睡眠も十分、服も失礼にならないような衿のついたものを着て、カメラのキタムラへ出かけた。
さすがに照明もカメラもプロ仕様だけあって、「これならばいいだろう」
という出来に仕上がっていた。
プロの技術はすごい。
土台は全く変わらないのに、プロの技術によって同一人物とは思えない写真に仕上がっている。
10年後の顔はどんなに変わっているかわからないが、これならば遺影にも使えるかも…
などと言ったら同居人に「縁起でもない」とこっぴどく叱られた。
睡眠も十分、服も失礼にならないような衿のついたものを着て、カメラのキタムラへ出かけた。
さすがに照明もカメラもプロ仕様だけあって、「これならばいいだろう」
という出来に仕上がっていた。
プロの技術はすごい。
土台は全く変わらないのに、プロの技術によって同一人物とは思えない写真に仕上がっている。
10年後の顔はどんなに変わっているかわからないが、これならば遺影にも使えるかも…
などと言ったら同居人に「縁起でもない」とこっぴどく叱られた。
海外旅行などしている場合ではない昨今である。
国内旅行を推進するGO-TOトラベルも、コロナ禍の人的災害になりそうな危うい状況ではあるが、ふと海外旅行で思い出した。
パスポートの写真である。
パスポートを申請するには写真が必須である。
ちゃんとした写真でないとまずい、という意識はあったのだが前日の夜、いい歳こいて遊び惚けてしまい、二日酔い頭ガンガンヨレヨレ状態でコンビニのプリクラ写真コーナーで写した。
自分としてはいちばん感じがよく見えるだろうと思われる顔で、撮影を済ませた。
やがてポトリと写真が落ちてきた。
「出てきた、出てきた」と写真を見たとたん、愕然としてしまった。
入国審査でこの写真が貼ってあるパスポートを見られたら、世界中どこへ行っても捕まってしまうのは間違いない、人相の悪いじじが写っていたからである。
顔は疲れ、貧乏くさく見え、絶対に何かやらかしそうな雰囲気が写真から漂っていた。
「貧困のなか、いけないものを運んで収入を得ている怪しいじじ」
なのである。
「うーむ」
何度うなっても、どうすることもできない。
とてもじゃないけど、パスポートにあの写真を10年間貼り続ける勇気はない。
これから10年間この顔と付き合わなくてはならないと思うと、さすがにヤバイ。
もしかしたら「運び屋の怪しいじじ」では申請が許可されないかもしれない。
改めて写真館で撮り直す決意をしたのであった。