難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴者支援の施策(1)

2005年08月27日 23時38分09秒 | 福祉サービス
難聴者を社会が支援する施策が必要なことは論を待たないが、問題は誰がそれを戦略として建てるかだ。

難聴者問題は、治療に関わる医療施策、難聴者に対する相談や機器の給付、通訳の派遣などの障害者福祉施策もあれば、放送と通信、交通、建築物のバリアフリー、難聴児・者の教育の保障や地域での理解の促進など広範囲にわたっている。

高齢者が2400万人もいれば数百万人単位であるいは1千万人を越えるだろう難聴者が存在する。団塊の世代が定年を迎えると言われているが、その中には多くの難聴者が含まれ、就労している人も社会の各分野で活発に活動しようとしている人もいる。
これだけの特定のニーズを持つ集団がいるのだから医療や補聴理論などを越えた難聴学や難聴社会学があっても良い。日本経済に及ぼす影響を論じる難聴経済論だのさらに難聴者文化論、難聴者向け難聴者サウンズだって生まれても良いくらいだ。

にも関わらず、難聴者問題に陽が当たらないのは、難聴が、「聞え」の障害だからだ。感覚の障害としか受け止められないのは挟小にすぎるが、実際にその聞えを説明するのはむずかしい。味覚は辛い、苦い、甘い、塩辛い、しょっぱいなどの共通の言葉があるが聞こえにはないからだ。

nancy&anyコミュニケーションの障害とは言うがもっと掘り下げて、対人コミュニケーションと環境とのコミュニケーション、難聴者のコミュニケーションの内的作用も探求が必要だ。


ラビット 記


写真)ニューヨークにある難聴者のためのリーグのナンシー・ナドラー博士(右)とアミー・K・ボイル博士



水谷修先生の講演を聞く

2005年08月27日 08時54分31秒 | 生活

050826_1552~001.jpg新潟県で第38回全国手話通訳問題研究集会が開かれ、一日目の記念講演で夜回り先生で有名な水谷修氏の話が聞くことができた。

実は、水谷氏のことは知らなかったが、帰宅して子供に話したら知っていると。
中高生の薬物汚染を防ぐために、教え子も動員して相談活動をしている。その活動を書いた著書は十数万部単位で売れているが、聞き間違いかも知れないと思うが、購入者の7割は中高生だと聞いた。
子供から16万通の暴走族や暴力団から足を洗いたい、薬を止めたいというメールに教え子たちと一緒に対応しているが、もう限界に近づいている、子どもたちが夜の世界に入る、非行に走るのは大人が悪い、毎日の大人の姿を見て、自分の価値が見えなくなり、逃げるところを求めているためだ。単に、薬はダメ、売春は止めろと言っても意味がないと。
子供には、10年先、20年先を見て、話をすることが重要だと聞いて、自分の子供に何と言っているか、反省した。

講演会の最後に、司会者の新潟ろう学校の教師の方が自分の学校のことを考えても大変参考になる話だったと感想を述べていたが、聞こえない子供のことをどれだけ身近に感じてくれる先生がいるだろうか。
聞こえない子供の苦しみは、親には心配かけまいとして、帰宅しても普通を装っているが心の中はずたずただった。それが盗みやマスターベーションに走ったり、感情を爆発させたりしていた。
自分の中学校時代の英語の授業では苦い思い出がある。教科書を1ページ暗記してくるのだが端から順に当てられてスピーチするが自分の番だけ飛ばされて最後になった。多分、宿題が出されたことに気が付かなかったのかも知れないと考えて、最後に回してくれたのかも知れないが自分にとっては屈辱に感じた。先生には、板書するとか聞こえなくてもわかる方法で伝えて欲しかった、他の子供と同じように扱って欲しかったと思うが、今になってみると先生もどう接していいのかわからなかったのだろう。

講演会の最後は、5分くらいも拍手が鳴り止まなかった。

ラビット 記




深夜の台風情報に生字幕放送が

2005年08月27日 01時32分55秒 | 福祉サービス

050825_2350~002.jpg26日の午前0時の台風に関するNHKニュースに字幕放送が付いた。
これは通常のニュース以外の生放送の台風情報の字幕放送は初めて見た。
昔から要望していたことが実現した一瞬だった。

今は、インターネットで気象庁やテレビ局の台風情報が見られるし、動画ニュースも普通になっている。放送のコンテンツが通信で配信される、いわゆる放送と通信の融合が進んでいる。
放送は、曲がりなりにも総務省の字幕放送普及の行政の指針があるが、通信についてはWebのアクセシビリティのJISがあっても、コンテンツ制作者、プロバイダーにアクセシビリティの確保を義務つけない限り、デジタルデバイドが広がる一方だ。

参議院では審議の状況がインターネット中継されているので、障害者自立支援法が審議される最終盤に要約筆記者などが事務所で聞きながら、記録を即座に作成したことがあった。聞こえる人は審議が「公開」されているが、聞こえない人にとっては非公開と同じだ。
参議院は、視聴覚障害者のアクセスを保障すべきだ。

ラビット 記