流派や分野を超えた、札幌や江別在住の書家5人による2度目のグループ展。
きっかけは、2003年、「札幌の美術 19+1の試み」にこの5人が出品したこと(いまは札幌芸術の森美術館でおもに冬季に開かれる「札幌美術展」は、21世紀はじめには札幌市民ギャラリーで開かれ、評論家や学芸員が出品者を選抜していたため、かなり先鋭的な顔ぶれであった)。
5年後にふたたび5人がコンチネンタルギャラリーに集まり、 . . . 本文を読む
久しぶりに良い書展を見た。
北見地方の書家36人が、漢字(写経含む)、かな、近代詩文などを出品している。篆刻てんこくは1点のみ。刻字、墨象ぼくしょう、前衛書などはない。
村上子邦さん「和風清穆」は、古拙・素朴であることに寄りかからない、さわやかな運筆。モダンでありながら、いかにもモダンです-という顔をしている作とも異なる。
小坂梨華さん「一煙爐香」(字釈は「ひとかがりの香をたく」)も、力 . . . 本文を読む
道内で最もたくさんの書家を擁する社中であると思われる創玄展。
近代詩文書を提唱した大書家、金子鷗(鴎)亭(渡島管内松前町出身)の創設した団体だ。
参事・会員には、北海道書道展会員が多く名を連ね、分野も漢字、かな、近代詩文、刻字と幅広い(篆刻や墨象はいないようだが)。
その大グループの展覧会は今回、大御所たちが臨書を出品しているのが目を引く。
顧問の島田無響、参事の柏聡、加藤 . . . 本文を読む
STV北2条ビルのロビーでは、3週間ごとに、道内の美術家の個展を開いている。
書家の登場は、今回が初めてとのこと。
樋口雅山房さんは札幌の書家。
墨象ぼくしょうという分野で活動しているが、それ以外にも、パフォーマンスや、服飾デザイナーとのコラボレーションなど、手広く活動している。
初めての書家登場ということで、樋口さんはおそらく、書壇の中でしか評価・鑑賞されない作品ではなく、わり . . . 本文を読む
自ら絵筆を執らない人でも絵画展に足を運ぶのが好きな人は多い。しかし、これが書道となると、習っていないのに展覧会へ行く人は少ないのではないだろうか。
キャンバスに塗られた油絵の具がターコイズブルーなのかインディゴブルーなのか分からなくても見ることはできるのと同様に、書展で文字が読めないからといって鑑賞が禁じられるわけではない。むろん、読めるのにこしたことはないけれど、筆の勢いや全体の構図など . . . 本文を読む
札幌の前衛書家で、毎日展などでも活躍する竹下青蘭さんの「青青社」が3年ぶりに社中展を開いています。
ここでいう前衛書というのは、文字でないものを書く書のことです。
ただし、あくまで漢字などの古典を学び、それを踏まえた制作をしていますので、抽象画とは異なるのですが、筆者のようなしろうとは、抽象画とおなじ地平で見て楽しい、というのも確かです。
竹下さんは昨年秋の書展の会場で右腕を骨折した . . . 本文を読む
(承前)
今週の札幌市民ギャラリーは、滞在が2時間以上におよんだ。
北海道墨人展は、墨象ぼくしょうと呼ばれる書の一分野に取り組んでいる書家の集まり。
道内には、もうひとつ、札幌墨象会という団体があって、両者がどういう関係にあるのかは、よくわからない。
ただ、墨象会のほうが多字書もあるのに対し、墨人は、大半が一字書である。全国的な団体の道内支部みたいな位置づけのようである。
いつも公開 . . . 本文を読む
(文中敬称略)
道内の高校で書道を担当、愛好している教員が研鑽けんさんの場として毎年新年に開いている展覧会。それにしても、教職員美術展と会期が重なるので、みなさん大変だなあ。
今回は現役58人のほか、OBの顧問・参与16人、校長4人(会長の武田博亭札幌創成高校長を含む)が出品している。
特徴としては、漢字と近代詩文が多く、かなが非常に少ない。
参与の石田壱城(元北海道尚志学園高校) . . . 本文を読む
(長文です。また、会期中に間に合わなかったことをおわびします)
いやー、悪いことしちゃいました。
「連檣れんしょう展」は、1989年の北海道書道展で、大賞と準大賞を得た、安喰あじきのり子、安藤小芳こよし、石田壱城いちじょう、君庸子、國澤翠風の書家5氏による展覧会。
10年ぶりの開催です。
10年前のときには見た記憶がないんですよ-という話をしていて、あとで調べてみたら、ちゃんと199 . . . 本文を読む
Poetry of Northern Lights: Hokumei Nakano’s Calligraphy
Sep 19-Oct 18,2009
Hokkaido Museum of Modern Art(Sapporo)
1.展覧会の意義
中野北溟氏は日本を代表する書家のひとり。
日本海に浮かぶ焼尻島(現留萌管内羽幌町)の生まれで、札幌在住の86歳である。
書道展はこれまで、道 . . . 本文を読む
まず、アップが遅れたことをおわびします。
辻井京雲さんは、道内を代表する書家のひとり。
すくなくとも、個展の開催回数ではトップを争うであろう。
今回の書展は、毎日新聞の全国版「書の世界」に取り上げられた。(下にリンクあり)
1944年、雨竜町(空知管内)生まれ。
金子鴎亭に師事し、毎日展、創玄展に出品。ロンドンの大学で書を講じたこともある。
現在は、日展会友、毎日書道会評議員、 . . . 本文を読む
北海道書道展会員の矢橋寿心さんの書展。
毎日新聞2009年7月23日、北海道版の記事には、次のようなくだりがありました。
「部門にかかわらず書きたいものを書いた」という30点ほどの作品は漢字と詩文書が半々。漢字の横作品「鳴琴」(90センチ×180センチ)は篆書(てんしょ)で渇筆(かっぴつ)が効果的な温かみのある作品。詩文書の「石ころのような人間」(135センチ×135センチ)は武者小路実 . . . 本文を読む
美術の世界では、道展、全道展、新道展が3大公募展としてしのぎを削ってきたが、道内の書道界では「北海道書道展」が随一の団体公募展といえる。書の世界では「道展」といえば北海道書道展なのだ。
道内で開催される大規模な書展としてはほかに毎日書道展と読売書法展があるが、いずれも全国規模の団体公募展の巡回展・支部展である。
北海道書道展そのものは、4-5月の黄金週間のころにひらかれている。あまりに大規 . . . 本文を読む
太い筆を使って文字を書く墨象の団体。札幌墨象会と異なり、1文字作品が大半です。
また、今回だけの特徴かもしれませんが、墨の潤渇を駆使した作品がほとんどなく、たっぷり黒々とした作品ばかりなのも特徴だと思います。
めずらしいのは樋口雅山房さん(札幌)「一休禅師狂雲集より」。三双六曲の屏風仕立ての行書です。この展覧会では異例の作です。
照井心磊さん(旭川)「真如」は、右方向への余韻を漂わせてい . . . 本文を読む
年2回展覧会をひらいている札幌墨象会。
春は大作、秋は小品という、おおまかな区分になっている。
ただし、昨年は天井が高い1階だったので、高さのある大作が多かったが、今年はそれほどでもなく、最大でも高さ360センチだ。
社中の30人が1点ずつを出品している。
目についたのが淡墨を使った作品。佐藤美恵子、土屋湖雁、東志青邨、松田稲峯、三上千代の各氏が淡墨による。
このうち土屋さん「不動心 . . . 本文を読む