昼食に外に出て、ついでのドライブの3日間
家では、図書館から借りてきたアマデウス、モーツアルトのビデオと
夜明け前のビデオをみて、推理小説1冊を読んだだけ
仕事は、ほとんどしない3日間
連休後半もこんなもの
退職後の練習と思って楽しんでいるが、
やはり退屈だなー。
家では、図書館から借りてきたアマデウス、モーツアルトのビデオと
夜明け前のビデオをみて、推理小説1冊を読んだだけ
仕事は、ほとんどしない3日間
連休後半もこんなもの
退職後の練習と思って楽しんでいるが、
やはり退屈だなー。
02/4/26 ¥海保[ミスに強くなる」中央労働災害防止協会新書より
心理安全工学序説(8)
コミュニケーション管理不全
海保博之
●はじめに
「コミュニケーション活動」の標語が掲げられている建築現場の脇を毎朝通っている。「安全第一」「無事故、無災害」などの見慣れた標語とは一味違った標語なので気になっていた。
たくさんの人々が協同して仕事をするときには、コミュニケーションは必須だし、そのコミュニケーションが不適切だと、仕事の能率が悪くなるだけでなく、下手をすると、エラー、事故になってしまう。にもかかわらず、意外にその大事さが認識されていないところがあるように思う。
そこで今回は、人に何かを音声で指示する場面に限定して、コミュニケーションを適切に管理するための方策について考えてみる。
●コミュニケーションの構図を知る
---コミュニケーション心理認識支援
まずは、図でコミュニケーションの基本的な図式を確認しておく。ここで、表象とは、外界について形成される頭の中の抽象化された世界で、言語(命題)的表象とイメージ的表象とがある。
コミュニケーションにかかわるエラーは、この図式のどの段階でも発生する可能性があるが、発信者と受信者の頭の中で起こるエラーについては、すでにこれまでの連載で取り上げてきたことにつきるので、ここでは、媒体の一つである音声言語による指示にかかわるエラー、事故に話を限定することになる。
*
図 別添
*
●音声による指示は使いやすいが危ない
---音声指示の信頼性向上支援
音声による表現は、相手が目の前にいることを想定している。したがって、言い間違い、聞き違いは当然との前提でコミュニケーションが成り立っているようなところがある。
そのためもあって、冗長に表現することも、言い直しや聞き直しもごく当たり前のごとく許されているし、手振り身振りなどのパラ(付随)言語が、それを見ている人がいないときでさえ付随させる。
ということは、ムダのない指示、質問を許さない権威的な雰囲気での指示、文章を読むかのごとき指示は、不自然で危ないということになる。
相手がわからないそうな顔をしていれば、繰り返し指示をしたり、確認をしたりして、指示の信頼度を高めることになる。
また、言い直しが許されないほど事態が切迫していたり、無線などでしか指示できないためパラ言語の使用ができないときには、音声による指示は極めてリスクの高いものとなる。
たとえば、航空管制で、飛行機の高度を「あげる」と「さげる」を、「あ」と「さ」の1拍の違いだけでコントロールするのは無理というものである。さらに関連して、日本語は、同音語がやたら多いことも、音声だけによる指示のリスクを高めている。
音声を文字表示に変換するなどの別途の指示媒体の支援システムがどうしても必要となる。
●わかりやすく指示する---理解支援
空気の中に消えていってしまう音声による表現は、時間的な連続性を作り込まないと、全体像がみえなくなり、断片的にはわかるが、全体としては何が何やらわけがわからないということになりがちである。こんな情報環境は、エラー、事故防止にとっては好ましくない。
時間的な連続性を作り込むためには、随所で全体像を提示するようにする。
・表現の冒頭では、全体像や目標を言う
・随所で、これは全体、目標のこの部分、ということを示す
・最後に、まとめの形で全体を示す
これによって、大きな理解の枠組の中に、個別的な情報を位置づけることができるので、わかりやすくなる。
わかりやすくするもう一つの工夫は、メリハリ表現である。
すべての音声情報を理解してもらうのが無理なら、せめて大事なところだけでも、ということである。
音声表現では、ポーズ、声量、イントネーション、ジェスチャーなどによって、自然にメリハリ表現ができるようになっているが、それをより洗練させて使うように心がけることになる。たとえば、
・大事なことは3つ、といって指3本を示す
・大事なところでは声量をあげ、さらに繰り返す
さらに、「ここは大事なところですからよく聞いて」といった聞き方をコントロールしてもらうための情報(メタ情報)を提供することも時にはあってよい。
●簡潔に指示する---動きの指示支援
人に何かを指示し動いてもらおうとするときは、そのエッセンスを簡潔に表現することが何より大事となる。
ところが、簡潔な表現は、情報を充分に伝えられない不安があるためか、なかなか難しい。ついくどくとながくなってしまう。くどくなれば、エッセンスが見えなくなり、どう動いてよいかがわからなくなり、不適切動作が発生してしまう。
かくして、簡潔さの中に、どのようなエッセンスをどのように作り込むが勝負どころとなる。
人に指示をするときの表現内容のエッセンスは、何を(what)なぜ(why)どうやって(how)の2W1Hである。たとえば、
・危ないです(what)。車が来ます(why)。左に寄ってく ださ い(how)。
・線路を修理します(what)。老朽化したためです(why)。 ***工法で行ないます(how)。
いつも2W1Hが必要というわけではない。自明なものは省略してさらに簡潔な表現にすることがあってよい。
また指示の仕方にも工夫が必要である。
一度にたくさんのことを指示しても、忘れられてしまったり、エラーをさせることになる。できれば1回の指示では一つのことを、それが無理なら、1回の指示では3つくらいまでに限定する。
さらに、なんのためにそれをするか(趣意説明)、あるいは、することの目標も簡潔に言う。これによって、自分のすることがその趣意や目標に合っているかを自己チェックしながら仕事をしてもらえる。
●時にはビジュアル表現も活用する---視覚による指示支援
音声による指示を、信頼がおけて、わかりやすく、効果的になるようにするにはどうしたらよいかを考えてみた。
しかしながら、音声だけの指示では、いくら工夫を凝らしても限度がある。となると、もう一つの言語媒体である視覚(文字、絵)言語によって、その限度を越えることがあってもよい。
視覚言語は、音声言語の最大の弱点である情報の非固定性を克服できる。必要に応じて参照することもできる。さらに、絵を使えば、全体像やさまざまな関係を見せることもできる。
具体的には、TVのニュース解説などで行なわれている、パネルとかフリップとか呼ばれるものによる要点の摘記や図解を真似ることになる。
****本文117行 図表分3行含む
心理安全工学序説(8)
コミュニケーション管理不全
海保博之
●はじめに
「コミュニケーション活動」の標語が掲げられている建築現場の脇を毎朝通っている。「安全第一」「無事故、無災害」などの見慣れた標語とは一味違った標語なので気になっていた。
たくさんの人々が協同して仕事をするときには、コミュニケーションは必須だし、そのコミュニケーションが不適切だと、仕事の能率が悪くなるだけでなく、下手をすると、エラー、事故になってしまう。にもかかわらず、意外にその大事さが認識されていないところがあるように思う。
そこで今回は、人に何かを音声で指示する場面に限定して、コミュニケーションを適切に管理するための方策について考えてみる。
●コミュニケーションの構図を知る
---コミュニケーション心理認識支援
まずは、図でコミュニケーションの基本的な図式を確認しておく。ここで、表象とは、外界について形成される頭の中の抽象化された世界で、言語(命題)的表象とイメージ的表象とがある。
コミュニケーションにかかわるエラーは、この図式のどの段階でも発生する可能性があるが、発信者と受信者の頭の中で起こるエラーについては、すでにこれまでの連載で取り上げてきたことにつきるので、ここでは、媒体の一つである音声言語による指示にかかわるエラー、事故に話を限定することになる。
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図 別添
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●音声による指示は使いやすいが危ない
---音声指示の信頼性向上支援
音声による表現は、相手が目の前にいることを想定している。したがって、言い間違い、聞き違いは当然との前提でコミュニケーションが成り立っているようなところがある。
そのためもあって、冗長に表現することも、言い直しや聞き直しもごく当たり前のごとく許されているし、手振り身振りなどのパラ(付随)言語が、それを見ている人がいないときでさえ付随させる。
ということは、ムダのない指示、質問を許さない権威的な雰囲気での指示、文章を読むかのごとき指示は、不自然で危ないということになる。
相手がわからないそうな顔をしていれば、繰り返し指示をしたり、確認をしたりして、指示の信頼度を高めることになる。
また、言い直しが許されないほど事態が切迫していたり、無線などでしか指示できないためパラ言語の使用ができないときには、音声による指示は極めてリスクの高いものとなる。
たとえば、航空管制で、飛行機の高度を「あげる」と「さげる」を、「あ」と「さ」の1拍の違いだけでコントロールするのは無理というものである。さらに関連して、日本語は、同音語がやたら多いことも、音声だけによる指示のリスクを高めている。
音声を文字表示に変換するなどの別途の指示媒体の支援システムがどうしても必要となる。
●わかりやすく指示する---理解支援
空気の中に消えていってしまう音声による表現は、時間的な連続性を作り込まないと、全体像がみえなくなり、断片的にはわかるが、全体としては何が何やらわけがわからないということになりがちである。こんな情報環境は、エラー、事故防止にとっては好ましくない。
時間的な連続性を作り込むためには、随所で全体像を提示するようにする。
・表現の冒頭では、全体像や目標を言う
・随所で、これは全体、目標のこの部分、ということを示す
・最後に、まとめの形で全体を示す
これによって、大きな理解の枠組の中に、個別的な情報を位置づけることができるので、わかりやすくなる。
わかりやすくするもう一つの工夫は、メリハリ表現である。
すべての音声情報を理解してもらうのが無理なら、せめて大事なところだけでも、ということである。
音声表現では、ポーズ、声量、イントネーション、ジェスチャーなどによって、自然にメリハリ表現ができるようになっているが、それをより洗練させて使うように心がけることになる。たとえば、
・大事なことは3つ、といって指3本を示す
・大事なところでは声量をあげ、さらに繰り返す
さらに、「ここは大事なところですからよく聞いて」といった聞き方をコントロールしてもらうための情報(メタ情報)を提供することも時にはあってよい。
●簡潔に指示する---動きの指示支援
人に何かを指示し動いてもらおうとするときは、そのエッセンスを簡潔に表現することが何より大事となる。
ところが、簡潔な表現は、情報を充分に伝えられない不安があるためか、なかなか難しい。ついくどくとながくなってしまう。くどくなれば、エッセンスが見えなくなり、どう動いてよいかがわからなくなり、不適切動作が発生してしまう。
かくして、簡潔さの中に、どのようなエッセンスをどのように作り込むが勝負どころとなる。
人に指示をするときの表現内容のエッセンスは、何を(what)なぜ(why)どうやって(how)の2W1Hである。たとえば、
・危ないです(what)。車が来ます(why)。左に寄ってく ださ い(how)。
・線路を修理します(what)。老朽化したためです(why)。 ***工法で行ないます(how)。
いつも2W1Hが必要というわけではない。自明なものは省略してさらに簡潔な表現にすることがあってよい。
また指示の仕方にも工夫が必要である。
一度にたくさんのことを指示しても、忘れられてしまったり、エラーをさせることになる。できれば1回の指示では一つのことを、それが無理なら、1回の指示では3つくらいまでに限定する。
さらに、なんのためにそれをするか(趣意説明)、あるいは、することの目標も簡潔に言う。これによって、自分のすることがその趣意や目標に合っているかを自己チェックしながら仕事をしてもらえる。
●時にはビジュアル表現も活用する---視覚による指示支援
音声による指示を、信頼がおけて、わかりやすく、効果的になるようにするにはどうしたらよいかを考えてみた。
しかしながら、音声だけの指示では、いくら工夫を凝らしても限度がある。となると、もう一つの言語媒体である視覚(文字、絵)言語によって、その限度を越えることがあってもよい。
視覚言語は、音声言語の最大の弱点である情報の非固定性を克服できる。必要に応じて参照することもできる。さらに、絵を使えば、全体像やさまざまな関係を見せることもできる。
具体的には、TVのニュース解説などで行なわれている、パネルとかフリップとか呼ばれるものによる要点の摘記や図解を真似ることになる。
****本文117行 図表分3行含む
定年力検定、阪神タイガース検定、京都通検定
びっくりするような検定試験が続々。
検定、資格試験、花盛りの時代背景はなんだろう。
知の特技をアピールする必要性がある時代になったからであろうか。
悪いことではないとは思う。
ただ、なんとなく釈然としないのは、
知は「知っているだけ」ではだめで、
それを活用して何か世の中に役立てることが
大事。そちらがおそろかになってはまずい。
ちなみに、自分のもっている資格は、
英検1級と自動車免許のみ。
写真 造成地から見た東京成徳大学
びっくりするような検定試験が続々。
検定、資格試験、花盛りの時代背景はなんだろう。
知の特技をアピールする必要性がある時代になったからであろうか。
悪いことではないとは思う。
ただ、なんとなく釈然としないのは、
知は「知っているだけ」ではだめで、
それを活用して何か世の中に役立てることが
大事。そちらがおそろかになってはまずい。
ちなみに、自分のもっている資格は、
英検1級と自動車免許のみ。
写真 造成地から見た東京成徳大学
111112222233333444445555566666
30文字/1行 30枚 12000字 400行
00/11/20海保 朝倉書店 2001年1月末締切り
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12章 文章・談話についての心理学的研究の課題と方法
12.1 本章の概要
本章では、前半では(12.5まで)認知論的(情報処理論的)アプローチによる文章・談話研究、後半では、状況論的アプローチによる文章・談話研究における心理学的な課題と方法について述べる。
認知論的アプローチでは、文章・談話の認知(情報処理)過程に、また、状況論的アプローチでは、文章・談話の発生現場での人のかかわりに、もっぱら焦点が当てられる。
状況論的アプローチ 認知論的アプローチ
状況<----->文章・談話<--->人<-->認知過程<--->知識
図12.1 文章・談話過程についての2つの心理学的アプローチ
12.2 文章・談話についての認知論的アプローチの特徴と 研究手法の概要
●認知論的アプローチとその特徴
認知論的アプローチは、一般的に言うなら、人に内在する知識の形成、貯蔵、運用のメカニズムの解明を目的とするものである。その際立った特徴を3つ挙げておく。
一つは、人は、情報の受動的な受け手ではなく、既有の知識を積極的に活用して自ら知識を作り出す存在であるとする、構成主義的な見解を採用していることである。
2つは、観察不能な内的認知過程についてのモデル構築を志向していることである。その多くは、コンピュータ・シミュレーションとしての実現を志向しているが、原理的には、N.チョムスキーの生成文法理論のような、記号表現が可能な計算論レベルでのモデル構築をめざしている。
3つは、研究手法的には、後述するように、心理学で使われているほとんどの手法が幅広く採用されていることである。行動観察から内省報告、事例報告まで、モデル構築と検証に役立つデータを収集できるなら、厳密な実験的な実証性の制約にそれほどこだわることなく多彩な手法を採用する。
●認知論的アプローチによる文章・談話研究の3つの大課題
認知論的アプローチの大きな課題は、文章・談話を人が認知処理することにかかわる、文字、音韻、語彙、文法の4つ知識は、
・いつどのように形成(学習)されるのか
・どのような形で貯蔵(記憶)されているのか
・どのように運用(理解)されるのか
を解明することである。そして、その主たる関心はもっぱら、図12.2の中心部に向けられている
文章・談話環境
文章・談話活動
話す 文章・談話情報 読む
音韻 綴字
聞く 書く
認知活動
(知覚・記憶
思考・判断)
統語 語彙
図12.1 文章・談話活動を支えるもの
以下、文章・談話活動のうち「読み」の活動を想定して、この3つの大課題について、それぞれがさらにどのような課題をどのように研究しているかについてみていくが、その前に、認知論的アプローチが採用している諸研究手法について、その類型と特徴を述べておく。
●文章・談話研究の手法の類型と特徴
前述したように、認知論的アプローチでは、多彩な研究手法を採用している。図12.3は、2つの軸を設定して、その組合せで、諸手法を類型化してみたものである(海保・加藤、1999)。
「行為対内省」とは、外部から観察できる「行為」に着眼するか、内部の心の動きを自らどのように「内省」しているかに着眼するかのいずれに焦点を置くかという分類軸である。
「遂行対過程」とは、所定の課題をどれくらい速く正確にたくさん「遂行」できるかに着眼するか、課題を解決しているオンラインの「過程」に着眼するかのいずれに焦点を置くかという分類軸である。
遂行(結果)
例 例
反応時間 内省法
行為----------------------------内省
例 例
生理計測 プロトコル分析
過程
図12.3 認知研究で使われる手法の類型
各象限の典型例を文章・談話研究を想定して簡単に説明する。
○内省(第1象限)
文章・談話に関して記憶や理解などを最大まで要求する課題を与えて、その課題を達成して終ってから、遡及的に自分の認知過程内で起っていたことを振り返り報告させる。その際に制約なしに行なう場合と、あらかじめ用意した項目、たとえば、「わかりやすさ」とか「読みやすさ」などについて内省する(評価する)場合---評定法と呼ぶ---とがある。
○反応時間(第2象限)
文章・談話を速く正確に処理させてそのときにかかった時間を計測するものである。どの文章・談話がどの文章・談話より速くて正確かをみることで、処理プロセスの特性を推測したり、文章・談話の質を評価したりする。
○生理計測(第3象限)
文章・談話を処理しているときに、脳や眼球運動などの生理機能がどのようになっているかを計測することで、文章・談話処理時の生理過程、とりわけ脳メカニズムの解明をねらう。
○プロトコル分析(第4象限)
文章・談話を処理しているときに頭に思い浮かぶことをそのまま語らせることで、処理過程のモデル構築や検証データを直接的に得たり、文章・談話の品質を評価したりする。
12.3 文章・談話にかかわる知識の形成論の課題と方法
●生得か経験か
形成論の課題は、文章・談話研究に限ったことではないが、常に2つである。その一つが、生得か経験かであり、もう一つが、経験だとして、どのような経験がどのような知識の形成をもたらすかである。
まず、N.チョムスキーによって一気に活発になった生得対経験かの問題から。
文章・談話の読みは、言語活動の基盤である文法と音韻が確立された後に発生する活動なので、生得か経験かはほとんど問題にならない。ただ、綴字情報を処理する認知活動として必須のパターン認識に関しては、それを支える神経的なアーキテクチャーにまで立ち戻れば、生得か経験かは一つの研究課題にはなりうるが、本章の範囲を越えるので触れない。
●学習経験による知識の獲得
文章・談話の読みに必要な知識は、ほとんどが意図的な学習経験に負ている。したがって、そこでの課題は、なんらかの形で最終的には、国語教育の指導法に関連してものになってくる。その中でも心理学的な課題としては、12.5で述べる知識の運用(読解)の特性を踏まえた効果的な指導法とは何かを問うことになる。ここでの課題は、大きく、2つになる。
一つは、文章・談話に作り込まれた仕掛けの活用にかかわる課題である。文書で言うなら、目次、索引、ヘッダー・フッター、見出しなど、さらには、文書構成の仕組、イラストなどを読解の手がかりとしてどのように使うかにかかわる課題である。ここでの知見は、ただちに、読み手の読解を効果的に支援する文章・談話作成リテラシーへの提言ともなる(たとえば、海保ら、1987)
もう一つは、読解方略の指導にかかわる課題である。上述の課題が外在化された文章・談話にかかわる知識の活用の学習であるのに対して、ここでの課題は、読解のために行なわれる認知活動の支援にかかわるものである。「大事そうなところは反復して読む(リハーサル方略)」「知っていることと関連づける(記憶方略)」「自分のことばで言い直してみる(理解方略)」といった方略の訓練効果が吟味される。
12.4 文章・談話にかかわる知識の貯蔵論の課題と方法
●内と外の知識の関係
ここまでは、知識を人の頭の中にあるもの(表象としての知識)を想定してきたが、知識には、もう一つ、外在化された知識がある。文章・談話は、まさにその典型である。最近の認知心理学では、この外在化された知識とのかかわりが強い関心を引きつけている。本章の後半を参照されたい。
それはさておくとして、ここでの課題の一つは、表現者によって外在化された知識である文章・談話が、頭の内部にどのように表象として貯蔵されているのかである。これは、認知科学研究の初期(60年代、70年代)の中心的な課題であった。
●外在化された知識の心理的実在
文章・談話をコンピュータに「理解させる」ためには、文章・談話の意味構造を分析しなけれならない(意味解析)。そのための分析用具として、文章・談話のさまざまな単位(綴字、語彙、文、文章、談話)でさまざまな用具が提案されてきた。それらの有用性は無論、コンピュータがどれだけ正確に理解できるかで評価されるが、それらを人の理解のモデルとして転用したときの有効性を吟味する研究が多数なされてきた。これが、外在化された知識表現の心理的実在(表現)を問う課題として、認知心理学が取り組んできたものの一つである。
次に、その心理的実在が確かめられている3つの用具(モデル)を、例示しておく。
*********
○命題
○意味ネットワーク
○物語文法
図12.4 文章・談話の記憶表象のさまざま
いずれにおいても、このような形で文章・談話が表象されているとするなら、所定の文章・談話についての認知処理は、このようになるはずとの仮説を、人を使った実験で検証することになる。たとえば、物語文法に関するものであれば、次のような事実からその心理的実在が示唆されている。
・表層的な文の長さは同じで命題数が異なる文を読ませると、 読み時間は命題数と比例する。
・階層の下部と上部で構成される文は、同一レベルで構成され る文より真偽判断に時間がかかる。
・物語の文法構造を乱した物語を記憶させると、再生成績が悪 くなる。
12.5 文章・談話にかかわる知識の運用論の課題と方法
●知識の形成と貯蔵と運用
文章・談話に関する知識の形成と貯蔵にまつわる課題をみてきた。最後は、それらの知識をどのように使って(運用して)、文章・談話を理解しているかを取り挙げてみる。ちなみに、文章・談話に関する認知論的アプローチによる研究の歴史から言うと、実は、この順序は逆で、知識の運用にまわる課題の研究から始まっている。
さて、文章・談話理解に関する研究の具体的な課題は、理解のさまざまな状況に応じて異なってくるが、共通しているのは、理解の目標を達成するために、既有の知識をどのように使うかについての内的な情報処理過程モデルを作ることである。
なお、情報処理過程モデルは、図12.*に示す、短期記憶ー長期記憶の枠組の中で構築されてきた。これまでに述べてきた知識の形成と貯蔵は、この枠組で言うなら、いずれも長期記憶にかかわるものであり、これから述べる知識の運用にかかわる課題は、もっぱら短期記憶において長期記憶に貯蔵されている知識が、外的な文章・談話素材の理解に際してどのように運用されるかにかかわるものである。
文章・談話----短期記憶----長期記憶
図12.5 短期記憶-長期記憶の枠組
研究の大枠は、ここ20年間、van Dijk &
Kintsch(1983)の提案に沿って行なわれてきたといってよい。彼らによると、文章・談話の記憶表象には、3つありそれを運用することで文章・談話の処理内容が異なるとされている。一つは表層的な言語表象である。単語や句や文などに対応する表象である。2つは命題表象である。文章・談話のミクロな命題表象と、文章・談話のマクロ命題表象とである。図12.4はその例となる。3つは状況モデルと呼ぶもので、文章・談話が記述しようとする状況全体にかかわる表象である。
このうち、表層的な言語表象の運用は、その処理単位からして、文章・談話の範疇には入らないので、ここでは省略するが、この処理単位、とりわけ語彙処理をめぐっての認知心理学的な知見は膨大なものがある。大津(1995)や御領(1987)などを参照されたい。
●命題的表象の運用
字義通りの理解を支えているのがこの命題的表象の運用によるものである。文章・談話の局所的な理解にはミクロ命題が、また文章・談話の全体的な理解にはマクロ命題が運用されている。
研究は、12.4で述べた、命題表現の心理的実在性をめぐっての議論とセットになって行なわれてきた。その典型的な理論がスキーマ理論である(注1)。
スキーマ理論は、仮定された記憶表象がどのように運用されるかに関する理論であるべきなのだが、多くの研究は、スキーマの特性分析のほうに力点が置かれ、その運用過程については、トップダウン処理(知識駆動型処理)が行なわれている、あるいは、せいぜい、スキーマの活性化による、といった程度のおおまかな説明で終ってしまっているのが現状である。
たとえば、Rumelhart & Ortony(1977)は、スキーマの特性として次の4つを挙げているが、それでどうしたという点にまでは踏み込んではいないことがわかる。
・スキーマは変数を持つ
変数にいろいろの値が入ることでスキーマが具体化される。
・スキーマは埋込構造を持つ
上位スキーマは多数のサブスキーマを埋め込んでいる。
・スキーマは抽象度のレベルごとに存在する
知覚的レベルから概念的レベル、さらには行動的レベルまで さまざまな抽象度のレベルで定義できる。
・現実的な知識を表現する
概念の定義や用語の意味を表現するのではなく、現実の中で 使われる世界知識を表現している。
●状況的表象の運用
文章・談話の字義通りの理解を越えて、世界知識や文脈を使った理解がここでの課題となる。文理解を例にとれば、
砂糖の入ったコーヒーと緑茶を飲んだ。
は、あいまい文の典型であるが、緑茶には砂糖は入れないという世界知識があれば、この文のあいまいさはなくなる(長尾、2001)。
ここでは、状況的表象が無限定になるため、その表象表現は問題とされない。どのような状況がどのように文章・談話理解にかかわっているかというまさに運用論が取り挙げられている。
ただし、ここでも、状況モデルが文章・談話理解に深くかかわっているといった存在証明の類の研究も多い。
たとえば、建物の空間構造に関する状況モデル構築のための情報を与えた後に、関連する文章の処理を要求すると、状況モデルの関与を示す証拠が得られたといった類のものである。
今後、状況的表象の運用に関しての認知論的な研究は、2つの方向で進められることになる。
一つは、内的な処理モデルの構築である。ここでも、Kintsch(1988)による、コネクショニスト・モデル(注2)をベースにしたコンピュータ・シミュレーションが注目される仕事の一つとなっている。
もう一つの方向は、効果的な状況的表象の構築を支援する外的な仕掛けである。文章・談話中に挿入される挿絵や具体例の効果、あるいは見出しや概要の効果などが実用的な活用を射程において研究されることになる。
2つの方向があまりに乖離しているが、それぞれの研究の進展は、いずれ統合的な成果として結実してくるはずである。
*******************
注1 スキーマ理論という言い方はやや曖昧さがある。記憶表象として何を仮定するかによって、スクリプト理論やフレーム理論や物語文法理論と呼ぶのが正しい。ここでは、それらを総称してスキーマ理論と呼ぶことにする。
(注2) コネクショニスト・モデルとは、神経回路網に似た階層的なネットワークを想定し、リンクとその結合強度とを学習的に変化させることで現象を模擬しようとするものである。
*************
参考・引用文献
御領謙 1987 「読むということ」 東京大学出版会
海保博之・加藤隆編 1999 「認知研究の技法」 福村出 版
海保博之ら 1987 「ユーザ読み手の心をつかむマニュア ルの 書き方」 共立出版
邑本俊亮 1998 「文章理解についての認知心理学的研究--- 記憶と要約に関する実験と理解過程のモデル化」 風間書房
長尾真 2001 「わかるとは何か」岩波新書
大津由紀雄編 1995 「認知心理学」3「言語」 東京大学 出版会
Anderson,J.R.1980(富田達彦ら訳) 認知心理 学概論 誠信書房
Collins,A.M.& Quikkian,M.R.1969
Retrieval time from semantic memory. Journal of Verbal Learning and Verabal Behavior,8,240-247
Kintsch,W. 1988 The use of knowledge in discourse
processing; A consutruction-integration model.
Psychological Review,95,163-182.
Thorndyke.P.W. 1977 Cognitive structures in comprehension and
memory of narrative. Cognitive Psychology,9,77-110
van Dijk,T.A. & Kintsch,W 1983
Strategies of discourse
comprehension. New York;
Academic Press
30文字/1行 30枚 12000字 400行
00/11/20海保 朝倉書店 2001年1月末締切り
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12章 文章・談話についての心理学的研究の課題と方法
12.1 本章の概要
本章では、前半では(12.5まで)認知論的(情報処理論的)アプローチによる文章・談話研究、後半では、状況論的アプローチによる文章・談話研究における心理学的な課題と方法について述べる。
認知論的アプローチでは、文章・談話の認知(情報処理)過程に、また、状況論的アプローチでは、文章・談話の発生現場での人のかかわりに、もっぱら焦点が当てられる。
状況論的アプローチ 認知論的アプローチ
状況<----->文章・談話<--->人<-->認知過程<--->知識
図12.1 文章・談話過程についての2つの心理学的アプローチ
12.2 文章・談話についての認知論的アプローチの特徴と 研究手法の概要
●認知論的アプローチとその特徴
認知論的アプローチは、一般的に言うなら、人に内在する知識の形成、貯蔵、運用のメカニズムの解明を目的とするものである。その際立った特徴を3つ挙げておく。
一つは、人は、情報の受動的な受け手ではなく、既有の知識を積極的に活用して自ら知識を作り出す存在であるとする、構成主義的な見解を採用していることである。
2つは、観察不能な内的認知過程についてのモデル構築を志向していることである。その多くは、コンピュータ・シミュレーションとしての実現を志向しているが、原理的には、N.チョムスキーの生成文法理論のような、記号表現が可能な計算論レベルでのモデル構築をめざしている。
3つは、研究手法的には、後述するように、心理学で使われているほとんどの手法が幅広く採用されていることである。行動観察から内省報告、事例報告まで、モデル構築と検証に役立つデータを収集できるなら、厳密な実験的な実証性の制約にそれほどこだわることなく多彩な手法を採用する。
●認知論的アプローチによる文章・談話研究の3つの大課題
認知論的アプローチの大きな課題は、文章・談話を人が認知処理することにかかわる、文字、音韻、語彙、文法の4つ知識は、
・いつどのように形成(学習)されるのか
・どのような形で貯蔵(記憶)されているのか
・どのように運用(理解)されるのか
を解明することである。そして、その主たる関心はもっぱら、図12.2の中心部に向けられている
文章・談話環境
文章・談話活動
話す 文章・談話情報 読む
音韻 綴字
聞く 書く
認知活動
(知覚・記憶
思考・判断)
統語 語彙
図12.1 文章・談話活動を支えるもの
以下、文章・談話活動のうち「読み」の活動を想定して、この3つの大課題について、それぞれがさらにどのような課題をどのように研究しているかについてみていくが、その前に、認知論的アプローチが採用している諸研究手法について、その類型と特徴を述べておく。
●文章・談話研究の手法の類型と特徴
前述したように、認知論的アプローチでは、多彩な研究手法を採用している。図12.3は、2つの軸を設定して、その組合せで、諸手法を類型化してみたものである(海保・加藤、1999)。
「行為対内省」とは、外部から観察できる「行為」に着眼するか、内部の心の動きを自らどのように「内省」しているかに着眼するかのいずれに焦点を置くかという分類軸である。
「遂行対過程」とは、所定の課題をどれくらい速く正確にたくさん「遂行」できるかに着眼するか、課題を解決しているオンラインの「過程」に着眼するかのいずれに焦点を置くかという分類軸である。
遂行(結果)
例 例
反応時間 内省法
行為----------------------------内省
例 例
生理計測 プロトコル分析
過程
図12.3 認知研究で使われる手法の類型
各象限の典型例を文章・談話研究を想定して簡単に説明する。
○内省(第1象限)
文章・談話に関して記憶や理解などを最大まで要求する課題を与えて、その課題を達成して終ってから、遡及的に自分の認知過程内で起っていたことを振り返り報告させる。その際に制約なしに行なう場合と、あらかじめ用意した項目、たとえば、「わかりやすさ」とか「読みやすさ」などについて内省する(評価する)場合---評定法と呼ぶ---とがある。
○反応時間(第2象限)
文章・談話を速く正確に処理させてそのときにかかった時間を計測するものである。どの文章・談話がどの文章・談話より速くて正確かをみることで、処理プロセスの特性を推測したり、文章・談話の質を評価したりする。
○生理計測(第3象限)
文章・談話を処理しているときに、脳や眼球運動などの生理機能がどのようになっているかを計測することで、文章・談話処理時の生理過程、とりわけ脳メカニズムの解明をねらう。
○プロトコル分析(第4象限)
文章・談話を処理しているときに頭に思い浮かぶことをそのまま語らせることで、処理過程のモデル構築や検証データを直接的に得たり、文章・談話の品質を評価したりする。
12.3 文章・談話にかかわる知識の形成論の課題と方法
●生得か経験か
形成論の課題は、文章・談話研究に限ったことではないが、常に2つである。その一つが、生得か経験かであり、もう一つが、経験だとして、どのような経験がどのような知識の形成をもたらすかである。
まず、N.チョムスキーによって一気に活発になった生得対経験かの問題から。
文章・談話の読みは、言語活動の基盤である文法と音韻が確立された後に発生する活動なので、生得か経験かはほとんど問題にならない。ただ、綴字情報を処理する認知活動として必須のパターン認識に関しては、それを支える神経的なアーキテクチャーにまで立ち戻れば、生得か経験かは一つの研究課題にはなりうるが、本章の範囲を越えるので触れない。
●学習経験による知識の獲得
文章・談話の読みに必要な知識は、ほとんどが意図的な学習経験に負ている。したがって、そこでの課題は、なんらかの形で最終的には、国語教育の指導法に関連してものになってくる。その中でも心理学的な課題としては、12.5で述べる知識の運用(読解)の特性を踏まえた効果的な指導法とは何かを問うことになる。ここでの課題は、大きく、2つになる。
一つは、文章・談話に作り込まれた仕掛けの活用にかかわる課題である。文書で言うなら、目次、索引、ヘッダー・フッター、見出しなど、さらには、文書構成の仕組、イラストなどを読解の手がかりとしてどのように使うかにかかわる課題である。ここでの知見は、ただちに、読み手の読解を効果的に支援する文章・談話作成リテラシーへの提言ともなる(たとえば、海保ら、1987)
もう一つは、読解方略の指導にかかわる課題である。上述の課題が外在化された文章・談話にかかわる知識の活用の学習であるのに対して、ここでの課題は、読解のために行なわれる認知活動の支援にかかわるものである。「大事そうなところは反復して読む(リハーサル方略)」「知っていることと関連づける(記憶方略)」「自分のことばで言い直してみる(理解方略)」といった方略の訓練効果が吟味される。
12.4 文章・談話にかかわる知識の貯蔵論の課題と方法
●内と外の知識の関係
ここまでは、知識を人の頭の中にあるもの(表象としての知識)を想定してきたが、知識には、もう一つ、外在化された知識がある。文章・談話は、まさにその典型である。最近の認知心理学では、この外在化された知識とのかかわりが強い関心を引きつけている。本章の後半を参照されたい。
それはさておくとして、ここでの課題の一つは、表現者によって外在化された知識である文章・談話が、頭の内部にどのように表象として貯蔵されているのかである。これは、認知科学研究の初期(60年代、70年代)の中心的な課題であった。
●外在化された知識の心理的実在
文章・談話をコンピュータに「理解させる」ためには、文章・談話の意味構造を分析しなけれならない(意味解析)。そのための分析用具として、文章・談話のさまざまな単位(綴字、語彙、文、文章、談話)でさまざまな用具が提案されてきた。それらの有用性は無論、コンピュータがどれだけ正確に理解できるかで評価されるが、それらを人の理解のモデルとして転用したときの有効性を吟味する研究が多数なされてきた。これが、外在化された知識表現の心理的実在(表現)を問う課題として、認知心理学が取り組んできたものの一つである。
次に、その心理的実在が確かめられている3つの用具(モデル)を、例示しておく。
*********
○命題
○意味ネットワーク
○物語文法
図12.4 文章・談話の記憶表象のさまざま
いずれにおいても、このような形で文章・談話が表象されているとするなら、所定の文章・談話についての認知処理は、このようになるはずとの仮説を、人を使った実験で検証することになる。たとえば、物語文法に関するものであれば、次のような事実からその心理的実在が示唆されている。
・表層的な文の長さは同じで命題数が異なる文を読ませると、 読み時間は命題数と比例する。
・階層の下部と上部で構成される文は、同一レベルで構成され る文より真偽判断に時間がかかる。
・物語の文法構造を乱した物語を記憶させると、再生成績が悪 くなる。
12.5 文章・談話にかかわる知識の運用論の課題と方法
●知識の形成と貯蔵と運用
文章・談話に関する知識の形成と貯蔵にまつわる課題をみてきた。最後は、それらの知識をどのように使って(運用して)、文章・談話を理解しているかを取り挙げてみる。ちなみに、文章・談話に関する認知論的アプローチによる研究の歴史から言うと、実は、この順序は逆で、知識の運用にまわる課題の研究から始まっている。
さて、文章・談話理解に関する研究の具体的な課題は、理解のさまざまな状況に応じて異なってくるが、共通しているのは、理解の目標を達成するために、既有の知識をどのように使うかについての内的な情報処理過程モデルを作ることである。
なお、情報処理過程モデルは、図12.*に示す、短期記憶ー長期記憶の枠組の中で構築されてきた。これまでに述べてきた知識の形成と貯蔵は、この枠組で言うなら、いずれも長期記憶にかかわるものであり、これから述べる知識の運用にかかわる課題は、もっぱら短期記憶において長期記憶に貯蔵されている知識が、外的な文章・談話素材の理解に際してどのように運用されるかにかかわるものである。
文章・談話----短期記憶----長期記憶
図12.5 短期記憶-長期記憶の枠組
研究の大枠は、ここ20年間、van Dijk &
Kintsch(1983)の提案に沿って行なわれてきたといってよい。彼らによると、文章・談話の記憶表象には、3つありそれを運用することで文章・談話の処理内容が異なるとされている。一つは表層的な言語表象である。単語や句や文などに対応する表象である。2つは命題表象である。文章・談話のミクロな命題表象と、文章・談話のマクロ命題表象とである。図12.4はその例となる。3つは状況モデルと呼ぶもので、文章・談話が記述しようとする状況全体にかかわる表象である。
このうち、表層的な言語表象の運用は、その処理単位からして、文章・談話の範疇には入らないので、ここでは省略するが、この処理単位、とりわけ語彙処理をめぐっての認知心理学的な知見は膨大なものがある。大津(1995)や御領(1987)などを参照されたい。
●命題的表象の運用
字義通りの理解を支えているのがこの命題的表象の運用によるものである。文章・談話の局所的な理解にはミクロ命題が、また文章・談話の全体的な理解にはマクロ命題が運用されている。
研究は、12.4で述べた、命題表現の心理的実在性をめぐっての議論とセットになって行なわれてきた。その典型的な理論がスキーマ理論である(注1)。
スキーマ理論は、仮定された記憶表象がどのように運用されるかに関する理論であるべきなのだが、多くの研究は、スキーマの特性分析のほうに力点が置かれ、その運用過程については、トップダウン処理(知識駆動型処理)が行なわれている、あるいは、せいぜい、スキーマの活性化による、といった程度のおおまかな説明で終ってしまっているのが現状である。
たとえば、Rumelhart & Ortony(1977)は、スキーマの特性として次の4つを挙げているが、それでどうしたという点にまでは踏み込んではいないことがわかる。
・スキーマは変数を持つ
変数にいろいろの値が入ることでスキーマが具体化される。
・スキーマは埋込構造を持つ
上位スキーマは多数のサブスキーマを埋め込んでいる。
・スキーマは抽象度のレベルごとに存在する
知覚的レベルから概念的レベル、さらには行動的レベルまで さまざまな抽象度のレベルで定義できる。
・現実的な知識を表現する
概念の定義や用語の意味を表現するのではなく、現実の中で 使われる世界知識を表現している。
●状況的表象の運用
文章・談話の字義通りの理解を越えて、世界知識や文脈を使った理解がここでの課題となる。文理解を例にとれば、
砂糖の入ったコーヒーと緑茶を飲んだ。
は、あいまい文の典型であるが、緑茶には砂糖は入れないという世界知識があれば、この文のあいまいさはなくなる(長尾、2001)。
ここでは、状況的表象が無限定になるため、その表象表現は問題とされない。どのような状況がどのように文章・談話理解にかかわっているかというまさに運用論が取り挙げられている。
ただし、ここでも、状況モデルが文章・談話理解に深くかかわっているといった存在証明の類の研究も多い。
たとえば、建物の空間構造に関する状況モデル構築のための情報を与えた後に、関連する文章の処理を要求すると、状況モデルの関与を示す証拠が得られたといった類のものである。
今後、状況的表象の運用に関しての認知論的な研究は、2つの方向で進められることになる。
一つは、内的な処理モデルの構築である。ここでも、Kintsch(1988)による、コネクショニスト・モデル(注2)をベースにしたコンピュータ・シミュレーションが注目される仕事の一つとなっている。
もう一つの方向は、効果的な状況的表象の構築を支援する外的な仕掛けである。文章・談話中に挿入される挿絵や具体例の効果、あるいは見出しや概要の効果などが実用的な活用を射程において研究されることになる。
2つの方向があまりに乖離しているが、それぞれの研究の進展は、いずれ統合的な成果として結実してくるはずである。
*******************
注1 スキーマ理論という言い方はやや曖昧さがある。記憶表象として何を仮定するかによって、スクリプト理論やフレーム理論や物語文法理論と呼ぶのが正しい。ここでは、それらを総称してスキーマ理論と呼ぶことにする。
(注2) コネクショニスト・モデルとは、神経回路網に似た階層的なネットワークを想定し、リンクとその結合強度とを学習的に変化させることで現象を模擬しようとするものである。
*************
参考・引用文献
御領謙 1987 「読むということ」 東京大学出版会
海保博之・加藤隆編 1999 「認知研究の技法」 福村出 版
海保博之ら 1987 「ユーザ読み手の心をつかむマニュア ルの 書き方」 共立出版
邑本俊亮 1998 「文章理解についての認知心理学的研究--- 記憶と要約に関する実験と理解過程のモデル化」 風間書房
長尾真 2001 「わかるとは何か」岩波新書
大津由紀雄編 1995 「認知心理学」3「言語」 東京大学 出版会
Anderson,J.R.1980(富田達彦ら訳) 認知心理 学概論 誠信書房
Collins,A.M.& Quikkian,M.R.1969
Retrieval time from semantic memory. Journal of Verbal Learning and Verabal Behavior,8,240-247
Kintsch,W. 1988 The use of knowledge in discourse
processing; A consutruction-integration model.
Psychological Review,95,163-182.
Thorndyke.P.W. 1977 Cognitive structures in comprehension and
memory of narrative. Cognitive Psychology,9,77-110
van Dijk,T.A. & Kintsch,W 1983
Strategies of discourse
comprehension. New York;
Academic Press
高速道路の左車線を観光バスのあとをのんびり
追いかけて走っていた。
突然、中央車線から一台の車が左に寄ってくる
急ブレーキをかけた。
相手も、中央車線に戻って事なきをえた。
自分はいくらしっかりと運転してしても
こういうことがあるから車は怖い
もういつでも止めたい気持ち。
追いかけて走っていた。
突然、中央車線から一台の車が左に寄ってくる
急ブレーキをかけた。
相手も、中央車線に戻って事なきをえた。
自分はいくらしっかりと運転してしても
こういうことがあるから車は怖い
もういつでも止めたい気持ち。
いつも買っているJTの瓶コーヒーにおまけがついた
写真がそれ
でもこれって、子供用ではないの?
それとも、こうしたフィギュアを喜ぶ層が、この逸品のコーヒーを
買う層と重なっているのかなー
あれやこれやで、なんとなく捨てがたく、居間のテーブルを占拠している。
写真がそれ
でもこれって、子供用ではないの?
それとも、こうしたフィギュアを喜ぶ層が、この逸品のコーヒーを
買う層と重なっているのかなー
あれやこれやで、なんとなく捨てがたく、居間のテーブルを占拠している。
2006-08-02 12:52:16
心をコントロールすることについて
テーマ:心の日記
岩波ジュニア新書「心理学ってどんなもの」海保著より 04/5/6
Q3・5 心を外からコントロールするのは問題はないのですか---心の外部コントロール
心のコントロールに関しては、イラストに示すように、3つの種類があります。
一つは、Q1・8で述べた自己コントロール、2つは、ここで取り挙げる外部コントロール、3つは、その中間に位置してして、しかも今一番望まれている心と行動の支援という考えです。
***イラスト 別添
コントロールするとか制御するとかいう話は、自然科学の技術の世界では当たり前です。大枠では自然科学のパラダイムに従っている心理学も、したがって、心のコントロールとか制御を考えています。たとえば、
・消費者に自分の商品を買わせる
・選挙で自分に投票させたい
・子どもに基本的なしつけをしたい
・恋人にもっと自分に関心を持たせたい
いずれももっともな願いです。心理学には、こうしたことに役立つ知見や技術がたくさんあります。応用心理学のねらいはそこにあります。
しかし、こうした心や行動のコントロールは、確かに、コントロールされる当事者に自分がなったことを考えると、気持ちが悪いところがあります。この気持ち悪さが、科学技術による自然のコントロールと根本的に異なっています。
自然の事物が人によるコントロールを気持ち悪がることはありませんから。
では、心や行動をコントロールするための知見や技術は否定すべきなのでしょうか。
ある種の領域では、否定あるいは禁止すべきです。これは、原子力を平和利用に限定する、あるいは、クローン人間誕生の禁止と同じ理屈になります。
どんな領域かと言うと、たとえば、今日もニュースで取り挙げられていました催眠商法です。100円で1000円の品物を挙げて、会場に閉じ込めて、さまざまな説得技法を使って10万円もの高額商品を買わせてしまうようなことに、心理学の手法が使われるのは禁止すべきです。
あるいは、サブリミナル(潜在)広告。人が意識できないところに働きかけて人に商品を買わせるようにしむけるのもだめです。
では、スーパーで買物客がつい買いたくなるような展示を心理学の知見を使ってやるのはどうでしょうか。あるいは、ごく普通に流されている大量の広告にも心理学の技術が使われていますが、これはどうしょうか。
微妙な領域です。他にもこんな領域はたくさんあります。あるいはそんな領域ばかりといってもよいかもしれません。
となると、善か悪か、禁止か許容かを決めるルールが必要になります。はっきりとしたものがあるわけではないのですか、基本3カ条を挙げるとすれば次のようになると思います。
○第1条「コントロールすることが、コントロールされる人のためになる」
商品を売ってもうけたいと言う気持ちは悪いことではありません。しかし、それはその商品を買った人のためになることが前提です。子どもしつけるのも、それが将来、子どものためになるからです。
○第2条「心や行動の自然な状態からかけ離れた状況でコントロールしない」
家の中で叱って子どもを勉強させるのは普通のことで何も問題はありません。しかし、夏休み中、山にこもらせて進学塾の集中特訓をさせるのはどうでしょうか。そういえば、自閉症児の治療と称してボートの合宿訓練で子どもが死亡してしまった事件もありました。心と行動の不自然な管理強化は、一時的には効果があっても、長期的にはむしろ害があります。
○第3条「コントロールの場に出入りするのは自由」
TV広告は見たくなければスイッチを消すことができます。もっとも、そんなことにならないように、最近は、話のクライマックスのところで中断するような手法を使っていますが。催眠商法の問題は、出る自由を巧みに奪ってしまうところにもあります。
いずれもそうは言ってもというところはあります。
看護場面などでよく起こるように、人のためによかれてと思ってやったことがそうでなかったり(第1条)、環境を無理して変えさせたら猛烈な勉強家になったり(第2条)、学校で出入り自由とはいかなかったり(第3条)はあります。
それでも、迷ったら、この3つを考えどころとしてほしいと思います。
最後に、冒頭で、心と行動のコントロールの3つ目に挙げた、支援という考えについて述べておきたいと思います。心の外部コントロールというややどぎつい感じを与える言葉よりもソフトですし、もっと大事なこととして、人への温かさが感じられます。
支援とは、助けてほしい人を助けることですが、そこには、どのようにしてほしいのかの目標があります。歩けなければ支えてほしい、心の悩みで困っているなら、悩みを解消してほしいというわけです。
ここには、コントロールされることへの願いがあります。この視点は、心理学の技術を使うときには、是非、忘れてはいけないと思います。
さらに、支援には、強力な外部からの働きかけよりも、相手の持っている力を活用して、それが発揮しやすいように脇からちょっと力を貸すというイメージがあります。心や行動の真の変容は、こういう無理のないところでしか起こりえません。
心をコントロールすることについて
テーマ:心の日記
岩波ジュニア新書「心理学ってどんなもの」海保著より 04/5/6
Q3・5 心を外からコントロールするのは問題はないのですか---心の外部コントロール
心のコントロールに関しては、イラストに示すように、3つの種類があります。
一つは、Q1・8で述べた自己コントロール、2つは、ここで取り挙げる外部コントロール、3つは、その中間に位置してして、しかも今一番望まれている心と行動の支援という考えです。
***イラスト 別添
コントロールするとか制御するとかいう話は、自然科学の技術の世界では当たり前です。大枠では自然科学のパラダイムに従っている心理学も、したがって、心のコントロールとか制御を考えています。たとえば、
・消費者に自分の商品を買わせる
・選挙で自分に投票させたい
・子どもに基本的なしつけをしたい
・恋人にもっと自分に関心を持たせたい
いずれももっともな願いです。心理学には、こうしたことに役立つ知見や技術がたくさんあります。応用心理学のねらいはそこにあります。
しかし、こうした心や行動のコントロールは、確かに、コントロールされる当事者に自分がなったことを考えると、気持ちが悪いところがあります。この気持ち悪さが、科学技術による自然のコントロールと根本的に異なっています。
自然の事物が人によるコントロールを気持ち悪がることはありませんから。
では、心や行動をコントロールするための知見や技術は否定すべきなのでしょうか。
ある種の領域では、否定あるいは禁止すべきです。これは、原子力を平和利用に限定する、あるいは、クローン人間誕生の禁止と同じ理屈になります。
どんな領域かと言うと、たとえば、今日もニュースで取り挙げられていました催眠商法です。100円で1000円の品物を挙げて、会場に閉じ込めて、さまざまな説得技法を使って10万円もの高額商品を買わせてしまうようなことに、心理学の手法が使われるのは禁止すべきです。
あるいは、サブリミナル(潜在)広告。人が意識できないところに働きかけて人に商品を買わせるようにしむけるのもだめです。
では、スーパーで買物客がつい買いたくなるような展示を心理学の知見を使ってやるのはどうでしょうか。あるいは、ごく普通に流されている大量の広告にも心理学の技術が使われていますが、これはどうしょうか。
微妙な領域です。他にもこんな領域はたくさんあります。あるいはそんな領域ばかりといってもよいかもしれません。
となると、善か悪か、禁止か許容かを決めるルールが必要になります。はっきりとしたものがあるわけではないのですか、基本3カ条を挙げるとすれば次のようになると思います。
○第1条「コントロールすることが、コントロールされる人のためになる」
商品を売ってもうけたいと言う気持ちは悪いことではありません。しかし、それはその商品を買った人のためになることが前提です。子どもしつけるのも、それが将来、子どものためになるからです。
○第2条「心や行動の自然な状態からかけ離れた状況でコントロールしない」
家の中で叱って子どもを勉強させるのは普通のことで何も問題はありません。しかし、夏休み中、山にこもらせて進学塾の集中特訓をさせるのはどうでしょうか。そういえば、自閉症児の治療と称してボートの合宿訓練で子どもが死亡してしまった事件もありました。心と行動の不自然な管理強化は、一時的には効果があっても、長期的にはむしろ害があります。
○第3条「コントロールの場に出入りするのは自由」
TV広告は見たくなければスイッチを消すことができます。もっとも、そんなことにならないように、最近は、話のクライマックスのところで中断するような手法を使っていますが。催眠商法の問題は、出る自由を巧みに奪ってしまうところにもあります。
いずれもそうは言ってもというところはあります。
看護場面などでよく起こるように、人のためによかれてと思ってやったことがそうでなかったり(第1条)、環境を無理して変えさせたら猛烈な勉強家になったり(第2条)、学校で出入り自由とはいかなかったり(第3条)はあります。
それでも、迷ったら、この3つを考えどころとしてほしいと思います。
最後に、冒頭で、心と行動のコントロールの3つ目に挙げた、支援という考えについて述べておきたいと思います。心の外部コントロールというややどぎつい感じを与える言葉よりもソフトですし、もっと大事なこととして、人への温かさが感じられます。
支援とは、助けてほしい人を助けることですが、そこには、どのようにしてほしいのかの目標があります。歩けなければ支えてほしい、心の悩みで困っているなら、悩みを解消してほしいというわけです。
ここには、コントロールされることへの願いがあります。この視点は、心理学の技術を使うときには、是非、忘れてはいけないと思います。
さらに、支援には、強力な外部からの働きかけよりも、相手の持っている力を活用して、それが発揮しやすいように脇からちょっと力を貸すというイメージがあります。心や行動の真の変容は、こういう無理のないところでしか起こりえません。
おとといは、電気ヒーターの消し忘れ
夕べは、電気こたつの消し忘れ
いずれも、サーモスタットが効いているから
まず大丈夫とは思うが、心配。
ねる前のいつもの確認なのにそれができていない。
これでは心配。
それにしても火災死亡者が多いなー。
不始末もあるだろうが、建材の燃えやすさも
あるのではないか。
夕べは、電気こたつの消し忘れ
いずれも、サーモスタットが効いているから
まず大丈夫とは思うが、心配。
ねる前のいつもの確認なのにそれができていない。
これでは心配。
それにしても火災死亡者が多いなー。
不始末もあるだろうが、建材の燃えやすさも
あるのではないか。
た。
●認知的体験「本当に頭にくる;犬害」06/9/9海保博之
前の家の犬が我が家に向かってほえているような感じ。当然のほえ声は本当に迷惑。
夏休み、家での仕事に相当支障がでたと思う。こんな時、となりに事情を説明にいって善処してもらうくらいなら、なんということもないと思うが家内が絶対に止めてくれという。困った!!
このまま放置しておくと、何をするかわからんぞ!!
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●認知的体験「本当に頭にくる;犬害」06/9/9海保博之
前の家の犬が我が家に向かってほえているような感じ。当然のほえ声は本当に迷惑。
夏休み、家での仕事に相当支障がでたと思う。こんな時、となりに事情を説明にいって善処してもらうくらいなら、なんということもないと思うが家内が絶対に止めてくれという。困った!!
このまま放置しておくと、何をするかわからんぞ!!
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3-13
06・6・20海保博之
絵表示
**4行あく
ムムムとっさの時の命綱
●絵表示花盛り
日本では、1964年の東京オリンピックを機会に、絵表示(icon)による案内が一気に充実した。言うまでもなく、そのねらいは、言語に依存しないコミュニケーションである。
一般に、一つの絵表示が良い絵表示である、というとき,その良さを構成しているものには4つある。
1つは、よく見えること(視認性)。
絵表示は、狭い領域に描かれることが多い。絵の細部が見えないことがある。しかも、絵表示は、文字を読む時より遠くから見られる。したがって、細部の表示を捨てて、マクロな表示をすることになる。
2つは、目を引き付けること(誘目性)。
とりわけ、道路などでは、周囲の雑多な情報環境の中でも目につくようにする必要がある。色や大きさや掲載場所などを工夫して黙っていても注意を引き付けられるようにする。
3つは、美しいこと(審美性)。
目立つものが不快な感情を与えてしまうようでは困る。見る人の気持ちを豊かにするような芸術性のある絵表示であることも大事である。
この3つは、人の知覚、感性レベルでの絵表示の良さの要件である。
これに加えて、絵表示は、一目でわかること(理解容易性)も大事な要件になる。これが、4つ目の認知レベルの要件になる。以下、項を改めて、考えてみる。
●絵表示のわかりやすさ===>>>「安全・安心の心理学」新曜社へ
06・6・20海保博之
絵表示
**4行あく
ムムムとっさの時の命綱
●絵表示花盛り
日本では、1964年の東京オリンピックを機会に、絵表示(icon)による案内が一気に充実した。言うまでもなく、そのねらいは、言語に依存しないコミュニケーションである。
一般に、一つの絵表示が良い絵表示である、というとき,その良さを構成しているものには4つある。
1つは、よく見えること(視認性)。
絵表示は、狭い領域に描かれることが多い。絵の細部が見えないことがある。しかも、絵表示は、文字を読む時より遠くから見られる。したがって、細部の表示を捨てて、マクロな表示をすることになる。
2つは、目を引き付けること(誘目性)。
とりわけ、道路などでは、周囲の雑多な情報環境の中でも目につくようにする必要がある。色や大きさや掲載場所などを工夫して黙っていても注意を引き付けられるようにする。
3つは、美しいこと(審美性)。
目立つものが不快な感情を与えてしまうようでは困る。見る人の気持ちを豊かにするような芸術性のある絵表示であることも大事である。
この3つは、人の知覚、感性レベルでの絵表示の良さの要件である。
これに加えて、絵表示は、一目でわかること(理解容易性)も大事な要件になる。これが、4つ目の認知レベルの要件になる。以下、項を改めて、考えてみる。
●絵表示のわかりやすさ===>>>「安全・安心の心理学」新曜社へ
教育TVで放映されているのを
時折見る。
おもしろいのは、先生の指示。
そこは怒ったようにとか
楽しいピクニックにいったように
といった類の指示が実に多い。
その指示で、演奏のどこがどう変わったは、
まったく素人の自分にはわからない。
時折見る。
おもしろいのは、先生の指示。
そこは怒ったようにとか
楽しいピクニックにいったように
といった類の指示が実に多い。
その指示で、演奏のどこがどう変わったは、
まったく素人の自分にはわからない。
07/8/2海保
夏休み明け集会での高校長あいさつ
一つの重篤事故の前には29の小さい怪我が---ハインリッヒの法則が教えること
夏休みは、頭を鍛えましたか?
今日と明日は、スポーツ大会ですね。
身体を鍛えることになります。
スポーツには怪我がつきものですが、怪我をすると、あなたはもとより、周囲のたくさんの人々も困ります。
そこで、今日は、怪我をしないための知識として、知っておいて損はない
「ハインリッヒの法則」を紹介します。
ハインリッヒの法則とは、
重篤な事故1の前には、29の小さい怪我が、小さい怪我の前には300のヒヤリハット体験がある、というものです。
したがって、重篤な事故を起こさないためには、小さな事故、あるいはヒヤリハット体験をしたときに、その発生の原因に思いをはせ、次からは、そうしたことをしないようにすることです。あるいは、そうしたことをあなたにさせた原因を取り除くことです。
では、ヒヤリハット体験を活かして、怪我のないスポーツ大会になることを祈念して、あいさつとします。
***********************************
●めったに怪我をしないのは、常に全速力でプレーしているから。(マイケル・ジョーダン)
●スポーツを通して、リスクの自己管理の力をつける。(海保)
夏休み明け集会での高校長あいさつ
一つの重篤事故の前には29の小さい怪我が---ハインリッヒの法則が教えること
夏休みは、頭を鍛えましたか?
今日と明日は、スポーツ大会ですね。
身体を鍛えることになります。
スポーツには怪我がつきものですが、怪我をすると、あなたはもとより、周囲のたくさんの人々も困ります。
そこで、今日は、怪我をしないための知識として、知っておいて損はない
「ハインリッヒの法則」を紹介します。
ハインリッヒの法則とは、
重篤な事故1の前には、29の小さい怪我が、小さい怪我の前には300のヒヤリハット体験がある、というものです。
したがって、重篤な事故を起こさないためには、小さな事故、あるいはヒヤリハット体験をしたときに、その発生の原因に思いをはせ、次からは、そうしたことをしないようにすることです。あるいは、そうしたことをあなたにさせた原因を取り除くことです。
では、ヒヤリハット体験を活かして、怪我のないスポーツ大会になることを祈念して、あいさつとします。
***********************************
●めったに怪我をしないのは、常に全速力でプレーしているから。(マイケル・ジョーダン)
●スポーツを通して、リスクの自己管理の力をつける。(海保)