札幌の前衛書家で、毎日展などでも活躍する竹下青蘭さんの「青青社」が3年ぶりに社中展を開いています。
ここでいう前衛書というのは、文字でないものを書く書のことです。
ただし、あくまで漢字などの古典を学び、それを踏まえた制作をしていますので、抽象画とは異なるのですが、筆者のようなしろうとは、抽象画とおなじ地平で見て楽しい、というのも確かです。
竹下さんは昨年秋の書展の会場で右腕を骨折したそうです。
ギプスがとれた日になんとか書き上げたのが、冒頭画像中央の作品「宙」。
竹下さんというと、オタマジャクシがはねているような速度感ある細い線が特徴だったという印象がありますが、ここ数年は、いっそう深い世界を表現しているかのようです。
右上は中村紫泉さん「北のロマン」。
中村さんは奎星会で一席に輝き同人に推された方で、毎日展でもすでに会員になっている実力の持ち主。
この作品、量塊性に頼ることなく、自在に線を屈曲させて、しかしスカスカ感のない充実した空間を現出させているように思いました。
筆者は小樽の洞窟にある古代文字を聯想しましたが、みなさんはどうでしょう。
その下は桜庭青泉さん「灼熱の印度より」。
左側は江崎青光さん「ありがとう」。
いずれも、こちらは黒と白のバランス感覚に富んだ、重厚な作品です。それでいて、墨のかすれなども表現されています。
前衛書のほかにも漢字の掛け軸なども展示されています。
竹下さんいわく
「わたしたちのところには、先生の出すお手本なんてありません。わたしと同じように書く人がいたらかえって困ります。そこが、ふつうの書の社中とちがうところです」。
まあ、書展などというのは、もとより、読めなくてもぜんぜんオッケーだと、筆者は考えているのですが、ぜんぜん読む必要のない、しかしやっぱり書である-という作品にふれるのも、おもしろいんじゃないかと思います。
2010年4月27日(火)~5月5日(水)10:00~6:00
札幌市資料館(中央区大通西13 地図C)
■第37回北海道書道連盟展(2008年)
■交錯する眼差しの方へ 遠藤香峰・大川壽美子・須田廣充・竹下青蘭・吉田敏子 書展(2008年)
■奎星会北海道巡回展(2008年)
■青青社書展(2007年)
・地下鉄東西線「西11丁目」から300メートル、徒歩4分
・市電「中央区役所前」から480メートル、徒歩6分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「厚生年金会館前」から280メートル、徒歩3分
でもどうやらインターネットを使いこなせるのは私だけなようで(笑)、新人ではありますが代表してお礼申し上げます。
またお会い出来る日を楽しみにしています。
くま
http://yaplog.jp/kumacorori/
中野北溟さんに励まされて良かったですね
わたしももっと「書を見る目」を鍛えなくてはと思っています。