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■矢橋寿心古希展 (7月26日まで)

2009年07月25日 23時32分02秒 | 展覧会の紹介-書
 北海道書道展会員の矢橋寿心さんの書展。

 毎日新聞2009年7月23日、北海道版の記事には、次のようなくだりがありました。

 「部門にかかわらず書きたいものを書いた」という30点ほどの作品は漢字と詩文書が半々。漢字の横作品「鳴琴」(90センチ×180センチ)は篆書(てんしょ)で渇筆(かっぴつ)が効果的な温かみのある作品。詩文書の「石ころのような人間」(135センチ×135センチ)は武者小路実篤のことばで、「紙いっぱいに気持ちをぶつけた」という快作。中央部の飛沫(ひまつ)に気迫が滲(にじ)む。墨象(ぼくしょう)(前衛書)風の一字書などもあり、指導を受けた慥洲の影響がのぞく。

 また、小6の時の奎星(けいせい)展出品作や中3の時に全道学生書道展で「特別賞」を受賞した作品も展示しており、書家・寿心の集大成ともいえる個展になっている。


 筆者ごときが付け加えることはあまりありません。文中の「慥洲」は、塩田慥洲です。
 筆者がひかれたのは「海洋を飛ぶ蝶」。淡墨を用いた少字数書の大作です。この文字を見ていると、三岸好太郎の晩年の絵や、安西冬衛の一行詩など、聯想はさまざまにふくらみます。
 矢橋さんの書の特徴として、上の記事では「渇筆」ということばで形容されていますが、筆の尖端をひとつにまとめず、1度の運筆で多数の細い線がひかれていることが挙げられます。
 筆者はしろうとなので、最初に見たとき、なんだか線質に締まりがなくちらついた印象を受けましたが、じっと見ているうちに、これはこれでひとつの表現だなと思えてきました。
 複数の線とにじみの両立も興味深いです。

 このほか「風薫る五月」「居中」などは、軽快で伸びやか。
 この軽快さは「断心」では古拙の味と同居しているようです。



2009年7月21日(火)-26日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル 地図A


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