冬支度もかねて家の中を整理しようとしていたら、買ったりもらったりした土産物の箱の底からオランダ製の木靴が出てきた。サイズを見ると自分の足の大きさと同じ。土産物と言っても実際に使うことが出来そうだ。少なくとも自分の足の大きさに合うからこの木靴を買ったのだろうと思う。
オランダはイギリスから見ると驚くほど近い。普通、イギリスの隣国と言うと何と言ってもまずはフランスが思い当たるし、次いでベルギー、南の方を向けばスペインあたりが頭に浮かんでくる。しかし、特に東京からのシベリア経由直行便でロンドンに向かうときにはフィンランド、デンマークを越えるとオランダの西側上空を過ぎる。そして北の方からロンドンに向かうのが一般的な飛行ルートなので、この意味でもオランダの近さが実感できる。
実際、イギリスからオランダへのフェリーもいくつも出ている。それに、ヨーロッパ大陸の国の中で、最も英語が通じるし、また、英語が上手いと言われているのはオランダだから、この意味でも違和感が少ない。また、日本から見れば、江戸時代の鎖国の時にもオランダとの交易がおこなわれてきていわばヨーロッパの窓口のようなものだったから関係も強いものがある。ただ、太平洋戦争の際、日本がオランダ領インドネシアを占領したので、このことを恨みに思っているオランダ人も少なくないのは事実。仕事で知り合ったオランダのビジネスマンとははじめこの歴史で衝突したが、まさに雨降って地固まる、のたとえどうりにその後は大の親友になったのはかつてこのブログにも書いた。
オランダへはチューリップの綺麗な時にキューケンホフ公園に行ったり、デルフトの陶器を買いに行ったり、ゴッホやレンブラントなどの絵画を鑑賞しようとして何度も訪れた。何度も訪れたが嫌な思いをしたことはない。あるいは、仕事でオランダに行ったことがないから嫌な思いをしなくて済んだのかもしれない。
この木靴はそんな旅行の時に買ったのだろう。せっかく出てきたのだから今回試しに履いてみようと思った。が、どうしても窮屈で、痛くて痛くて足が入らない。木靴だから柔軟性は全くない。靴に足をあわせるしかないのだが、どうしても入らない。まるで、誰も履くことの出来なかったシンデレラのガラスの靴のようだった(ちょっと大袈裟だ)。きっと、シンデレラの靴を履こうとした姉たちもこんな痛みを感じたのだろうと同情を禁じえなかった。
やはり木靴は見て楽しむものなのだろう・・・