昭和30年代前半生まれとしては、家電は壊れてから買い替えるというのが、当たり前であった。
昔の家電は性能がとてもよく、なかなか壊れなかったので子供の頃家にあったテレビも洗濯機も掃除機も、十何年も持った記憶がある。
なので購入したら4、5年で買い替える感覚がないので、新機種が売り出されても関心がなかった。
ところが数年前から洗濯機の調子が悪くなった。
ガタガタと振動が大きくなり、防水パンの上を歩き回っているかのようだった。
防水パンの縁を乗り越えて、そこいらじゅうを歩き回るになるとまずいな、と思っていたところ、それで力を使いはたしたのか振動は小さくなってきた。
もしかしたらこれは、洗濯機が自らの限界を表現しているのだろうか。
ただ完全に壊れていないものを買い替えるのにはどうも抵抗がある。
いったいどうしたものかと悩みながら、どんどん位置がずれていく洗濯機を横目で眺めているのである。