もも吉さんのブログに、年に1回だけの落語会の話が載っていました。
「年に1回だけ?」に関心が湧いて、ネットで調べてみました。
主宰者は樋口強さんで、プロの落語家ではなく、東レに勤めていたサラリーマンでした。
3年後の生存率が5%。5年は数字がないという悪性の肺がんに侵されたにもかかわらず、その後15年間生き抜いてこられた方でした。
懸命の治療あとに辛い後遺症があって50歳過ぎで退職しましたが、今も痺れは残っているそうです。
1年に1回の落語会は、そんな樋口さんが癌患者とその家族のためだけに東京深川で開かれる無料の独演会なのです。
そこには「笑いは最高の抗がん剤」の考えがあるのです。
エッセイ本も数冊発刊されていました。
癌患者の本というと、心に重くて、気持ちが落ち込みそうな気がするので読んだことがありません。
樋口さんの本は「最近、あなた笑えてますか」というタイトルだし、落語「いのちに感謝の独演会」を収録したCDがついていたので、読みたくなりました。
帯には、「ストレス社会を心豊かに伸びやかに生き抜く法」、「変化に追われ、疲れぎみの方々へ」とあります。
本には、「心豊かに生きる極意」が書かれています。
1 ほしいものには妥協しない
2 明日よりも今日が大事
3 論理より直感を信じなさい
4 居場所を確保する
5 自分に正直であれ
6 自分の力を信じなさい
飼い猫のピーちゃんからの教わったという6つの極意です。
軽いタッチで書かれていますが、内容は深いです。
読んでいくうちに、癌と真っ向から戦った筆者の癌患者への思いが伝わってきます。
落語の独演会は、話芸の作品を通じて「生きることの喜びを笑いで伝えよう」ということから始めたのだそうです。
最初に落語のCDを聞きましたが、プロはだしです。
ネタの面白さと、喋り方、間の取り方は、相当なものです。
40年間、社会人落語とかかわりがあったからこその話術でしょう。
毎年、落語会で演じる新しい創作落語が作られます。
CDには、「病院日記‐一診一笑」という演目が収録されています。
死に直面した患者だったからこそ言えるネタです。
病気を患った人と家族が一同に笑っているのは、素晴らしいことだし、痛快でもあります。
「笑える力こそが生きる希望と勇気を生み出してくれるのだ」との強い思いが落語会の原動力なのでしょう。
参加者はみんな来年の公演に来ることを目標に、また苦しい治療に専念することができると書かれています。
最後にある、癌治療の方の数々の声が胸に突き刺さりました。
「昨日と同じ今日があり、今日と同じ明日があることだけで幸せです」・・・ets
あっしの周りにも、癌治療をした方が数名います。
再発しないようにと、いつも願っています。
生きていることの有難さを、もっともっと感じて、感謝しなければ・・・。