人生、ついているときには何かいい予感、というかいい胸騒ぎがすることがある。
若いころは占い、特に恋愛運を読み「あなたを密かに想っている女性がそばにいます」
などと書いてあったら、憎からず思っている女性の顔を思い浮かべ、けけけと笑っていた。
今思えば、あまりに間抜けで恥ずかしい。
還暦を過ぎると恋愛運などまったく興味がなくなり、健康でいられるとか、周囲に不幸は起きていないかとか、現実的な問題ばかりが気になる。
「うふふ」とか「けけけ」などというノー天気な笑い声など出てこない。
だいたいが「はああ~」というため息ばかりである。
だが何となくときめく、というか閃くとでもいうか、後光がさすというか、不思議なめぐりあわせに遭遇するような予感を感じたりすることがあったりする。
「運も実力のうち」などという言い方もあるが、これはまったく非科学的な考え方だ。
棚からぼたもちが落ちそうなとき、その周囲にいることが運である。
でも棚の近くには他の人たちもいる。
そのなかで真っ先に気がついて、直下に走って大きい口を開けた人だけがぼたもちを食べられる。
何らかのチャンスを得たいと思うなら、家にこもっていても仕方がない。
どんどん外に、広い世界に出ていくしかないのである。