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報告書不正入手、山崎前社長が直接指示

2009-11-10 22:53:55 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR西、前社長が直接指示…事故報告書案漏えい(読売新聞)

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 JR福知山線脱線事故の最終報告書案漏えい問題で、JR西日本の山崎正夫・前社長(現・嘱託)が、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の窓口となる同社の担当部門の社員(55)に対し、漏えい工作を直接指示していたことがわかった。

 社員を通して事前に入手した報告書案を公述人への応募を働きかけた国鉄OBに送付。そのうえで、山崎前社長が、述べてほしい意見をOBらに伝えていた。刑事責任追及をかわす狙いがあったとみられ、山崎前社長が工作を主導していた可能性が強まった。

 JR関係者らによると、事実調査報告書が公表される前の2006年12月頃、山崎前社長は社員に対し、「報告書案の内容を把握したいので、その資料をできるだけ早く入手してほしい」と指示。これを受け、社員は事故調の佐藤泰生・元鉄道部会長(70)らから報告書案を入手した。

 山崎前社長は社員から入手したとの報告を受けた際、07年2月予定の意見聴取会で意見を述べてもらう公述人候補に、国鉄OBだった伊多波美智夫、小野純朗両氏の名前を挙げ、「あらかじめ報告書案を送っておいてくれ」と要請した。

 その際、山崎前社長は社員に、「伊多波さんは運転保安設備の専門家。新型の自動列車停止装置(ATS)をカーブに整備することは一般的ではなかったという当社の意見を理解してもらいたい」、「小野さんはダイヤに詳しい。福知山線のダイヤは過密ではないという話をしてもらいたい」と話していたという。

 この頃、兵庫県警は、現場カーブへのATS未設置を業務上過失致死傷容疑で立件する最大の焦点に絞り込み、幹部らの聴取を進めていた。また事故を起こした運転士が異常な速度で運転した背景に、余裕のないダイヤがあったとみていた。

 山崎前社長の発言は、こうした捜査をかわす狙いがあったとみられる。
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一時期、山崎社長(当時)には、遺族対策を真摯に行い、一部の遺族から信頼を勝ち得る一歩手前まで行った時期もあった。しかし、この事実はどうだろう。完全に報告書の不正入手を主導している様子がうかがえる。

福知山線のダイヤに余裕がなかったことは明らかである。事故当時の運転時刻表(運転士が運転中、運転席に備え付ける業務用時刻表)には10秒発、40秒着などと表記されているものもあった。従来の列車ダイヤの考え方を変更してまで運転時分を切り詰めようとしていたことは疑いない。

そもそも国鉄時代は列車ダイヤの最小単位は15秒だったから、30秒発や45秒発はあり得ても、10秒発、40秒発などというダイヤはあり得なかった。今でも西日本以外のJR各社は基本的に15秒単位のダイヤを踏襲している。かつて「時計より正確」と言われた国鉄のダイヤは列車本数が少ない当時だったからこそ運用できた部分もある。東京や大阪の国電区間では、ラッシュアワーを中心に15秒単位のダイヤすら形骸化し、守れないことが常態になっていたというのに、国鉄時代より4割も人員を削減したJR西日本が国鉄時代より厳しい10秒単位などというダイヤを設定したのだから、守れるほうがおかしいのである。

当ブログはこうした事情を知っているから、事故を起こして亡くなった高見運転士の責任など問えるわけがないと思っている。山崎前社長の責任も確かに重大だが、前任者が築いた体制の上で指揮を執らなければならなかったという意味での限界も抱えていた。報告書不正入手は、そうした中から生まれてきた企業犯罪であり、山崎前社長の罪は当然問われてしかるべきだが、同時に彼ひとりだけが責任を問われるのも公平を欠く。やはり、こうしたダイヤにするよう指示した会社発足以来の歴代幹部の責任こそ問われなければならないのである。

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