彦根の歴史ブログ(『どんつき瓦版』記者ブログ)

2007年彦根城は築城400年祭を開催し無事に終了しました。
これを機に滋賀県や彦根市周辺を再発見します。

賤ヶ岳に登る(『江~姫たちの戦国~』関連地)

2011年03月20日 | 史跡
そうだ賤ヶ岳、行こう…
と、急に思い立ったわけではなく、本来ならば先週の土日のどちらかで賤ヶ岳に登る予定でした。
しかし、東日本大震災の影響を微妙に受けていて、あまり遠出が出来ない様子が家の中にありましたので(でも安土までは行きましたが…)、一週ずらしての登頂としました。

先週と今週の大きな違いは、リフトの運転が開始される予定だったこと。
というわけで、さっそくリフト乗り場へ行くと、雪のために運休とのことでした。

まぁ、先週だったら登る予定だったのだし…
ということで、リフト乗り場から繋がる道を登頂甲開始。

写真で白く見えている場所がリフトのところに雪が積もっている様子です。
このリフトを確認しながら、雪道の登頂は1.5kmに及びました。


やがて動かないリフトの終点付近
ここから山頂までの間に賤ヶ岳戦没者の供養された場所があります。

山頂には、余呉湖をバックに石碑が建っていました。

賤ヶ岳の山頂は、羽柴秀吉が築いた陣城のひとつで、簡単にいえばここは賤ヶ岳砦という城跡なのです。
その本丸とも言える部分に上の写真のような石碑があります。ですからここに立てば、曲輪の形式がよくわかります。

奥に向かって本丸とも言える曲輪がありますね。

このはずれに、賤ヶ岳ではよく見かけるうなだれた鎧武者の像があります。

羽柴秀吉や柴田勝家の像を置くのではなく、あえてこの姿の名も伝わらないような武者像を置いた方のセンスは素晴らしいです。
この像を見るだけで、賤ヶ岳の戦いの苛烈さを伝えている気がします。
そんな武者像とは対照的な絶景も、この武者像をより感慨深いものにさせています。

余呉湖はまさに古戦場の辺り

反対には琵琶湖も見えます


さて、賤ヶ岳の戦いは賤ヶ岳砦を奪い合った戦争ではありません。その戦いは2つの組み合わせです。
ひとつは、余呉湖を中心に陣城を作って相手を囲もうとする囲碁のような戦い。
もうひとつは、持久戦。
この持久戦の緊張の糸が切れた時、戦いは始まり、そして切った方が負けることがほぼ決まっていました。

そんな持久戦を破る第一歩が、柴田勝家の甥である佐久間盛政が中川清秀の守る大岩山砦を攻めることだったのです。
その大岩山砦は、賤ヶ岳砦から尾根沿いに2kmほど北上した場所にあります。
尾根道は雪で滑りやすく



くぼみの中は雪溶け水でした。


中川清秀は、佐久間盛政の奇襲によって討ち死にします。江戸時代に子孫によって墓が建立され、現在に伝わっています。

近くには、清秀の首を洗った池がありますが、雪で近付けませんでした。
大岩山砦が落ちた報せを受けて、秀吉は岐阜から急いで戻って、大岩山砦のそばに布陣。
それが猿ヶ馬場です。

この地名から、秀吉を揶揄したものかと思っていたのですが、倶利伽羅峠の戦いのときに木曽義仲が布陣した場所も同じ地名なので、陣に対してこう呼ぶ何かがあるのでしょうか?なぞです…
秀吉はここに最初の陣を置き、佐久間盛政を襲い、その後に賤ヶ岳砦に陣を移しています。


さて、ここまで来てこの先どう行くのかを迷いました。
賤ヶ岳に戻って来た道を降りるには遠すぎですしまた尾根道を登らねばなりません、余呉湖に降りるのは反対…
そういえば途中で木之本に降りる案内板があった!と思い、そこまで引き返して降りました。

どう見ても自然にできたとは思えない切り通しの中を通り

途中で倒木に道を塞がれ、最後には下山口が柵で覆われて出られなかったために地元の方に助けていただいておりました。
「道が無茶苦茶だっただろうによく降りて来たな」と言われましたが、案内板があったので…(笑)
そして降りた地域が“黒田”です。

黒田官兵衛で有名な黒田一族発祥の地・黒田観音寺がある地域でした。

ここに、黒田官兵衛の墓があると誤解されていますが、あるのは官兵衛の祖先の墓です。

残念ながら官兵衛が賤ヶ岳で戦った様子はありませんが、自分自身の本貫地の頭上で天下分け目の戦いが行われたことをどう感じていたのでしょうね?

しかし、管理人にとってはここからまたリフト乗り場まで歩いて戻るという最後の山がありました。
美しい湧き水を途中で見たりと歩く発見もあります。

無事にたどり着くと、愛知県からお越しになられていた中年風のご夫婦が古戦場をお探しの様子。
声をかけ、山頂から余呉湖の方であることを伝えると残念そうなご様子でした。ここで帰しては近江人としての誇りが廃る。
管理人が使ったもので申しわけないですが…と、長浜で発行されている『よりーな』の賤ヶ岳特集の雑誌をお渡ししました。何かのお役にたてればいいのですがね。
コメント
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