談 話
~改正障害者基本法の成立にあたって~
2011年7月29日
民主党障がい者政策PT
座長 谷 博之
本日の参議院本会議で、「障害者基本法の一部を改正する法律案」が可決・成立いたしました。
今回の改正は、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現し、障害者の自立と社会参加の支援等のための施策を推進することを目的としており、「障害者政策委員会の設置」以外は全て公布日(本日から約一週間以内)に即施行されます。
1970年に議員立法で制定されたこの法律は、2004年の改正の際、5年後に見直すこととされておりました。ところが当時の政権は、その見直しを国連障害者の権利条約の拙速な批准とセットで進めようとしたため、民主党はこれに反対、基本法だけでなく広範な障がい者制度改革全般を審議する「障がい者制度改革推進委員会」を設置すべく「障がい者制度改革推進法案」を参議院に提出しました。
政権交代後、この案を下敷きに「障がい者制度改革推進会議」が閣議決定に基づき設置されましたが、同会議構成員より、同会議の法定化を求める声が上がっておりました。
今回、名称は変わりますが、権利条約が要請する国内モニタリングの役割を果たす「障害者政策委員会」として法定化されることになったわけで、今回の改正の最大のポイントとして評価しています。今後、所要の準備期間を経て、一年以内に推進会議は法定の政策委員会に生まれ変わることになります。
この他にも今回初めてとなる政府による改正では、推進会議での議論を踏まえ、手話を言語として初めて明記した他、障がいのある児童生徒が、普通学校で共に学び共に育つ方向を打ち出すなど、数多くの画期的な条文が盛り込まれました。何よりもこれまで恩恵的な福祉施策の対象とされてきた障害者を「基本的人権を享有する個人」であるという観点から施策の主体として条文が書き直されたこと、障害者の定義に「社会的障壁」を明記して社会的モデルに転換したこと、さらに基本原則(差別の禁止)に「社会的障壁の除去」を掲げたことは、国連障害者権利条約の批准に向けた大きな第一歩であり、国際的にも評価されるものと確信しております。
この政府原案に対し、民主党は、自民党・公明党の協力を得て12項目に及ぶ議院修正を行いました。
東日本大震災を踏まえた防災の規定を新たに加え、精神障害を念頭にした保健医療のあり方の検討を附則に盛り込むなど、さらに充実した条文を整備できたものと考えます。
もちろん、障がい者制度の抜本改革を目指す推進会議の第二次意見を全て反映することができなかったことは、率直に認めざるをえません。そのため3年後の見直しも議院修正により付け加えました。民主党は、引き続き当事者や現場の皆さまと十分意見交換を行いながら、障がい者制度の抜本改革に積極的に取り組んでまいる所存です。
以上
※ 空白行、改行はラビット