ヒロシの日記

たくさんの人たちの幸福を願いつつ、常に自然な生き方を望む私の日記です。

ねえ とうさん

2009-02-12 07:21:50 | 日記
ねえ とうさん
作・絵: 佐野 洋子
出版社: 小学館
税込価格: \1,470
(本体価格:\1,400)
発行日: 2001年10月22日


-あらすじ-

くまの子は、おかあさんとふたり(二匹ですけど)でごはんを食べます。

くまの子は、ホットケーキを6枚欲しがりましたが、おかあさんは3枚にするようにくまの子に言いました。
くまの子は、ホットケーキにかけるハチミツをスプーンに3杯欲しがりましたが、おかあさんは2杯にするように言いました。

こぶしの花が咲いて、くまの子とおかあさんのところに、とうさん熊が帰ってきました。
沢山のお土産を持って玄関に立ったとうさんに、くまの子は抱きつき、おかあさんはしっかりとキスをします。
とうさんは、それからベッドに入ると、動かない山のようになってぐっすり眠りました。

朝になって、くまの子はとうさんと一緒に森に向かいます。

くまの子と一緒のとうさんは、くまの子の言うことを何でも聞いてくれます。
手をつないだり、かたぐるまをしてくれたり、背中に乗せて泳いだりもしてくれます。

またあるときは、川に流された橋の代わりに大きな木を折って橋を渡してくれたり、高いところにある大きな蜂の巣を採ってくれたりもします。

*「ねえ とうさん、ぼく、とうさんの子どもでうれしいよ。すごく とうさんらしいもの」
*くまの子は とうさんを みあげて、いいました。
*「おれは ただ、くまらしいだけさ。くまだからね」
*とうさんは、しずかに いいました。

その夜、くまの子はとうさんとおかあさんの間でぐっすり眠りました。

その翌朝のごはんです。

くまの子はおかあさんにホットケーキの枚数を言いました。

*「ぼく、3まいね」
*「あら」と かあさんは いいます。
*「はちみつは、2はいね」

お父さんのお皿には、ホットケーキが6枚乗っていて、ハチミツはスプーンで3杯かけます。

*「ぼくね、とうさんに なってから 6枚にするの」
*くまの子は いいます。
*「でも、バターは たっぷりね。 ぼく、くまらしくならなくっちゃ いけないんだ」


-レビュー-

作者の佐野洋子さんは、このトピの最初の方で少しだけ触れたことのある「100万かい生きたねこ」の作者です。
そしでこの私は、この佐野洋子さんが描く人間の本質に魅了される一人です。 

ここにあるのは、なんて微笑ましい家族でしょうか。
そしてまた、何と父親としての本質を突いた、父さん熊の在りようでしょうか。

この作品を読んだ子供は、こんなに熊らしく堂々としたお父さんを持ったくまの子を羨ましく思うでしょう。
また、この作品を読んだお父さんは、自分の遠い子供の頃の父親を思い出して、自分がどんな父親であらねばならないかに気がつくことでしょう。
 
人間は誰かを真似て育つ生き物だと思います。
子供に人間らしい生き方を望むなら、まずその親が人間らしくあらねばならないのです。
そして、子供が将来親となる時のイメージも、その親から受け継がれるものなのです。

もし親としての自分の中に、重く背負う何かがあったり、負の連鎖に繋がるものがあるのなら、それを断ち切ることも、親としての自分の役目でしょう。

そしてそれは、この素晴らしい絵本を手に取ることの出来る人であれば、誰であっても、決して不可能なことではないと私は思うのです。
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ジャガイモの植え付け準備が終わりました

2009-02-11 17:56:31 | 日記
この畑では、ジャガイモ用として長さ約9メートルの長さの畝が6+8=14本です。

種イモは50gずつに切って植えるとしたら、株間30センチで畝1本当たり1.5kg必要ですので、この畑全体では1.5kg×14本=21kgとなります。

しかし、2つ切りにして使う種イモの1つの重さが100gを超える場合は、それ以上の量の種イモが必要になります。
今年の種イモは、キタアカリ5キロ×3袋、メークイン3キロ×1袋、インカのめざめ5キロを購入済ですが、キタアカリは1個平均125gとやや大きいので、植え付けの必要量にぴったりか、もしそうでなければ少し買い足す必要があるかも知れません。

・植え付けを待つキタアカリの種イモ

・ジャガイモの植え付け準備を終えて在庫が少なくなった牛フン堆肥

・ご近所に配る3番目の大根
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としょかんライオン

2009-02-10 23:09:18 | 日記
としょかんライオン

作: ミシェル・ヌードセン
絵: ケビン・ホークス
訳: 福本 友美子
出版社: 岩崎書店
税込価格: \1,680
(本体価格:\1,600)
発行日: 2007年03月


―本の帯のまえがきから―
*としょかんには、だれでもはいれます。
*ライオンでも?
*あるひ、まちのとしょかんに、おおきなライオンがやってきました。


*ある日、町の図書館に、大きなライオンがやってきました。(前書きの原文を引用して漢字を当てています)
しかし、ライオンが図書館に入ってはいけないという決まりはありません。
ライオンが来た時に、どうしたらいいかの決まりもありません。

ライオンは、図書館の中を歩き回り、おとなしく読み聞かせのお話にも聞き入っています。
ライオンがメリウェザー館長に叱られたのは、図書館の中で大きな声で吠えた時でした。
図書館の中では、決まりを守らなくてはならないからです。
ライオンはここでの決まりを守ることを条件に、ここに来てもよいということになりました。
次の日もライオンはやってきました。
感心なことにライオンは、読み聞かせの時間を待っている間にメリウェザー館長のお手伝いもします。
ライオンはもう図書館の中で吠えたりしません。
図書館の仕事の役にも立つし、子供たちの人気者にもなりました。

しかしライオンが図書館にいることに最初から反対していた、図書館員のマクビーさんは面白くありません。

*「だいたい、ライオンにきまりのことが分かるはずないし、図書館にライオンがいるなんて、きいたことがありません。」と言います。

ある日メリウェザー館長は、ライオンに手伝ってもらいながら自分の部屋で図書の整理をしていましたが、踏み台の上で高いところに手を伸ばした時にバランスを失って落ちてしまい、起き上れなくなってしまいました。

メリウェザー館長は、図書館員のマクビーさんを呼びましたが、声が届きません。
仕方がないので、今度はライオンにマクビーさんを連れてきてもらおうとしました。
ライオンは、起き上がれないメリウェザー館長の危機を報せに廊下を走っていきました。
しかしメリウェザー館長は、ライオンの後ろから声をかけます。

*「はしっては いけません」

ライオンは、貸出カウンターに大きな前足をかけて、マクビーさんを見つめたり、メリウェザー館長の部屋の方に鼻を向けて「くぃん、くぃん」と鳴きましたが、マクビーさんは知らん顔です。
ついにライオンは、今までで一番大きな声でマクビーさんに向かって吠えました。

*マクビーさんは、びっくりして いいました。
*「しずかにしなきゃ、いけないんだぞ! きまりをまもってないじゃないか!」

決まりを守れなかったライオンは、うなだれて外へ出て行きました。

マクビーさんは、ライオンが決まりを守らなかったことを告げに。メリウェザーさんのところに向かいました。

*「かんちょう! ライオンが、きまりをまもってません!
きまりをまもってません!」

マクビーさんは、大きな声を出してメリウェザー館長に告げようとします。
しかし、メリウェザーさんは床に倒れていました。

*「たまには、ちゃんとしたわけがあって、きまりをまもれないことだってあるんです。
いくら としょかんのきまりでもね」

メリウェザーさんはそう言うと、マクビーさんにお医者さんを呼んでくれるよう頼みました。
マクビーさんがかけだそうとするとメリウェザーさんが声をかけます。

*「はしっては いけません!」

次の日からライオンは図書館に姿を現さなくなりました。
メリウェザー館長も子供たちも、何だかつまらなそうです。
マクビーさんは、帰るとき自分に何か出来ないかと思って、家にはまっ直ぐ帰らないでライオンを探すことにしました。

近所をぐるっと回ったものの、ライオンを見つけられなかったマクビーさんが図書館に戻って来ると、その前にライオンがびしょ濡れになって座っていました。

マクビーさんがライオンに声をかけます。

*「あのう、ごぞんじないかもしれませんが、としょかんのきまりが かわったんですよ」
*「おおごえで ほえてはいけない。だだし、ちゃんとしたわけがあるときは べつ。 つまりその、けがをしたともだちを たすけようとするときなど、ってことですけどね」

次の日になってライオンが図書館にやってきました。
マクビーさんが、そのことをメリウェザー館長に告げると、メリウェザーさんは廊下にかけだしました。

マクビーさんは、笑いながらメリウェザーさんに声をかけます。

*「はしっては いけません!」


決まりについての絵本と言ってしまえばそれまでですが、メリウェザー館長とマクビーさんとのやり取りは、リアルでもよくありそうなものです。

最初のところでマクビーさんが、ライオンが図書館にいることがおかしいと反対しているのに対して、メリウェザー館長は決まりを盾にしてライオンが図書館にいることを許しました。
それでマクビーさんは、逆に決まりを盾にライオンを叱りましたが、彼は元々ライオンが図書館にいるのは相応しくないと思っていましたので、(自分が図書館の決まりを破ってまで)大声を出してメリウェザーさんに訴えました。
一方メリウェザーさんは、この一件を踏まえ、決まりをまもらなくてもよい例外事項として、「ちゃんとしたわけがあるとき」と決めましたが、このようなダブルスタンダードはどこにでもあるものでしょう。

作者は、純粋な気持ちからは理不尽とも受け取れるダブルスタンダードの存在を、人間と一緒に生活するライオンの行動を通して、まだ幼い読者に伝えたかったのかも知れません。

しかしこの作品に登場するライオンは、人間の生活に溶け込むことだけを除けば、実に威風堂々としていますが、そのライオンの堂々としたところが、決まりを守れなかったことでマクビーさんに叱られ、メリウェザー館長の助けを呼ぶことも出来なくて、意気消沈したずぶ濡れの姿との落差を大きくします。

色エンピツと水彩を組み合わせたような手法で、リアルな動きの多いコミックスのような絵の雰囲気は、今まで手にした絵本とは随分違い最初は少し違和感がありましたが、繰り返し読むうちにこの絵こそがこの作品には一番相応しいと思うようになりました。

何故ならば、ライオンの純粋で誰にでも優しい心は、静的な表現を主体とする一般的な絵本の様式に収まり切らないものだと思うからです。
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今日の朝は畑の見回りだけです

2009-02-10 20:55:54 | 日記
写真は、三番目の大根を半分まで収穫した場所です。

・三番目の大根の陰になってしまったスナックエンドウ
・ソラマメの播種の最初と最後の違い
・畑の脇の駐車場の進入経路になって踏まれたソラマメの苗
・鉢植えソラマメに出来た花芽
・ぐんぐん伸び始めたスナックエンドウ
同上
・とう立ちが始まり、明日あたりが収穫適期の紅苔菜
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絵本の鉱脈

2009-02-10 20:48:19 | 日記
今日、そのひとつを掘りあてたのかも知れません。

・いせ ひでこ・作「絵描き」
・今日手に入れた「いせ ひでこ」の三冊

今日も18時過ぎに退社することが出来ました。
とても幸福な日が続きます。
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魔笛 ミヒャエル・ゾーヴァ=画

2009-02-09 21:23:46 | 日記
魔笛
ミヒャエル・ゾーヴァ=画
那須田淳=文


■あらすじ■

王子タミーノは夢の旅の途中の宿で、うなされる夢からの目覚めの後に気の良い鳥捕り名人パパゲーノと出逢った。
そこに夜の女王の手下である三人の魔女が登場し、夜の女王の娘であるパミーナ姫を王子に紹介しようとする。
魔女が差し出した姫の絵を見て、王子は一目で恋に落ちてしまう。
窓が開いて夜の女王が登場し、太陽の司祭ザラストロにつかまっているパミーナ姫の救出を王子に嘆願する。
ザラストロは夜の女王の夫である太陽の王のいちばん弟子でありながら、太陽の王の魔力を奪い、なおかつ娘のパミーナ姫もさらってしまったと言うのだ。

王子が女王から贈られた、危難から救ってくれるという金色の魔笛とパパゲーノに贈られた銀色の鈴を持って二人は太陽の神殿に向かった。

王子の寝室にある暖炉をくぐって太陽の神殿に着くと、そこには荒涼とした大地が広がっており、空を覆う闇は太陽が昇るのを邪魔していた。

二手で姫を探すためにパパゲーノと別れた王子の前に永遠の子供(三人の童子)が現れ、道案内をすると言った。
パミーナ姫を気遣う王子に、童子の一人が魔笛を吹くように言い、王子が笛を吹くと姫の寝室の光景が浮かび上がった。

逃げ出そうとしたものの、再び捕まってしまった姫のそばには醜い巨人のモノスタートスがいて、今にも姫に襲いかからんばかりであったが、突然入ってきたパパゲーノに驚いたモノスタートスは逃げ出してしまう。
びっくりした姫だったが、パパゲーノの言葉に安心して手に手を取ってそこから逃げることに。

パミーナ姫は、パパゲーノの優しさを讃えるが、パパゲーノは姫から優しいと言われても、自分には可愛い小鳥のような連れ合い(パパゲーナ)がいないことを嘆いた。
姫は恋や愛を真面目に語るパパゲーノに「きっと、そのうちに小鳥たちみたいに可愛らしい娘さん、パパゲーナがみつかるわよ」と微笑みながら返した。

王子が魔笛を離すと、パミーナ姫たちの姿は消え、戸惑う王子に童子はこう言った
*「この世で起きていることは、すべて幻だし、ほんものでもあるんだよ。きみがなにを信じるかで決まるんだ。さあ、パパゲーナとパミーナ姫を追いかけて、きみもいそげよ」

太陽の神殿に着くと、その眼に前の入口には三つの大きなドアがあった。

*向かって左から「理性」「叡智」「自然」と書かれ、それぞれにシンボリックな銅像がついていた。
*「理性」には本。「叡智」には鍵。「自然」にはウサギ。

童子は、ザラストロがこの神殿で「人はどう生きるべきか」を教えているのだと言い、そしてこの神殿では何があっても沈黙を求められているのだと言った。

初めに三つのドアのうちの「理性」と「自然」から拒まれた王子は、最後に「叡智」のドアに手をノックすると、ドアのある壁の右側の小窓が開いて僧侶が顔を覗かせたが、王子がそこを訪ねた理由を言うと驚くべきことに僧侶はこう言った。

*「さらわれた? ああ、おまえは、夜の女王にだまされているのだ。太陽の司祭ザラストロスさまがパミーナ姫を連れ出したのには、深いわけがある」

僧侶は、タミーノ王子が真理を求めることでその理由が分かると言ったが、ドアを開けてくれようとはしなかった。
それで、王子は魔笛を吹くと、再びパパゲーノとパミーナ姫の姿が心の中に映し出された。

パパゲーノとパミーナ姫は神殿の中で迷っており、ばったり鉢合わせした怪物モノスタートスとその手下の奴隷たちに捕まってしまいそうになったが、銀の鈴を鳴らして危機から脱することが出来た。
しかしパパゲーノが姫の手を引いて廊下を進むと大きなドアの先に大広間があって、二人はそこで群衆に捕まってしまう。

そこへやってきた司祭ザラストロは、意外にも優しい言葉をパミーナにかけ、姫を夜の女王の元に返さない理由についてこう言った。
女王の夫である太陽の王が亡くなる時に王が自分に全てを託したことで女王が心変わりをし、気まぐれ、嫉妬、物欲の化身となり、世の闇に溶け込んで人の心を乱れさせているのだと。
そして彼の使命は、自分の「叡智の神」の名にかけて、その呪いを解くことだとも告げた。

一方王子は理性のドアの前にいたが、それを知っていたザラストロの指示で動いたモノスタートスに捕まってしまい、その時に魔笛も取り上げられて司祭ザラストロの前に引き出されてしまう。

しかしその時初めてタミーノ王子とパミーナ姫は出会い、一瞬にしてお互いに恋をしたことを知った。

モノスタートスは、王子を捕らえた褒美を求めるが、真実(姫に言い寄っていたことを)を知っているザラストロは、逆にモノスタートスに罰を与える。
群衆はザラストロを賢者として讃え、広場は歓声に包まれた。

太陽の司祭ザラストロは、タミーノ王子が夜の女王にかけられた呪いを解くために、叡智の殿堂に進み、いくつかの試練を乗り越えるように言った。
そうすることで、この国が夜の女王の悪しき魔法から解放され、その時こそ王子に姫を委ねることが出来て、仲間のパパゲーナにも良き伴侶が見つかると言うのだ。

最初の試練では夜の女王の手下の魔女が呼びかけてきた。
魔女からはザラストロの言葉に耳を傾けると地獄におちると言われたが、王子は沈黙を守り通して試練をくぐり抜けることが出来た。

書架の間を抜けながら次の試練に向かう途中の窓からは中庭が見え、そこにはベンチに座るパミーナ姫が見えたが、その背後にはモノスタートスが潜んでいた。

そこに雷鳴をとどろかせて、パミーナ姫の母親である夜の女王がやってきた。
姫に短剣を渡して司祭ザロストロの殺害を強要するが、パミーナ姫はそれを拒否したので、女王は憎悪をあらわにしながらも地下にもぐるしかなかった。
それを見ていたモノスタートスは、パミーナ姫にそのことをザラストロに秘密にすることを条件に、自分を受け入れるよう求めたが、その時現れたザラストロに閃光で打たれ、追い払われてしまう。

王子はそこまでの様子を小窓から声一つ上げずに見ていたが、小窓は案内の僧侶によって閉められてしまった。
僧侶は二人に、沈黙の試練がまだ続いていることを告げてその場を去っていったが、そこへ腰の曲がった老婆がグラスに入った水を持って来ると、陽気なパパゲーノは黙っていられずに、その老婆をからかってしまう。

老婆が消えると三人の童子が空から降りて来て、ザラストロの命令だと言って魔笛と銀の鈴と食事を二人に渡し、また空に帰ってしまった。

王子タミーノは、愛しいパミーナ姫を思い浮かべて笛を吹くと、今度は本物の姫がやってきた!
姫は王子と話をしたがったが、沈黙をまもらなくてはならない試練の途中なので王子はそれに応じることはなかった。

そこへそこまでの試練の終わりを告げるべく、ザラストロが僧侶を伴ってやってきた。
王子はそこでの試練を越えることが出来て次の試練に向かうことになったが、パパゲーノは沈黙を守れなかったためにそこに残されることになってしまった。

残されたパパゲーノは、自分の弱さを嘆きながら一人ワインを飲み始めると、そこにやってきたのはさっきの老婆で、彼が自分のものになるなら、ここから出られると彼に誘いかけるのだった。
神殿の奥に閉じ込められたままより、老婆のものになった方がまだましと思ったパパゲーノが老婆の手を握ると、老婆は小鳥のしっぽのある若くて美しい娘に姿を変えて彼の前に立った。
パパゲーノは、これが自分の求めていた「可愛いパパゲーナ」だと喜んだが、あろうことか彼女は僧侶たちに連れ去られてしまい、その場で頭を抱えてしゃがみ込んでしまう。

王子の次の試練は火の神殿だった。
獣の頭をかたどった巨大なモニュメントがあって、その中では火が燃え盛っていたが、そこにパミーナ姫がやってきて自分も王子と一緒に行くと言った。

姫がその気持ちを歌いあげると、炎を守る鎧の男たちは姫が王子とともに行くのを許した。

*「はじめて会ってきみに惹かれたときよりも、今の方が、はるかにきみを愛しているような気がするのはなぜだろう?」
*「わたしも同じ気持ちよ。苦しみを重ねただけ、喜びが大きいのかしら」

王子はしっかり姫の手を握り、パミーナ姫はにっこり微笑んでこう歌った。

*今こそ 魔笛を吹いて
*その魔笛は 亡きわたしのお父さま 太陽の王が
*風の日の魔法の時間に 千年の樫の樹を選んで刻んだもの
*きっと わたしたちを守ってくれるでしょう

炎を前にして王子が魔笛を吹くと、激しく燃えていた炎は次第に小さくなっていき、二人は難なくその炎を越えることができたのだった。
そうして炎の試練を越えると、二人は水の神殿に連れていかれ、次なる水の試練が待っていた。

神殿には巨大な魚の頭をかたどったモニュメントがあり、中で濁流が水しぶきをあげて渦巻いていたが、恐れるものがない二人は魔笛の音とともにそこに飛び込むと、水しぶきは小さくなり、気がつくと魚の巨像を抜けていたのだった。

二人は微笑みあい、見守っていた僧侶たちは歓声を上げ、二人にこう言った。

*若者たちよ 試練の時は終わった!
*おまえたちは 夜の女王の呪いを打ち破ったのだ
*おかげでこの国も 夜の女王のよこしまな魔法から解き放たれ
*時間の秩序を 取り戻すことができる!

その時、ふとタミーノ王子とパミーナ姫は、引き離されてしまったパパゲーノのことを思い出し、王子は彼のことを念じて魔笛を吹くと、心の中に森の中をよろけながら歩くパパゲーノの姿が見えた。

なんということか!パパゲーノは「可愛いパパゲーナ」と引き離されて絶望し、自殺しようとしているところだったのだ!

そこへやってきた件の三人の童子は、パパゲーノに自殺を思いとどまるよう諭し、パパゲーノに魔法の銀の鈴をならすように言った。
すると、老婆がやってきてパパゲーノの手を握るや、小鳥のしっぽのある娘に変身したのだった。
パパゲーノは喜んだ。二人はダンスを始め、そして喜びの歌声が広がる。

タミーノ王子とパミーナ姫は、太陽の民である群衆を背に太陽の神殿の祭壇の前に立ち、司祭ザラストロは一番鶏の声とともに、夜の女王の魔法からの解放と秩序の回復を宣言した。
神殿のはずれに潜んでいた夜の女王や魔女たち、そして怪物モノスタートスは、きらめく朝の光に打たれてたちまち消え失せてしまった。

ザラストロは続けた
「太陽が夜の闇を追い払ったのだ。これから闇は、太陽の沈むいっときだけに現れ、日の出とともに地の底に戻る定めになるだろう。愛と叡智に感謝を!」


        ■ここからがレビューです■


下記(>)は、リンク先からの引用です。

>ゾーヴァがモーツァルトのオペラ「魔笛」の舞台美術と衣装草案のために書き下ろした原画を使い、物語化された大人向きの絵本です。

絵本と実際に舞台化されたオペラとの内容の違いは分かりません。
ただ、絵本の中で登場した人物の状況や心情を語ったり歌ったりする場面は、舞台の上であることを想像しなから読むとしっくりします。

問題解決の視点で見れば、これは「秩序回復」の物語です。
夜の女王は誰かを殺めたり何かを奪い取ったりしたのではありません。
また、ファンタジーにありがちな、「世界を救う」的に大袈裟なテーマでもありません。

女王は夫である太陽の王を愛していました。
その夫に対する盲目的とも言える愛が、夫がなしてきたことを叡智の神でもある司祭のザロストロに引き継がれることを拒んだのでしょう。
彼女のやったことはその魔力で太陽の国を闇で覆うことであり、それが彼女にとって夫が収めた国に対する彼女なりの支配であって、亡き夫に対する愛の証だったのです。

元来、愛と叡智は相いれるものではありません。
王の亡きあとにその「秩序」を巡って、夫への盲目的な「愛」と「叡智」が対立するのは当然の成り行きでしょう。
そして「秩序回復」の物語は、夢の世界の魔法によって彩られます。
魔法のアイテムは、女王、司祭のどちらに組みするものでもありません。また途中から登場する三人の童子にしてもです。
しかし童子らや魔法のアイテムは、要所々々で主人公たちを助け、次の展開へと導いてくれます。

その世界で起きている問題とは無関係の主人公が、与えられた試練を乗り越えてその世界を救うのはファンタジーのお約束ですが、ファンタジーとオペラの組み合わせはどうもしっくりきません。
ここではファンタジーの底に脈うつ「希望」が一番のテーマではないと思いますし、一途な愛とそれを諌めるがごとき「叡智」との闘いは、オペラの主題には相応しくないと思うからです。

であれば、この絵本のテーマは一体何だったのでしょうか?

それは、登場人物の一人であるパパゲーノの描き方で見てとれます。

日本人のイメージで陽気なイタリア人を彷彿させるパパゲーノは、登場した時には軽薄そうな女好きのイメージを与えながらも、男と女の愛について強い信念を持っています。
それは姫をモノスタートスから救った時に姫に語った言葉に表されており、王子が写真を見て一目惚れするほど美しい姫と手をつないで逃げながらも、心を姫に移すことはありませんでした。
姫に心を移さなかったのは、自分の求める相手のイメージをしっかり持っているからであって、その思いは老婆が変身した「小鳥のしっぽのある娘」と出会った時に成就されます。
しかし彼は、試練を受けている間の沈黙を守れなかったために王子から引き離され、「小鳥のしっぽのある娘」とも出会ったその束の間に引き離されてしまいます。

実は筋書きのところでは省略してしまいましたが、パパゲーノの最初の登場シーンで、彼はタミーノ王子に嘘をついてしまいました。
王子が大蛇に襲われそうなところを、あたかも自分が救ったかの如く言ってしまったのです。
しかし、大蛇を倒したのは夜の女王の配下である三人の魔女でした。
彼はこの最初のシーンで、彼の適当でお調子のりなところをたっぷり見せてくれたのです。

しかしこのような人物であっても、彼に好感を抱く人間は沢山いるでしょう。
彼は王子とともに最初の試練を受けた後に、書架の間を抜けていく途中の小窓から見えたパミーナ姫の背後に潜む、姫に片思いのモノスタートスに同情しているのです。

この物語は、例えそんな意思が弱くて試練を乗り越えることができない人間に対しても、魔法とともに幸福な結末が用意されているのだということを暗示させてくれます。

そして、この絵本のあとがきにはこうありました。

*つまり「魔笛」は、人間のだれもがもつ弱さやもろさに優しく目をむけた人間賛歌なのだ。


「人間賛歌」


もしこの本を手にされたなら、その言葉を心に刻んで、もう一度パパゲーノの登場シーンを開いてみてはいかかでしょうか。
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久し振りに早い退社なので駅前書店に立ち寄りました

2009-02-09 20:43:32 | 日記
18時過ぎに会社を出るのは、忘年会を除けば一年振り以上でした。

せっかくなので、絵本を探しに遠回りして駅前の書店に立ち寄ります。

今日はレビュー用に、この二冊を手に入れました。
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大根が豊作です

2009-02-08 19:08:11 | 日記
これは播いたのが昨年の10月19日ですから、およそ三か月半での収穫です。

種苗会社からの情報によれば下記の通りですので、播くのが半月以上遅かったにも関わらず、収穫は品種として設定した範囲内に収まったので大成功と言えるでしょう。
これも牛フン堆肥を沢山使った結果です。

  播種  収穫時期 
・8月下旬~→10月中旬~
・~9月下旬→~2月中旬 ※4

※4)12月中旬~2月中旬 霜除けをする

この大根は間引きに失敗し一箇所2本残しのまま大きくなってしまったので、一箇所から一本収穫してもまだ半分が残ります。
普通なら収穫した後は土が見えてしまうのですが、まだ一本ずつ残っていますので、これが半分まで収穫した畑とはとても思えません。

・昨年11月11日の三番目の大根とその隣の紅苔菜の生育の状況

紅苔菜の収穫

・兄夫婦と姪夫婦が遊びに来てくれたので、もてなしのために求めた○ンシャンのケーキ

・昨日から始めたジャガイモの植え付けの準備の続き
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いよいよジャガイモの植え付け準備です

2009-02-07 19:18:05 | 日記
植え付ける場所は、畝立て場所に深さ20センチ以上の溝を切って溝一本当たり鶏糞半袋(7~8キロ)を施し、更にその上から牛フン堆肥を3袋施します。

実は今年のジャガイモは、実験的に元肥えの化成肥料(14-14-14)を使用しないことにして、その代わりに元肥えに牛フン堆肥を沢山使うことにしています。

今日の畝一本当たりの牛フン堆肥使用量3袋は、重量にして30キロですので、化成肥料換算では約2キログラムとなり、ジャガイモ1株当たり50グラムを施すとすれば40株分に相当しますので、まず不足はないと考えます。

・最後の大根の陰になってしまったスナックエンドウ
・木曜の収穫の後にとう立ちした紅苔菜
・4番目以降に播種したソラマメ
・最初から3番目に播種したソラマメ
・今日の畑の全景
・ここでは○ョイフル本田より安い○イツーの鶏糞

・例年なら手を出さない春播き用大根種の購入

・当初失敗だと思ったが、ほぼ成功の一箇所に二本残しした大根
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お向かいのブロッコリーに鳥の食害が出ました

2009-02-06 20:26:18 | 日記
これは間違いなくヒヨドリの被害です。

ここはまだ人通りがあるからましな方で、私の畑の近くの他所のブロッコリーはこんなでした

そこで対策ですが

・まずは、釣り糸を周囲に張り巡らします
・ダメ押しで保護キャップを被せます
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