誰もが猛暑であえいでいるこの時期、どちらかというと「暑苦し系」のカツカレーの話で申し訳ない。
つい先日、ごくありふれたレストランで、カツカレーでジョッキの生ビールを飲んでいる人を見てしまった。
その人はカレーにまみれたカツの一片を食べては泡立つ生ビールをゴクゴク飲み、カレーに染まったご飯を食べ、今度は福神漬けを少しポリポリやって、またグビッーと生ビールをあおっていたのだ。
生ビールのツマミとしてカツと福神漬け、ご飯としてカレーライス。
意外性がありながら十分に納得でき、しかも合理性がある。
カツカレーで生ビールをやっているその人を見て「あ、いいな」
と思い、「あ、やられた」
と思い、なぜか「あ、ずるい」と思ってしまった。
してやられた感、でいっぱいで、うかつであった、といううかつ感も大きかった。
こうしてはいられない、という気にさせる迫力があった。
そういうわけで、その翌々日、カレーで生ビールを試みたのでした。
これまであまりそういうことには気がつかなかったが、カツカレーのカレーには具が入っていないのです。
本来ならば肉の小片とか、玉ねぎのカケラとか、ニンジンとか、そういうものが混入していてしかるべきカレーなのに、そういうものがあまり見当たらない。
それはそれでいい。
具はなくても、カツを壮大な具と考えればいいわけだから。