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第10回「感情がくせもの」集中力とミス

2014-07-30 | 健康・スポーツ心理学
第10回「感情がくせもの  2000文字
●感情が集中力を左右する
 感情と集中力とは密接な関係があります。
その一つが、感情のほうに集中力が独占されてしまう関係です。
たとえば、「イラつく」という感情を考えてみてください。そのイラついている自分の感情のほうに集中力が向かいます。そして、仕事に向けるべき集中力を、そのイラつきの原因探しや対応に使うことになります。かくして、仕事での集中力不足によるミスが発生します。
もう一つは、感情が集中力をコントロールする関係です。
たとえば、強い恐怖は、集中力を一点にのみ向かわせます。「7対3の法則」は、ここでは機能しません。あるいは、不安。選択しなくともよいものまで選択し、集中力を分散分させて、結果として集中力不足によるミスをもたらします。
 感情と集中力とのこうした関係は、感情がリスクセンサーの機能を果たしているところに由来します。
 つまり、何か危険があるとそれを瞬時に察知して感情が発生し、それに応じた対応行動をとらせます。ですから集中力を感情と連動させておいたほうが、生き残るには有効だったのです。
 ただこれが適応的に機能したのは、農耕、狩猟時代のことで、現在のような人工物で成り立っている社会では、感情と集中力と行動の間の関係は、それほど適応的ではなくなってきています。したがって、危機一髪の状況ではさておき、日常的な事態では、強い感情はできるだけ抑えて仕事に臨むほうが、ミスの可能性を低下させることができます。
●感情コントロールによるミス防止のための集中術
①感情状態の自己チェックの習慣をつける
 感情は集中力を奪ってミスを引き起こします。それに対抗できる心の習慣として、感情を冷静に見つめられるようにしておくことです。それには、言語化が有効です。今の気持ちを手帳に記すのもよし、一日を振り返ってこっそりと口にだすのもよしです。 
 表にはそんなときに使える感情表現用語の例を挙げておきます。語彙を豊富にすることも大事だからです。

表 感情表現語彙の例

②感情レベルを平常値に戻す
 感情は強弱があります。それが時間変動しますし、状況によっても変動します。
 ミス防止の点で一番気をつけなければいけないのが、感情のピーク時です。たとえば、怒り心頭に発するような時です。前述したように、仕事に向けられるべき集中力が感情のほうに独占されてしまうからです。
 そこで、できるだけ早く、ピーク状態から脱出することが必要となります。
それには、強い感情をもたらす現場から離れることです。望ましいのは、周りの人の支援でそれできれば一番です。
③ストレス状態では仕事をしない
ストレスでは、ネガティブ感情が中レベルで長時間持続します。集中力の選択と配分がうまくいかなくなります。「そんなことまでなんで心配するの」「そんなことにどうしてそれほどこだわるの」という状態になります。
これが仕事に関するものならまだいいのですが、その感情をもたらした世界、たとえば、対人関係のほうで起こりますから困るのです。
仕事そっちのけになってしまいまし、たとえ仕事をしてもミスをしがちになります。
 これは、ストレスマネジメントの話になりますので、これ以上は触れませんが、集中力という観点からも、無視できないトピックです。


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