映画「心を元気にする文化」
「孤独なハレ体験を楽しむ」
●小説と映画
最近は時間があることもあり、さらに、シニア割引(1000円)もあり、近くにがらがらのシネマ館ができたこともありと、ありありで、よく映画を見ます。
直近では、といっても2,3か月前になりますが、吉永小百合主演の「母べー(かーべ-)」が印象に残っています。その前は、と思って思い出そうとしましたが、出てきません。これが映画の特徴の一つですね。見た、面白かった、でも忘れたとなりがちです。小説なら本棚に残っていますから、こういうことはないですね。はからずも、小説と映画の比較をしてしまいました。
小説も映画も、仮想世界に導いてくれる古くからある2大仕掛けです。誰もがそれになり楽しめる仕掛けです。これにIT技術によるものが加わって、今や、仮想世界は、百家争鳴状態です。というような話は、小説のところでしました。
今回は、映画。
小説と比較しながら、心の元気づくりとの関係を考えて見ます。
●映画は感情移入が容易
文字表現の小説と映像表現の映画とには、読む者、見る者の心に訴えるものに違いがあります。
映画は、映像で直接的に訴えます。文字なら百万言費やしても表現できないことをたちどころに直接見せてくれます。
そして、かわいそうなマッチ売りの少女の立ち居振る舞いを直接見せられれば、ただちに感情を揺さぶられます。そして、感情移入してしまいます。
小説よりもはるかに簡単に感情移入してしまいます。小説だと文字表現の知的理解というステップが間に入りますので、その分、感情移入の敷居が高くなります。
●映画で気持ちを元気にするコツ
①映画は内容が大事
映画は見てすぐ感情移入をさせられますから、小説とは違って、気持ちを元気にするには、はやりポジティブな内容の映画を見る必要があります。
となると、喜劇仕立てのものなら無難ですが、物語性、現実性がないと退屈してしまいます。
やはり、はらはらどきどき、最後は、ハッピーエンドものですね。
熱中して映画を見る体験だけでも気持ち元気になれますし、終わりよければ、気持ちよく映画館を出ることができます。
②ひとりこっそり楽しむ
映画の元気づけ効果は、お酒によるそれと似たところがあります。
一時の一人ハレ体験ですね。
その意味では、茶の間でよりも、真っ暗な映画館で一人こっそりがふさわしいと思います。
③頻度はほどほどに
むしょうに物語が欲しくなることはありませんか。そして、気がつくと、かなり長い間、映画も小説もごぶさたしているというようなことがありませんか。人間には、物語欲求のようなものがあるように思います。
今は、TVでも簡単に物語をみることができます。ですから、その気になれば、容易に物語を楽しむことができます。ありがたい環境です。
だからといって、四六時中、物語に浸っているのは不健全です。感情エネルギーが枯渇してしまいます。
ほどほどが一番です。「映画でもみたいなー」という気持ちが自然に湧いてきたときに、やおら映画館にいくくらいが適当ではないでしょうか。