東京都聴覚障害者福祉対策会議(聴覚障害者「自立支援法」対策東京本部)に結集する団体が、平成19年度予算に対する要望書をまとめた。
東京都は平成18年度で7千万円余に及ぶ手話通訳派遣事業を廃止し、区市事業に移行させようとしている。区市の手話通訳事業は専門的な通訳に応じられないこと、通訳者の数が不足していることが大きな問題になっている。
要約筆記者派遣事業は、区市ではほとんど初めて実施する事業であり、東京都が実施して来た団体派遣事業が区市レベルでは実施できない状況だった。実績がないため様子見のところがおおかったが、東京聴覚障害者福祉事業協会と契約する区市が増えて来た。
ラビット 記
--------------------------------------------
平成19年3月 日
東京都知事
石 原 慎太郎 殿
聴覚障害者「自立支援法」対策東京本部
代 表 倉 方 厚 子
東京都手話通訳派遣事業費の全面「廃止」に対する経過措置と
都独自のコミュニケーション支援事業実施のお願い
障害者自立支援法により手話通訳派遣事業や要約筆記派遣事業がコミュニケーション支援事業として区市の必須事業になりました。これにより地域サービスの底上げが期待できるなど評価すべき部分はありますが、現時点では全ての区市で専門性の高い通訳の派遣に対応できないことや、区市の通訳者数が足りないという問題があります。
手話通訳派遣事業については、現行のサービス水準を低下させないために、区市で実施中の派遣事業に加えてこれまで東京都の派遣事業を担ってきた東京手話通訳等派遣センターの登録通訳者を派遣する方法があります。
また、要約筆記派遣事業はほとんどの区市で実績がなく、区市の登録要約筆記者は皆無に等しい状況にありますが、都で登録している要約筆記者を派遣することによって、区市での派遣事業化を実現することは可能です。
このため、福祉保健局の担当窓口とも相談しながら、東京都手話通訳派遣事業の委託を受けてきた社会福祉法人東京聴覚障害者福祉事業協会と地域自治体とが契約し、区市の予算で都に登録されている手話通訳者及び要約筆記者の派遣を行う方法を地域へお願いしているところです。
今回、コミュニケーション支援事業の区市町村への移行に伴い、東京都は平成19年度の東京都手話通訳派遣事業の予算を全面カットすると示してきました。
しかしながら、今まで30余年にわたって、数千万円の規模(平成18年度予算は7300万円)で実施してきた手話通訳派遣事業を短期間で地域に移行することは困難であり、年度の残りわずかとなった現在、具体的な内容までまとまっている地域は、わずか2〜3地域です。
幸い、要約筆記者派遣事業は、団体派遣分は地域では対応できないということで、前年度予算の半分が残されました。厳しい予算状況の中で、かつ根拠となる法律もないところに予算を残していただいた管轄局のご支援には感謝いたしますが、これも次年度以降の継続は保証できないとの説明を受けています。
区市での要約筆記派遣は、事業化しない地域が出ることは確実です。4月から都の事業がなくなると区市での個人派遣が受けられない地域も出てきます。これは大きな混乱を招くことになり、サービスの低下にもなります。
また、他県も含めた広域派遣の調整や区市で対応できない場合のセーフティネットとして、手話通訳や要約筆記事業は都の事業も必要ということから、都の予算による事業の一部存続および激変緩和措置としての事務費と人件費の計上を福祉保健局に強く要望してまいりました。
東京都福祉保健局(在宅福祉課)もこの必要性を認め、本来なら昨年10月より区市町村に移行するところを激変緩和措置として年度内は現状通りとし、地域への働きかけも支援していただきました。
それでも、地域での受け入れ準備はまだ十分に整っていない状況にあり、地域だけでは対応できない問題についても解決のめどがたっておりません。こういう状況の中で都の予算がなくなった場合は4月以降のコミュニケーション支援事業に大きな混乱とサービスの低下を招くことは必至です。
私たちは東京都の聴覚障害者問題に関わる立場として、地域でどうしてもサポートできない部分を都が担っていくことができるように、また、都民である聴覚障害者へのサービスを低下させないように、東京都の予算による手話通訳派遣事業および要約筆記派遣事業の部分的継続と、コミュニケーション事業の円滑な区市移行に対しての責任を果たしていただくために、地域への移行が終了するまでの激変緩和措置による事務費と人件費の計上を強く求めます。
記
福祉保健局予算への要望
1.手話通訳派遣事業が地域への移行した後も、地域で対応できない広域ネットワーク派遣や特殊なケースに対応する分の手話通訳派遣事業を東京都の予算で実施してください。
2.要約筆記派遣事業を実施しない地域や地域で対応できないケースへ派遣するための都の責任による広域的な事業としての要約筆記派遣事業を実施してください。
3.激変緩和措置を継続し、地域への都からの手話通訳派遣を円滑にできるようになるまで、現行の東京都手話通訳派遣事業の一部及び手続きを進めるために必要な事務費と人件費を支出してください。
4.地域の派遣事業を充実させるために、手話通訳者及び要約筆記者の養成、研修、認定に必要な養成事業予算の大幅増をお願いします。
以上
聴覚障害者「自立支援法」対策東京本部
(構 成)
・社団法人東京都聴覚障害者連盟
・特定非営利活動法人東京都中途失聴・難聴者協会
・東京都手話通訳問題研究会
・東京都登録要約筆記者の会
・東京都手話サークル連絡協議会
・全国要約筆記問題研究会東京支部
・東京都要約筆記サークル連絡会
お問い合わせ:
聴覚障害者「自立支援法」対策東京本部
〒150-0011 渋谷区東1−23−3
東京聴覚障害者自立支援センター3階
電話 03-5464-6055 FAX 03-5464-6057
E-mail tokyo@deaf.to
東京都は平成18年度で7千万円余に及ぶ手話通訳派遣事業を廃止し、区市事業に移行させようとしている。区市の手話通訳事業は専門的な通訳に応じられないこと、通訳者の数が不足していることが大きな問題になっている。
要約筆記者派遣事業は、区市ではほとんど初めて実施する事業であり、東京都が実施して来た団体派遣事業が区市レベルでは実施できない状況だった。実績がないため様子見のところがおおかったが、東京聴覚障害者福祉事業協会と契約する区市が増えて来た。
ラビット 記
--------------------------------------------
平成19年3月 日
東京都知事
石 原 慎太郎 殿
聴覚障害者「自立支援法」対策東京本部
代 表 倉 方 厚 子
東京都手話通訳派遣事業費の全面「廃止」に対する経過措置と
都独自のコミュニケーション支援事業実施のお願い
障害者自立支援法により手話通訳派遣事業や要約筆記派遣事業がコミュニケーション支援事業として区市の必須事業になりました。これにより地域サービスの底上げが期待できるなど評価すべき部分はありますが、現時点では全ての区市で専門性の高い通訳の派遣に対応できないことや、区市の通訳者数が足りないという問題があります。
手話通訳派遣事業については、現行のサービス水準を低下させないために、区市で実施中の派遣事業に加えてこれまで東京都の派遣事業を担ってきた東京手話通訳等派遣センターの登録通訳者を派遣する方法があります。
また、要約筆記派遣事業はほとんどの区市で実績がなく、区市の登録要約筆記者は皆無に等しい状況にありますが、都で登録している要約筆記者を派遣することによって、区市での派遣事業化を実現することは可能です。
このため、福祉保健局の担当窓口とも相談しながら、東京都手話通訳派遣事業の委託を受けてきた社会福祉法人東京聴覚障害者福祉事業協会と地域自治体とが契約し、区市の予算で都に登録されている手話通訳者及び要約筆記者の派遣を行う方法を地域へお願いしているところです。
今回、コミュニケーション支援事業の区市町村への移行に伴い、東京都は平成19年度の東京都手話通訳派遣事業の予算を全面カットすると示してきました。
しかしながら、今まで30余年にわたって、数千万円の規模(平成18年度予算は7300万円)で実施してきた手話通訳派遣事業を短期間で地域に移行することは困難であり、年度の残りわずかとなった現在、具体的な内容までまとまっている地域は、わずか2〜3地域です。
幸い、要約筆記者派遣事業は、団体派遣分は地域では対応できないということで、前年度予算の半分が残されました。厳しい予算状況の中で、かつ根拠となる法律もないところに予算を残していただいた管轄局のご支援には感謝いたしますが、これも次年度以降の継続は保証できないとの説明を受けています。
区市での要約筆記派遣は、事業化しない地域が出ることは確実です。4月から都の事業がなくなると区市での個人派遣が受けられない地域も出てきます。これは大きな混乱を招くことになり、サービスの低下にもなります。
また、他県も含めた広域派遣の調整や区市で対応できない場合のセーフティネットとして、手話通訳や要約筆記事業は都の事業も必要ということから、都の予算による事業の一部存続および激変緩和措置としての事務費と人件費の計上を福祉保健局に強く要望してまいりました。
東京都福祉保健局(在宅福祉課)もこの必要性を認め、本来なら昨年10月より区市町村に移行するところを激変緩和措置として年度内は現状通りとし、地域への働きかけも支援していただきました。
それでも、地域での受け入れ準備はまだ十分に整っていない状況にあり、地域だけでは対応できない問題についても解決のめどがたっておりません。こういう状況の中で都の予算がなくなった場合は4月以降のコミュニケーション支援事業に大きな混乱とサービスの低下を招くことは必至です。
私たちは東京都の聴覚障害者問題に関わる立場として、地域でどうしてもサポートできない部分を都が担っていくことができるように、また、都民である聴覚障害者へのサービスを低下させないように、東京都の予算による手話通訳派遣事業および要約筆記派遣事業の部分的継続と、コミュニケーション事業の円滑な区市移行に対しての責任を果たしていただくために、地域への移行が終了するまでの激変緩和措置による事務費と人件費の計上を強く求めます。
記
福祉保健局予算への要望
1.手話通訳派遣事業が地域への移行した後も、地域で対応できない広域ネットワーク派遣や特殊なケースに対応する分の手話通訳派遣事業を東京都の予算で実施してください。
2.要約筆記派遣事業を実施しない地域や地域で対応できないケースへ派遣するための都の責任による広域的な事業としての要約筆記派遣事業を実施してください。
3.激変緩和措置を継続し、地域への都からの手話通訳派遣を円滑にできるようになるまで、現行の東京都手話通訳派遣事業の一部及び手続きを進めるために必要な事務費と人件費を支出してください。
4.地域の派遣事業を充実させるために、手話通訳者及び要約筆記者の養成、研修、認定に必要な養成事業予算の大幅増をお願いします。
以上
聴覚障害者「自立支援法」対策東京本部
(構 成)
・社団法人東京都聴覚障害者連盟
・特定非営利活動法人東京都中途失聴・難聴者協会
・東京都手話通訳問題研究会
・東京都登録要約筆記者の会
・東京都手話サークル連絡協議会
・全国要約筆記問題研究会東京支部
・東京都要約筆記サークル連絡会
お問い合わせ:
聴覚障害者「自立支援法」対策東京本部
〒150-0011 渋谷区東1−23−3
東京聴覚障害者自立支援センター3階
電話 03-5464-6055 FAX 03-5464-6057
E-mail tokyo@deaf.to