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第44回主体展 (9月15日で終了) 東京・08年晩夏(6)

2009年01月09日 21時23分26秒 | 道外で見た展覧会
承前

 前回のエントリから2カ月以上がたってしまったが、2008年9月中旬に上京したときの記録を、簡単につづけたい。


 両国から、総武線と山手線というオーソドックスな方法で上野へ。

 ちょっとだけ時間があったので、時計台ギャラリーで入手した招待券で、主体展を見ることにする。
 あまり点数の多い団体展ではないので、六本木へは移転しなかったんだろうなと思う。

 主体展をひらいている主体美術協会は1964年、自由美術協会から分裂するかたちで旗揚げ。創立メンバーに、実作と批評の両輪で北海道美術界をリードした故小谷博亭博貞さんがいたこともあってか、道内在住・ゆかりの会員や出品者が多い。
 北海道支部展のほか、会員の個展を札幌で集中的に開くこともある。
 筆者が気がついた範囲だけでも、浅野修、石崎哲男、門屋武史、工藤悦子、黒木孝子(冒頭の画像)、香西富士夫、十河幸喜、野本醇、船川照枝、前川アキ、水戸麻記子渡辺良一といった顔ぶれがいるし、かつて札幌に住んでいた橋本礼奈や旭川出身の齋藤典久もいる。
 
 昨年は、25歳以下の出品料をタダ、26-30歳のを半額にするという思い切った策に出て一部で話題を呼んだ主体展。
 会場を見たかぎりの印象では、具象も抽象もあり、なかなか粒ぞろいだと感じた。ただ、陳列数は決して多くなく、むしろ10年ほど前とくらべると、減っているのではないかと思う。

 1点だけ述べるとすれば、1977年から小樽を題材に筆を執りつづけている佐藤善勇の作品。
 木造家屋のならぶ街の中を列車が走り、遠くに港が見える…。
 これは、現実の古びた小樽であると同時に、郷愁の中にしかもはや存在しない小樽でもあるようだ。過去と現在がなんの違和感もなく共存している小樽というマチの本質を、これほどまでに鮮やかに描いた作品はあまりないと思う。
 佐藤の筆運びは華麗なものというより、むしろ訥々とした味わいがあるが、それが画面に深みをあたえている。
 おなじ系列の作品が、市立小樽美術館で1月25日まで開催中の「小樽風景 個性の響き」に展示されているそうだ。これは、ぜひ行ってみなくては。


08年9月1日(日)-15日(月)9:00-17:00(最終日-13:00)
東京都美術館(台東区上野公園)

http://www.shutaiten.com/

(1月10日、小谷さんの名前を訂正しました。申し訳ありません)
(この項続く)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-01-10 20:30:04
 川上@個展deスカイさん、こんにちは。
 最初、いったいなにをいわれているのかわからなかったのですが、まさかそんな漢字変換になっているとは!

 訂正しました。ご指摘ありがとうございます。

 小谷さんの画集は、作品編と批評編の2冊になっているぐらいですからねー。
返信する
ハクテイさん (川上@個展deスカイ)
2009-01-10 00:51:33
小谷博亭さんじゃなくて小谷博貞(ひろさだ)さんですね(笑)。
関係者にはハクテイさんで通っているようですが。

小谷さんは作家、教授のかたわら、美術評論にも確かなものがありました。
返信する

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