達成感「やり遂げたという感覚を持つ」
●達成感のある人生だった
69歳、そろそろという時期になってきつつある。父も先般、91歳で天国へ旅立った。
頭をよぎるのは、過去のあれこれ。そして、結局は、「やれることはやったなー」「よくぞ、ここまできたものだなー」という感懐です。そんな中で思いついたキーワードが達成感でした。
心理学では、達成動機という用語はありますが、達成感はありません。
達成感。ここでは、「やるべきこと、やりたいことはやったなー」という満足感を伴った感覚です。「やるべきこと」は使命感に裏づけられた仕事、「やりたいこと」は内発的欲求に駆り立てられた仕事です。そのいずれもやったなー、満たされたなーという感覚が達成感です。
今の自分の元気心のベースには、この満足感があるように思います。
●達成感は心の元気を作る
ポジティブ心理学の提唱者であるセリグマンの有名な実験があります。
それは、犬を使って、何をしても電気ショックから逃れられないようにするのです。やがて、犬は何もしなくなってしまいます。何をやってもだめなら何もしないほうが得、ということを学んでしまったということで、学習性無力感と名づけました。
達成感は、逆ですね。
自分なりにがんばれます。そして、達成すべき目標があります。目標をクリアすれば、うれしくなります。自分に自信がつきます。さらに、がんばろうという気になれます。無力感と反対の有能感につながります。その蓄積が達成感になります。
●達成感をもつためのコツ
①目標を意識して仕事をする
達成感は、目標をクリアしたときに感ずることができます。ですから、2つのことが大事になります。
一つは、目標の設定に関することです。
あまり高い目標を設定しまうと、達成感を感ずるまでに時間がかかります。時間はかかりますが、それだけに達成感は絶大です。でも、その間、えてして挫折してしまうリスクがありますね。
そこで、目標を下位目標に分割することになります。最終目標に到達するまでの過程を何段階かに分けて、それぞれをいつまでにやるかを決めることになります。これだと、下位目標がクリアできるたびに達成感をもてます。
もう一つは、目標意識です。
工程表ができても、それを意識しなければ、どうにもなりません。実は、意外にこういうことって起こりがちです。締め切り、納期に間に合わないという、あれです。今やっている仕事を常に目標、下位目標からチェックする習慣が必要です。工程表を手帳に書いたり、デスクの前に貼り付けたりして、見えるようにするといった工夫も必要です。
②ルーズに評価する
ものにもよりますが、目標に到達しているかどうかの見極めは、結構、難しいものがあります。さらに、外からの評価まで考慮に入れたら、大変なことになります。
ここでは、あくまで自分なりの達成感を持てるための評価ですから、できるだけルーズ、アバウトで良いのです。「まーこんなところかなー」くらいで良いのです。
評価のダブルスタンダード(2重規準)を用意しておくのです。
「周りはそうは言うけど、自分は自分なりに満足」と言えるようにしておくのです。周りに依存すると評価がどうしても厳しくなってしまうからです。そして、それが発奮につながればよいのですが、えてして逆に、これだけやったのに認めてもらえないということで落ちこんでしまうことになってしまいます。
③自分なりの報償システムを用意しておく
「自分をほめてあげたい」「自分にご褒美を」です。
少しでも達成感を持てたら、それを自分でほめるのです。いつもと違ったちょっぴりにぎやかではれがましいことをするのです。
買い物したり、おいしいものを食べたり、旅行にいったりするのです。あるいは、親しい人に贈り物やおごりもいいですね。
いずれにしても、定番を決めておくのがコツです。なぜなら、さりげなくできますし、
それに前々からの元気心が結びついていますので、効果が確実かつ速攻で得られるからです。
本当は、周りにそういうことをしてくれる人がいればいいのですが、いつもいつもというわけにはいきませんから、自分なりに、自己報酬システムを作っておくことをすすめます。それが元気バネになって、さらなる達成へとつながります。
④小さな達成感も大事
自分は、雑用大好き人間です。理由はあれこれありますが、一番は、達成感です。
たとえば、書類処理。よくよく考えればつまらないごく日常的な作業ですが、やれば片がつきます。そんなものを朝一でどんどんやるようにしています。それをしているとだんだん気持ちも頭も元気になってきます。
一つ一つ終わる、それなりに片をつけたという達成感も、馬鹿にはなりません。そればかりを一日中というのはできれば願い下げにしたいところですが、気持ちの元気づくりのために、そんな「雑用」を随所に入れておくのも一計です。