相談者:営業/26歳/男性
機嫌の悪い上司の対処方法
悩み:
半年前に中途で入った上司の対応についてです。
この上司、仕事はできるのですがその代わり(?)しょっちゅう機嫌が悪いんです。
機嫌が悪いときは、言葉遣いが悪くなる、話しかけても無視する、過去のことまで引っ張り出して小言を言う(小言を言っている間に更に怒りに拍車がかかります)、ネガティブな発言が多くなる、舌打ちをする、ブツブツと独り言で文句を言うなど、自分だけでなく周囲の人も気分を悪くさせるんです。
話しかけたら何を言われるか恐ろしいので、タイミングを見計らうのも一苦労です。
しかも、機嫌の悪い原因が解らないのでどう動けばいいのかも解りません。
ここ半年で、だいぶストレスがたまり転職をしたいとすら考え始めました。
こんな場合、どのように対処したらいいのでしょうか。
上司の機嫌を直す方法や、機嫌の悪い人に話を聞いて貰えるようなテクニックなどあるのでしょうか。
助言のほど、よろしくおねがいいたします。
お答えします。
●感情表出はもうひとつのコミュニケーション手段
喜怒哀楽(感情)は不思議な心の領域です。すぐれて個人的な心の世界の領域であるにもかかわらず、周りを巻き込んでしまうという点で、これまたすぐれて社会的な心の世界なのです。
生まれ落ちた新生児を考えてみてください。自分の気持ちを周りに伝えるために泣いたり笑ったりします。それを周りの人びとが見て、その気持ちを共有します。笑いは笑いを、怒りは怒りをもたらします。 かくして、感情は言葉とともに、もう一つの強力なコミュニケーションの手段となっていきます。
やや抽象的な話から入ってしまいましたが、あなたの上司の不機嫌な感情表現の意義?――原因ではなくーーを知っていただきたいためです。
「原因がわらない」ということですね。無理しての原因追究はさておくとしても、ちょっとだけ考えてみてほしいのは、上司のその不機嫌、あなたがた部下の仕事ぶりへの間接的な不満のメッセージということはないかどうかということです。できる上司、しかも中途採用とのことですので、もしかしてそんなこともあるかもと思ったのですが、いかがでしょうか。
もっとも、かりにそうだとしても、子どもではないのですから、もっと理性的に言葉で伝えるのが上司あるもののやるべきことなのですが。
これももしかしてですが、中途採用ということで古手のみなさんに遠慮があるのかも。
まずは、このあたりを「軽く」チェックしてみてください。それによって、上司の不機嫌に対して寛容な心を抱けるようになれればと思いますが、無理でしょうか。
そして、余計なこと(上司の機嫌こと)に気を回すよりも、しなければならない仕事のほうに注力できるようになってもらえればと思います。
●「上司の機嫌を直す方法や、機嫌の悪い人に話を聞いて貰えるようなテクニック」
さて、ご相談の本題です。
感情によるコミュニケーションには強い巻き込み効果があります。上司の不機嫌があなたの不機嫌(ストレス)を引き起こしているわけです。
あなたの職場は、上司とあなた方とがネガティブ・パイラル、つまり不機嫌が不機嫌を呼ぶ状態になっています。こういう状態から抜け出す一般的な方策のいくつかを紹介します。ゲーム感覚挑戦してみてください。対人関係は、あまり真剣にやるとそれに囚われてしまいますので、軽い気持ちでやってみてください。
① 無視する
これは一番楽なようですが、実は一番難しい方策です。あなたはすでにかなり上司の感情世界に巻き込まれているからです。それでも、可能な限り、近づかない、見ない、話さない、ということはできませんか。これもあまり意図的にやろうとすると、かえって巻き込まれてしまう恐れはありますが。
② 言葉によるコミュニケーションを心がける
感情コミュニケーションにはどうしてもポジティブな面かネガティブな面のいずれかが入りこみます。ポジティブなほうはあまり問題ないのですが、ネガティブなほうは困ります。
そこで、できるだけ、冷静に言葉によるコミュニケーションを心がけてみてください。「小言」は無視して、言葉、それも対面が一番ですが、まずはメモやメールでの「報連相」を頻繁にやってみてください。それが感情コミュニケーションによるゆれを中性化してくれます。
③ あなたがポジティブになる
これは①の無視する方策とは反対ですが、あなたができるだけポジティブなコミュニケーションをするようにしてみてください。「褒める、感謝する、笑う、挨拶する」――これの頭文字をとって「ほンわかあ」と呼んでいますーーが基本です。まずは同僚へ、そしてついでに(笑い)上司へも、やっていてみてください。
さらに、リフレ-ミング(言い換え、視点変え)という方策もあります。たとえば、
悪い言葉遣いに対しては>「厳しい指摘で、参考になります。ありがとうございました。」
過去のことまで引っ張り出しての小言に対しては>「そういえば、そんなこともありました。反省です。ありがとうございます。」
「ネガポ辞典;ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変換」(主婦の友社)がおすすめです。上司の目につくところにそれとなく置いておくのもいいかも。(笑い)