安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
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国は今こそ貨物列車迂回対策を!

門司港レトロ列車の開業は近づいたが…

2009-02-17 22:08:47 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
「やまぎんレトロライン」…って、なんだそりゃ?

新路線 「やまぎんレトロライン」 門司港トロッコ「潮風号」走ります 北九州市が命名権販売(西日本新聞)

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 北九州市は30日、同市の門司港レトロ地区で今春開業する観光トロッコ列車「潮風号」の路線名について、命名権(ネーミングライツ)を山口銀行(山口県下関市)に販売し、名称が「やまぎんレトロライン」に決まったと発表した。

 運行区間はJR門司港駅近くから和布刈公園までの約2.1キロ。全4駅のうち3駅の命名権販売先も公表。新名称は▽門司港駅(仮称)=「九州鉄道記念館駅」▽レトロ中央駅(同)=「出光美術館駅」▽文字ヶ関駅(同)=「ノーフォーク広場(日本料理『ら・むゑっと』入口)駅。

 和布刈公園駅(仮称)は命名権に応募がなく、官民の選考委員会の協議で名称は「関門海峡めかり駅」に決まった。

 市が命名権を販売した初の事例で、契約は3年間。1年当たりの契約金額(税込み)は路線名が294万円。門司港、レトロ中央両駅は各52万5000円。カッコ書きの併記名称として販売された文字ヶ関駅は21万円。

 営業運転は4月26日に開始予定。11月30日までの土・日曜日と祝日に14往復程度、運行される。5月の連休、児童・生徒の春・夏休み期間中は毎日運行する。

=2009/01/31付 西日本新聞朝刊=
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過去ログで既報の門司港レトロ観光列車だが、ネーミングライツ(命名権)の売却でなんだか変なことになっているようで。

ただ、土日祝・学生の休みの時期はほぼ定期運行されるようなので、乗りに行ってみたいと思っている。

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高知の胴体着陸と同型ボンバル機、住宅に墜落50人死亡

2009-02-16 21:35:21 | 鉄道・公共交通/安全問題
高知の胴体着陸と同型ボンバル機、住宅に墜落50人死亡(読売新聞)

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 【クラーレンスセンター(米ニューヨーク州)=白川義和】米ニューヨーク州バファロー近郊で12日午後10時20分(日本時間13日午後0時20分)ごろ、コンチネンタル航空の国内近距離便が民家に墜落し炎上した。

 この事故で、乗客44人と乗員4人、非番の操縦士1人の全員と、巻き添えになった民家の住民1人の計50人が死亡した。ほかに住民2人も負傷した。在ニューヨーク日本総領事館によると、乗客に邦人が含まれていたとの情報はないが、最終確認を急いでいる。

 米国家運輸安全委員会(NTSB)や警察などが事故原因の究明を急いでいる。米国土安全保障省はテロの可能性はないとしている。

 墜落したのは、カナダ・ボンバルディア社製の双発旅客機DHC8-Q400型機(74人乗り)で、2007年3月に高知空港で胴体着陸した全日空機と同型。コルガン・エアー社(本社バージニア州)が所有、運航し、ニュージャージー州のニューアーク国際空港からバファロー・ナイアガラ国際空港に向かっていた。事故は到着予定の約5分前だった。

 現場は、同空港から約10キロ手前の集落クラーレンスセンターで、13日朝になってもガソリンの異臭がたちこめた。爆発音を聞いて現場に駆けつけ、事故機が炎上する様子をビデオカメラで撮影した大学生アンソニー・トリジリオさん(19)は「ものすごい炎が上がり、現場は大混乱だった」と話していた。

 事故当日の12日には、ニューヨーク州など米東部では強風注意報が出され、各地の空港でキャンセルや遅れが相次いでいたが、事故との関連は不明。AP通信によれば、事故当時、現場一帯はみぞれまじりの天候だった。

 また、地元紙バファロー・ニューズ(電子版)によると、事故機には、バファロー出身の夫を01年9月の米同時テロで失った女性が乗っていた。女性は、夫の誕生日を現地で過ごそうと搭乗していたという。
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「やっぱり墜ちたか」…それが当ブログ管理人の感想である。国内でもトラブル続きだったボンバルディアDHC8-Q400。亡くなった方々には大変申し訳ないことだが、今まで無事に運行できたことが奇跡に近い欠陥機だと思っている。なんせ、過去ログで既報の通り、ボンバルディアという会社は機体整備のための作業手順書すら作っていなかったのだ。そんな状態でもなお、多くの航空会社がボンバルディア機を導入しているのは、燃費がよく低コストだからである。安全軽視、コスト優先という最近の航空業界を象徴する機種なのだ。

今回、墜落したのはプロペラ機のほうだが、ボンバルディア社製航空機はジェットであるCRJにも、飛行中に上空で片側のエンジンが突然停止し、緊急着陸するという事故が相次いだ時期があった。こうした重大インシデントの背景には、航空機の双発化という要因も絡んでいるのではないかという気がする。かつてのジェット機にはエンジンが4台あり、2台までなら飛行中に停止してもそのまま飛び続けることができたが、エンジンが2台しかない「双発機」ではエンジンが1台停止するだけで緊急着陸という事態になってしまう。エンジンの数を少なくするということは、エンジン停止の際のリスクがより大きくなるということである。

もし、双発化の陰に燃費の節約等の要因が絡んでいるとしたら、航空機メーカー各社は今回の事故を契機に、ジェット機の双発化についても安全性の観点から再点検する必要があるように思う。

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JR東日本発電所が信濃川から不正に大量取水 水利権取り消しへ

2009-02-13 22:55:51 | 鉄道・公共交通/交通政策
JR東日本発電所が信濃川から不正に大量取水 国交省、水利権取り消し手続き開始通知へ(新潟総合テレビ)

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新潟・小千谷市にあるJR東日本の発電所が、信濃川から長年にわたって不正に大量の水を抜き取っていた問題で、国土交通省は、早ければ13日にもJR東日本に対し、水利権の取り消し手続き開始を通知する方針。

JR東日本は、宮中取水ダムの取水口などにある観測装置4カ所に改ざんプログラムを組み込んで不正に取水していて、国土交通省などによると、信濃川発電所が信濃川から取っていた水は、1998年から2007年までの10年間で、およそ2億6,000万トン超過していたという。

JR東日本は、2008年に問題が発覚するまで、国土交通省に対して、「不正はない」とうその説明をしていた。

地元の漁業組合などは、「不正な取水で魚がすめなくなった」などとして、取水を即刻停止するよう求めている。

「信濃川をよみがえらせる会」の顧問・樋熊清治さんは「あの堤防からこの堤防までいっぱいに水が流れていいはず。一番立派なはずの川ですよ。魚はすめない、メダカもすめない」と話した。

国土交通省は極めて悪質だとして、早ければ13日にも、JR東日本に対して、水利権の取り消し手続き開始の通知を出す方針で、聴聞などを経て、1カ月後に処分が下される見通し。

信濃川発電所は、JR東日本のすべての路線に使用される電力量の23%を供給していて、場合によっては、首都圏のダイヤなどにも影響が出るおそれが出てきた。

(02/12 11:49 新潟総合テレビ)
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不正取水自体ももちろん問題だが、もっとも悪質なのは、改ざんプログラムを組み込むなど確信犯であることに加え、国土交通省へ虚偽報告をしたことだろう。

今、JR東日本は新宿駅「ベルク」立ち退き問題(法的根拠なくテナント飲食店に強引な立ち退きを迫っている)や、国労組合員のバッジ処分問題(東京都労働委員会の命令に従わず、JR東日本が国労バッジを着用した社員を不当に処分している問題)など、不法行為による多くの紛争を抱える。JR東日本はエキナカデパートだけでなく、不法行為のデパートも経営しているのか。遵法精神のかけらもない会社だ。

私は一罰百戒的なやり方は好きではないが、JR東日本に厳しい処分を科した国土交通省の対応を評価する。国鉄民営化以来、さんざんJR各社を甘やかし、馴れ合ってきた国土交通省とは思えないが、考えてみれば、処分を行った北陸地方整備局は旧建設省北陸地方建設局であり、鉄道会社を監督する旧運輸省系の組織ではない。今回、国土交通省が厳正な処分を行うことができた背景には、旧運輸省系組織にありがちな、JRに対する変なしがらみがなかったことも大きいと考えられる。

JR東日本が「法律なんて、適当につじつまを合わせておけば何も問われない」と考えているとしたら、そのような官僚的思考に今すぐ別れを告げるべきだ。みずから法律を破って恥じないJR東日本に、社員に対して規則だからバッジを外せなどと命ずる資格はない。

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北陸新幹線の建設費増、新潟県が負担拒否「説明不十分」

2009-02-12 22:11:28 | 鉄道・公共交通/交通政策
北陸新幹線の建設費増、新潟県が負担拒否「説明不十分」(朝日新聞)

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 2014年度末開業予定の北陸新幹線の長野―金沢間の建設費の地元負担をめぐり、新潟県の泉田裕彦知事は12日、臨時記者会見を開き、国から資材高騰を理由に約220億円の負担増を求められたが、「国から十分な説明がなく問題だ」と述べ、受け入れない考えを明らかにした。09年度当初予算案に盛り込まない方針。工事の進展に影響が出る可能性がある。

 新潟県によると、長野―金沢(白山総合車両基地)間の総事業費は約1兆5700億円で、新潟、長野、富山、石川4県が3分の1を負担することが政令で決まっている。新潟県の負担総額は1423億円で、08~14年度に残り650億円(推計)を負担することになっている。

 しかし、1月、建設資材の値上がりなどで総事業費が2200億円増の約1兆7900億円になったとして、国土交通省と、建設を担う鉄道建設・運輸施設整備支援機構が追加負担を求めてきたという。

 泉田知事は「突如200億円増えるのは地方財政上大きな問題。負担金制度のあり方自体がおかしいのではないか」と唱え、根拠を明確に示すよう申し入れる。

 国から求められる自治体負担をめぐっては、大阪府の橋下徹知事が、国直轄事業負担金を最大で約2割削減する方針を打ち出している。
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「突如200億円増えるのは地方財政上大きな問題。負担金制度のあり方自体がおかしいのではないか」(泉田知事)…まさにその通りである。

当事者甲乙合意して、契約書にいったんサインしたものを、後から条件を変えてくれということになれば契約違反だし、重大な信義違反である。これまでも同様の手法で、地方は雪だるま式に膨れあがる借金の前に破綻の淵に追い詰められた。「俺と一緒に屋根に上がってくれ」と言い、2人で屋根に上りながら、嵐が近づいたら自分だけさっさと屋根から降りて、ハシゴを外す。こういうやり方を、正しい日本語の表現で「だまし討ち」というのだ。

国も地方も運命共同体、一緒にタイタニックに乗って沈みましょう、なんてやり方を、これから先も地方が黙って認め続けるなどということはもはやあり得ない。今のようなご時世だからこそ公共事業は必要だし、やるなとは言わないが、そろそろ事業の仕分けの見直しが必要だろう。記事にある北陸新幹線のように、広域的に行われ、その影響も広範囲に及ぶものは国単独事業、一方で、特定の地域のために限定的な効果を狙って行われるものは地方単独事業とするよう、事業の仕分けを見直すのである。地方であれ国であれ、事業主体が計画から施工、完成後の効果に至るまで一体的に責任を持つような形でなければ実りある公共事業などできるわけがないではないか。

もし、そうした責任ある公共事業実施体制の確立のため、他の方法がないというなら、新潟県のような多少荒っぽいやり方で問題提起することもやむを得ないと当ブログは考える。

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白河だるま市

2009-02-11 18:02:49 | 日記
昨年に引き続き、白河だるま市に行ってきた。
地元では「だるま市は寒波が来る」と言われているが、記録的暖冬の今年は寒波どころか積雪すらない。昨年とはうって変わった暖かいだるま市に、参加者もやや拍子抜けの空気だった。

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JR西のリスクアセスメント制度 3割弱「問題点報告しにくい」 

2009-02-10 22:50:56 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR西のリスクアセスメント制度 3割弱「問題点報告しにくい」(産経新聞)

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 JR西日本の最大労組「西日本旅客鉄道労働組合」(JR西労組)は9日、JR福知山線脱線事故を教訓に同社が昨年4月に導入した、事故の予兆現象を事前に数値化して管理する「リスクアセスメント制度」に関するアンケート結果を公表した。事故につながる可能性のある職場の問題点を報告する際、組合員の3割弱が、上司との人間関係などを理由に「報告しにくい」と感じていることなどがわかった。

 調査は昨年12月から今年1月にかけて実施。駅員や乗務員、施設部門といった列車の運行に直接携わる職場を中心に、鉄道事業者として初めてJR西が導入した同制度の浸透度や運用実態など計9項目を尋ねた。

 同制度で上司への報告が定められている職場の問題点やミスについては、27%が信頼関係の不足などから「報告しにくい」と回答。また、報告内容を点数に置き換えて評価していることについても、52.3%が「点数優先主義になっている」などと答えた。

 JR西労組の倉橋源太郎中央執行委員長は「結果をさらに分析して、会社に改善を求めていきたい」と話している。
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鉄道会社として初めて「リスクアセスメント」を導入したJR西日本。もともと、これは労働災害の危険性を点数化して、事前にリスク評価をしていこうという趣旨で始まった制度である。しかし、この手法が成功するには、現場から危険性の評価につながる「ヒヤリ・ハット」事例の情報がうまく上がってくる空気が醸成されていなければならない。「日勤教育」で社員を締め上げているJR西日本にそれが果たして可能なのかと、私はかなり疑問に思っていたが、どうやら心配したとおりの状況になっているようだ。

私の考えは、2008年5月にあるメディアから依頼を受け、執筆した以下の文章に示されており、この考えは現在も変わっていない。最後にその文章を再掲したい。

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(2008年5月執筆)

●「安全基本計画」でJR西日本は変わるか

 2008年4月1日、JR西日本は26ページからなる「安全基本計画」を発表した。この計画は、2008~2012年までのJR西日本の安全対策を事実上規定するものとなる。

2005年4月の福知山線列車転覆事故(以下「尼崎事故」)以降、JR西日本は安全性向上計画の策定(2005年5月)、「安全諮問委員会」の設置(2005年6月)、「安全推進有識者会議」の設置(2007年9月)などの対策を打ち出してきた。今回の安全基本計画は、この安全推進有識者会議の提言を受けて策定されたものである。

 JR西日本が、安全対策に外部の意見を反映させようと考えること自体は悪いことではないし、事実、外部の目を意識したことによって同社の安全対策は一歩前に踏み出したように見える。果たして、この計画でJR西日本は変われるのだろうか。

○「リスクアセスメント」に見る暗中模索
 今回の安全基本計画の特徴は、「リスクアセスメント」を鉄道事業者として初めて導入した点にある。リスクアセスメントとは、もともと労働災害を減らす手法として出てきたものであり、『職場の潜在的な危険性または有害性を見つけ出し、これを除去、低減するための手法』(厚生労働省パンフレット『事例でわかる職場のリスクアセスメント』)とされる。具体的には、例えば職場の設備を原因とする労働災害発生の危険性であれば、「可能性が極めて高い」6点、「可能性が高い」4点、「可能性がある」2点、「ほとんどない」1点というように様々な職場の危険要因を数値化の上、危険度評価をする。総合点が大きいほど危険度が高い職場と判定される。

 その運用をここで詳述する余裕はないが、リスクアセスメント自体、労働安全衛生法の改正により2006年4月からようやく「努力義務」化されたもので、厚生労働省の資料によれば、具体的な危険が洗い出された実例は過去、841件に過ぎないという。しばらく今後の推移を見る必要はあるが、民間企業でもリスクアセスメントの顕著な成功例はまだ現れていない。

 そんな未知の手法にさえ頼らなければならないJR西日本の安全対策は、暗中模索の状態にあると評価しなければならないであろう。事実、安全推進有識者会議の報告は、『安全性の向上を目指す取り組みは未だ途半ばの状況にある』と、それを率直に認めている。

○ちぐはぐな安全対策
 尼崎事故の原因が速度超過にあること、その背景に速度照査型ATS(自動列車停止装置)の不備があることはもはや議論の余地がないが、一方で速度照査型ATSの一種であるATS―Pを設置していた線区においても、ATSに速度制限に関するデータが入力されていなかったり、誤っていたりしたために、速度照査機能が正しく働かなかった例がある。2006年1月、伯備線で保線作業員が特急列車にはねられ死亡した事故を契機にJR西日本が保線など臨時の作業用として導入した「作業区間防護用ATS地上子」(地上子とは列車検知装置のこと)も、実際には重すぎて運搬に2人必要となるため、保線の人員が減る中で役に立たず、神戸支社では使用実績もまったくない。

尼崎事故当時、厳しく批判された日勤教育についても、JR西日本首脳が廃止を明言しないまま、安全基本計画では『ヒューマンエラーは事故の結果であり原因ではない』として『「社員の取扱い誤り」の事故区分を廃止』するとしている。事故が社員の責任でないなら、日勤教育は何のために残るのか? 社員個人の責任を問わないまま行われる日勤教育とは何か? この問いに対し、JR西日本は回答していない。

 このように、JR西日本が打ち出す安全対策はちぐはぐで、これまでもことごとく失敗している。

○「人」の育成に関心を払わないJR
 作業区間防護用ATS地上子などという難しいものを持ち出さなくとも、伯備線事故のようなタイプの事故は現場に人を増やすことで防止できる。なぜなら単線区間では、駅の入口に設けられている「場内信号機」の表示を予告する「遠方信号機」というものが駅間に設置されており、その現示を見ることで先方の駅の入口にある場内信号機の現示はもとより、次の列車の進行方向さえ確認できるからである。本来、保線は列車を作業区間に進入させない「線路閉鎖」の措置をとるか、列車のない時間帯に行うことが最も望ましいが、そのような措置がとられず、また列車ダイヤが乱れているときでも、駅の両側にある遠方信号機に人を配置し、信号現示の内容を報告させることで、次の列車がどちらから接近してくるか容易に判断できるのだ。

 しかし、JR西日本がそうした現場要員を増加したという話は聞こえないし、現場からそのような声が会社首脳に届けられたという話も聞かない。恒常的な経費の増加につながる増員には今も消極的なままだ。

JR西日本が尼崎事故後に始めた「安全ミーティング」も、あらかじめ会社に従順な社員だけを選んで参加させ、幹部が一方的に社員に訓示を垂れて終わりだという。社員が会社に質問する時間は与えられず、現場も会社を恐れて声を挙げられない状況にまったく変化はみられない。

 冒頭に紹介したリスクアセスメントにしても、事故の予兆やミスが小さなことまで報告されて初めて危険度の数値化ができる。会社を恐れるあまり、社員が危険を見つけても報告を怠るようでは最新の手法もかけ声倒れに終わる。安全を守るには、質量の両面において「人」が尊重されることが必要なのだ。

○変わるべきは幹部
 5月16日、JR西日本の丸尾和明副社長が子会社・日本旅行の社長に天下る人事が発表された。尼崎事故直後、幹部を子会社に天下りさせたJR西日本は、遺族からの厳しい批判によって天下り役員を退任させざるを得なくなった。その記憶も醒めやらぬうちにまた天下りとはどんな神経をしているのだろうか。

 最近出版されたJRグループ元幹部による国鉄「改革」礼賛本に、『民営化とは、体に染みついた「官」の臭いを、一枚ずつ引きはがすこと』とある。それならば問おう。子会社の役員ポストをたらい回しにし、天下りを繰り返すJR幹部。国鉄時代を悪しざまに非難し、企業人教育で社員をロボットに改造した幹部こそ、批判された悪しき「官」そのものではないのか?

 幹部のこの体質が変わらない限り、JRに安全が訪れることはない。

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ありがとう九州寝台特急記念乗車券

2009-02-09 23:46:03 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
ありがとう九州寝台特急記念乗車券は完売しました(JR九州長崎支社)

一瞬にして完売したらしい…私も1セット入手しておいたが。
車内はガラガラなのに、グッズはものすごく売れる。やはり、寝台特急は人気があるらしい。

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JR函館線の列車接近:「異常事態」の認識なく指令センターの対応遅れる

2009-02-07 22:34:35 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR函館線の列車接近:「異常事態」の認識なく 指令センターの対応遅れる(毎日新聞北海道版)

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 滝川市のJR函館線の信号機が1月15日に誤作動を起こし、上り旅客列車が滝川駅手前で停止していた貨物列車に280メートルまで接近して緊急停止した事故で、JR北海道は6日、指令センターに当初は重要なインシデント(重大事案)との認識がなく、対応が遅れたことを明らかにした。ATS(自動列車停止装置)が部分的に機能しない異常事態の場合、全列車を止めることになっているが、今回のケースでは同社は通常ダイヤで運行を続け、衝突を回避する運行方式に切り替えたのは事故から約4時間後だった。

 同社によると、旅客列車の運転士から緊急停止の無線連絡を受けた指令センター(札幌)の副指令長は、信号機と信号機の間(643メートル)に2本の列車が同時に進入するインシデントが起きたのを認識せずに運行を続け、信号機の作動状態を2回にわたって現地担当者に確認させた結果、異常が分かった。同社は「インシデントに気づくチャンスは何度かあったが、見逃した」としている。【斎藤誠】

2月7日朝刊
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過去ログで取り上げた重大インシデントの続報だが、このようなニュースに接すると、JR北海道は大丈夫なのか? という気がしてくる。

最近のJR北海道のインシデントで重大なのは、フェイルセーフ欠落による事例が増えているということだ。「危険を感じたらとにかく止めてみる」という視点が欠けている上、危機感がない。これは、福知山線事故直前のJR西日本と同じであり、大事故に至る会社の危険な兆候だということができる。

JRグループで次に大事故を起こすのはJR北海道なのではないか。私は今そんな気がしている。JR北海道の鉄道マンたちが少しでも誇りを持っているなら、いい意味で私の予想を裏切ってほしい。

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大黒摩季新アルバム感想【ネタバレなし】

2009-02-06 21:24:01 | 芸能・スポーツ
2月4日発売の大黒摩季ニューアルバム“Luxury22-24pm”を聴いてみた。
旧ビーイング時代のシングル曲をアレンジしたセルフカバーアルバムなのだが…

正直、私、今後も大黒摩季ファンであり続ける自信をなくしてしまった。前作“POSITIVE SPIRAL”の時、少しは彼女を再評価したりしていたのだが、また元の木阿弥だ。

「ああ、もうこの人は二度とホールでのライブはできないな」というのがこのアルバムを聴いた第一印象だ。最近メールのやりとりをしている友人が「アルバムを聞いて彼女が目指しているものが見えたような気がした」と評したが、その意味が理解できた気がする。

大黒摩季の目指す道は「身の丈にあったホームエンターテイメント」だろう。小さくまとまり、半径数メートルの世界の中に甘んじて、ステップアップを放棄する大黒摩季の現在の精神構造が凝縮されている気がする。「かすれた声を利用したプロデュース」という友人の評価にも全く同感で、私は大黒摩季が「超えてはいけない最後の一線」を超えてしまったのではないかという気がした。

ぶっちゃけた言い方をすれば「曲のほうを縮小していく自分に合わせた」という感じで、こんな使い方をされる過去の曲がかわいそうに思えるし、こんな状態の作品を「セルフカバー」なんて言ってはしゃいでいるようでは、さらなる彼女の地位低下は避けられないと思う。「セルフカバー」と言えば聞こえはいいけれど、要は単なる劣化コピーだ。

彼女はもうホールでのライブはできない(少なくともこのアルバムではやらないでほしい)し、やるならライブハウスだと思うが、世に送り出す曲が過去の遺産の劣化コピーに過ぎないものであるならば、やがてはライブハウスですら埋めることはできなくなるだろう。次々と劣化コピーを生み出していき、そしてそれがもはやこれ以上劣化できない状態になったとき、アーティスト大黒摩季は死ぬ。いずれにせよ、このままでは彼女の歌手生命はあと数年ではないだろうか。

ただ、新しく彼女のファンになった層は、過去の大黒摩季との連続性を知らないだけに、エンターテインメント指向を強めている彼女の作品を単純に楽しいと思うだろうし、私たちのような悲壮な感想は持ちようがないだろう。

この春、福島で2度目の大黒摩季ライブもあるようだが、正直、参加することに迷いを感じ始めている。もし、これが大黒摩季の目指す方向性であるならば、私はファンであり続けることが自分のためになるかどうか再検討しなければならないと思う。

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Suicaエリア拡大も、我が村へは及ばず

2009-02-05 21:07:38 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
Suicaをご利用いただけるエリアが広がります(JR東日本)

3月改正でSuicaエリアはさらに拡大するようだが、残念ながら東北本線は矢吹まで。新白河まで延伸の予定はないようである。

新幹線はモバイルSuica対応になっているが、新幹線停車駅で在来線がSuica対応にならないというのは、どうなんだろう。

ただ、黒磯以南は本社直轄、黒磯以北は仙台支社管轄であり、管轄をまたいだ在来線Suica利用をされては困るということなのだろう。黒磯~郡山間は元々乗客の少ない区間でもあるから致し方ない面もある(だからこそ、昔から白河が関東と東北の境界に位置づけられ、関所が置かれてきたのだ)。

3月改正以降も在来線Suicaが使えない黒磯~矢吹間は、いわば本社と仙台支社の境界に位置するデッドセクションというところだろう。

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