単に「面白い」実験で終わってしまうと思います。もう少し、宇宙実験の大切さを伝えてほしいと思うのは無理なのでしょうか。宇宙実験に携わる者としてなんかもどかしさを覚えます。
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