北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

阿寒湖畔の彫刻家、滝口政満さんが死去

2017年04月10日 18時18分18秒 | 新聞などのニュースから
 アイヌ彫刻に見せられて阿寒湖畔(現在は釧路市内)に移住し、木彫を作り続けていた彫刻家、瀧口政満さんが5日急死しました。
 北海道新聞では、おくやみ面のほかは、釧路根室版でしか報じられていないため、知らない方も多いと思います。

 瀧口さんは1941年、満洲国奉天(現在は遼寧省瀋陽)生まれ、山梨県育ち。
 
 以下、北海道新聞の2017年4月7日朝刊、釧路根室版から。

 【阿寒湖温泉】彫刻家の滝口政満さんが5日午後5時58分ごろ、急性肺炎のため釧路市内の病院で死去した。76歳。(中略)

 3歳で聴力を失う。東京教育大(現筑波大)付属ろう学校高等部を卒業し、22歳の時、一人旅で訪れた阿寒湖畔の土産物屋の店先で、大木に向かってのみをふるい、熊を彫るアイヌ民族の青年の姿に衝撃を受ける。

 「自分もそうしたい」と1967年、阿寒湖畔に移住。シマフクロウをはじめとする野生動物や、風と対話する少女像などの作品が高く評価され、2000年に北海道アイヌ伝統工芸展で道知事賞を受賞した。

 鶴雅グループの全宿泊施設に滝口さんの作品を展示している鶴雅ホールディングスの大西雅之社長は、「滝口先生の作品を知って、郷土力を生かした旅館に脱皮しようと決意した」と振り返り、「先生との出会いなしに今の鶴雅はなかった。ご家族と一緒に先生の分身の作品たちを大切に後の世に伝えていきたい」と悲しんだ。(以下略)


 2013年、道立近代美術館で開かれた「AINU ART」展に出品されたのをはじめ、2010年には釧路市立美術館の「阿寒の木彫」展にも参加しました。
 昨年、釧路市文化賞を受賞しています。
 
 また、釧路公立大図書館にフクロウの作品があるほか、阿寒湖小の門柱なども手がけているそうです。

 筆者は恥ずかしいことにこの彫刻家のことをまったく知らず、2012年に、サロマ湖鶴賀リゾートの日帰り入浴を利用した際に初めて見て、驚きました(冒頭の画像)。

 瀧口さん自身の出自はアイヌ民族ではないのですが、アイヌ木彫に衝撃を受けて彫刻の道に進み、阿寒湖畔のアイヌコタンに「イチンゲの店」を構えていたのですから、「AINU ART」のくくりで作品が紹介されるのも合点がゆきます。
 願わくば、釧路地方以外でももう少し作品を見る機会がほしかったです。

 R.I.P


□鶴賀ゆかりの作家たち http://www.tsurugagroup.com/artist/
□鶴賀・美術館ギャラリー http://www.tsuruga.com/gallery/bijyutsukan.html

□ブログ「工房 木 楽々(ki-rara)」の記事 http://blog.kamishihoron.com/koubou-ki-rara/kiji/39237.html


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。