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■北のかがやき2009 北海道書道展第50回記念展 (6月30日まで)

2009年06月30日 06時27分16秒 | 展覧会の紹介-書
 美術の世界では、道展、全道展、新道展が3大公募展としてしのぎを削ってきたが、道内の書道界では「北海道書道展」が随一の団体公募展といえる。書の世界では「道展」といえば北海道書道展なのだ。
 道内で開催される大規模な書展としてはほかに毎日書道展と読売書法展があるが、いずれも全国規模の団体公募展の巡回展・支部展である。

 北海道書道展そのものは、4-5月の黄金週間のころにひらかれている。あまりに大規模なので「招待・会員」「会友」「一般」の三つに会期を分けての開催である。
 今回は、招待・会員による、記念の展覧会。会場が美術館とあって、通常の書道展よりもはるかにゆったりと陳列されているのが特徴だ。

 もうひとつの特色は、とにかくバラエティーに富んでいること。
 北海道書道展には「前衛」部門がないが、漢字多字数書、漢字少字数書、かな、近代詩文、墨象、篆刻の6部門があり、書風も多種多様である。
 しばらく、北海道書道展そのものには出品を見合わせていたベテランが久々に作品を出している例もあり、うれしいかぎり。
 また、北海道書道展ではあまり見られない帖での出品もある。

 道内のおもな書家すべてが出しているとまではいえないが、かなりの程度までカヴァーしているといえそうだ。
 
 しろうと目で見て愉快だったのは、千葉軒岳「石狩挽歌」。
 北原ミレイが歌ってヒットさせた歌の詞を、奔放な書体で書いている。さかなへんが象形文字になっているのは、詞の中の「古代文字」という一節に触発されたのだろうか。

 我妻緑巣は、北原白秋の詩(童謡)を、独特の墨色で。
 どことなくたどたどしい字体が魅力。ところどころルビがふってあるのもおもしろい。

 福森龍子は「島よ」で始まる詩を近代詩文で。濃淡2種の墨を用いているのがめずらしい。

 もっとも、もはや若くない筆者は、飛沫さかんな近代詩文よりも、脱力系の漢字に心が引かれる。
 藤根凱風、中野層雲といった作を前にしていると、ほっとする。

 かな書では、千葉和子「霧ふれば霧に影して風露さく」が、墨色の表情がおもしろい。余白の生かし方もきれいだと思った。
 阿部和加子は、離れていてもわかる力強さ。連綿体を排し、大きな紙に拮抗しうるかな書とはなにかを考えさせられる。

 墨象では、東志青邨は、まだ墨が乾いていないような生々しさ。
 安藤小芳、佐々木信象、水上祥那らも、それぞれに個性と力がある墨象だった。

 中野北溟、小川東洲らベテランも力のこもった作。小川「FLAME/炎」は、図録と出品作が微妙に異なる。
 展示は部門別ではないので、飽きずに見ることができる。どういう順番なのかは、わからないが…。

 図録は「いろは順」という、めずらしい排列だった。
 

2009年6月19日(金)-30日(火)9:30-17:00(入館-16:30)、月曜休み
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D)

一般・大学生700円、高校生以下無料

・地下鉄東西線「西18丁目」から徒歩4分
・中央バス、ジェイアール北海道バス「道立近代美術館」から徒歩1分

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