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JAL、更生法適用で事実上「倒産」

2010-01-24 22:45:49 | 鉄道・公共交通/交通政策
JALが支援機構傘下で再建へ、負債総額2兆3000円超(ロイター)

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 [東京 19日 ロイター] 日本航空(JAL)<9205.T>は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。企業再生支援機構も同日夕、支援の正式決定を発表し、JALは支援機構をスポンサーとして再建を図ることとなった。

 負債総額は2兆3221億円となり、事業会社としては戦後最大、負債の多い金融業を含めると戦後4番目の大規模経営破たんとなる。

 更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、JALキャピタルの3社。事業会社としては2000年のそごうの1兆8700億円を抜く負債総額となる。1951年に設立され1987年に完全民営化した、日本のフラッグキャリアが事実上国の管理下に入る。国内大手航空会社としては初の破たんとなる。

 支援機構はJALの管財人として裁判所に選任され、再建のスポンサーとなった。支援機構は、破たん後のつなぎ資金として支援機構と最大債権者の日本政策投資銀行が6000億円の融資枠を設定し、資金繰りを支える。支援機構の試算によるとJALは2010年3月末で8449億円の債務超過となる見込みで、このため金融機関などに対する3500億円の債権放棄を含めた総額7300億円の債権カットの実施や、支援機構による最低3000億円出資で債務超過を解消する。株主責任を問うために100%減資を実施し、上場廃止する計画となっている。機構は路線整理や人員削減などのリストラも進め2013年までに再建を完了させる。12年度には売上高1兆3585億円、営業利益は1157億円を目指す。 

 金融機関に対しては貸出金などの債権の無担保部分の83%を一律カットする計画。これに伴い社債や燃油デリバティブなどの債権者に対しても最大で83%のカット率が適用される可能性がある。 

 一方、燃油や部品、備品など一般商取引や利用客のマイレージについては、支援機構がすでに保護を表明しており、通常の運航を継続しながら再生を図る。JALの新しい会長兼最高経営責任者(CEO)には京セラの稲盛和夫名誉会長が内定している。西松遥社長は19日付で退任し同日夜に支援機構と共同で記者会見する。 

 JALは2001年の同時多発テロ以降、国際線需要の急減を受け旧日本エアシステム(JAS)と統合したが、組織統合の遅れや、燃費効率の悪い大型機材を多数保有し続け、競合する全日本空輸<9202.T>と比べ高コスト体質の改善が遅れた。

 業績悪化は、不採算な地方空港を作り続けた国土交通省など行政側にも一因があり、前政権までJALの抜本的な再建は先送りされてきた。2001年以降、日本政策投資銀行による緊急融資や、総合商社など取引先企業を引き受け先とする第三者割当増資で自己資本の増強が図られた。 

 しかし昨秋発足した新政権は、激化する東アジアの航空市場で日本の航空・空港産業を強化するため、JALの抜本的な処理が不可欠と判断。前原誠司国交相直轄のJAL再生タスクフォースが昨年10月末に再生計画を立案したが、巨額の金融支援には公的資金が不可欠との判断から企業再生支援機構で支援が検討されてきた。政府の支援体制をめぐり閣内が揺れ動くなか、支援機構は昨年末に裁判所を活用した公平な再建が不可欠と判断し、日本で初の会社更生法を活用した事前調整型(プレパッケージ型)法的整理を手法として選択した。
 (ロイター日本語ニュース 竹本能文記者 布施太郎記者)
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このニュースについては、他サイトに掲載した当ブログの声明を転載することで記事の解説に代えたい。

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日本航空の「会社更生法適用」に関する声明
~日本航空破たんの原因は政府・財界・自民党だ~

 経営危機が続いていた日本航空再建問題は、同社に会社更生法を適用し、「倒産」させることで政府、企業再生支援機構及び主力取引銀行との間で合意が成立した。これを受け、2010年1月19日、同社に対する会社更生法の適用が決定された。2兆3221億円の負債額は、金融機関を除けば戦後最大となる。

 当ブログの見るところ、かつて半官半民のナショナルフラッグとして日本の空に君臨した日本航空が倒産に至る過程において、歴史的転機が2回あった。ひとつはいうまでもなく、日本航空の安全への不信を呼び起こし、利用客離れを決定的にした1985年の御巣鷹へのジャンボ機墜落事故であり、もうひとつは採算性の悪い地方路線を多く抱え込むことによって経営悪化に拍車をかけることになった2002年の日本エアシステム(JAS)との経営統合である。

 日本航空の経営破たんの背景には、政府による航空行政の失敗がある。その最たるものが無駄な空港建設である。2009年末現在、日本には98の空港が存在するが、面積が日本の約22倍のオーストラリアの空港数が616、約46倍の面積を持つロシアの空港数が147であるのと比べても、日本の突出ぶりがわかる。農民の土地を暴力的に強制収用して建設された成田空港、希少生物であるオオタカの森を破壊してまで建設が強行された静岡空港などは、空港の設置それ自体を認めることができない。

 これほど多くの空港が建設された背景には、建設利権に群がった旧自民党政権と建設業界などのグローバル資本である。国土交通省は、彼らの利権を確保するため、無駄な空港建設に突き進んできた。その結果、日本航空は採算の見込めない地方空港に強制的に就航させられた。日本航空の巨大な債務は政府と財界によって作られ、押しつけられたものである。建設業界、自民党、国土交通省の責任を追及しなければならない。

 2005年、日本航空ではエンジン部品や車輪の脱落、滑走路誤進入といった運行トラブルが相次いで発生したが、このような安全の危機が進行していたさなかにも、日本航空本社では反社長派の役員らが社長退陣を要求するなどの見苦しい内紛が続いた。こうした経営陣の危機感・当事者意識の欠如が今回の日航破たんの背景にあったことは明らかである。会社更生法適用によって、現経営陣は退陣を迫られるものとみられるが、安全対策もそっちのけで権力闘争と自己保身に明け暮れた無能な経営陣の退陣は当然である。

 今回の法的整理にあたって、政府が現役社員・退職者の年金の減額を強制しようとしていることに、当ブログは強く抗議する。日本航空の破たんは、すでに明らかにしたように、建設利権に群がった建設業界と自民党、無駄な空港づくりに突き進んだ国土交通省、安全危機のさなかに権力闘争と自己保身に明け暮れた日本航空幹部らの共同責任である。労働者に責任がないなかで、政府が現役社員・退職者各3分の2以上の同意を隠れ蓑に年金減額を強行しようとしているが、退職者も含め、労働者がみずから掛金を支払ってきた企業年金の一方的減額は、国鉄分割民営化の時ですら行われなかった暴挙であり、詐欺以外の何ものでもない。

 政府・企業再生支援機構は、日本航空全社員の3割に当たる1万5000人の人員削減を強行しようとしているが、分割民営化に当たって国鉄時代から3割の人員が減らされたJR東日本では、早くも民営化翌年の1988年には東中野駅事故が起き、乗客が死亡したほか、2005年には羽越線事故が引き起こされた。JR6社のうち、人員削減率が43%と最も大きかったJR西日本では、信楽高原鉄道事故(1991年)、尼崎脱線事故(2005年)によって、すでに150人近い乗客が死亡した。政府・企業再生支援機構が日本航空で同じような人員削減を強行しようとするならば、必ずや悲劇的結末を招くであろう。

 御巣鷹事故の遺族らでつくる「8・12連絡会」が1月12日、前原誠司・国土交通相に対して提出した要望書は、「再建による合理化とリストラで安全問題が置き去りにされ、航空機事故の再発につながることを連絡会として最も心配している。安全確保に必要な人員と財源について、経営再建にあたる裁判所にも伝わる形で示していただきたい」との決意が示されている。当ブログは、政府が日本航空労働者の首切りを強行するならば、御巣鷹事故遺族と連携して最後まで闘い抜くことを表明する。

 当ブログは、御巣鷹事故25周年を迎えるに当たり、ありもしない「急減圧」があったとうそぶき、「圧力隔壁崩壊説」をでっち上げることによって真の事故原因を覆い隠した政府・国土交通省を糾弾し、事故原因の再調査を要求する。それは、日本航空に借金を押しつけて破たんさせ、労働者にその責任を転嫁することで逃げ切りを図ろうとする者たちとの闘いでもある。当ブログが、25年前、御巣鷹に散った520名の無念を忘れることはない。

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