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場面別、注意の自己コントロールのための指針

2007-07-31 | 認知心理学
「場面別、注意の自己コントロールのための指針」
 拙著「パワーアップ集中術」(日本実業出版社)の目次を挙げてみます(一部省略と変更あり)。これは、場面別に注意をうまくコントロールするための具体的な指針になっています。
 一般向けになっていますが、勉強をするときの指針としても有効なものがたくさんありますので、参考にしてみてください。

●根気を永続きさせるための指針
   *飽きずに集中するコツ
1 急激な変化をしない環境を用意する
2 早朝を有効に使う
3 バイオリズムをつかむ
4 通勤・通学時間を活用する
5 時間を分割する
6 やる内容を分割する
7 初頭効果,終末効果を利用する
8 小刻みに結果をチェックする
9 終ったらほうびを
10 好奇心を常にたやさない
11 要求水準をコントロールする
12 大きな目標をときどき思い出す
13 むずかしいものにこだわり過ぎない
14 目や耳からの刺激を利用する
15 「ついで」主義を実行する

●精神を一点に集めるための指針
   *一瞬にして対象にのめりこむコツ
1 余計なものを整理する
2 決まった環境を利用する
3 勉強によって場所を変える
4 集中できそうな時間を決める
5 集中儀式を工夫する
6 最初はじっくりやること
7 復習のウォームアップ効果を利用する
8 好きなことから始める
9 何かをしたら何かが起こる環境を設計する
10 注意をそらされるものに注意を向けてしまう
11 一点集中のしすぎに注意する
12 「落ち込み」からの脱出法を用意する

●周囲の雑音にビクともしないための指針
     *気を散らさないコツ 
1 環境に馴れれば気も散らない
2 周囲の刺激と親しむ
3 人間関係を良好にしておく
4 悪環境を逆利用する
5 雑用の効果を知る
6 メモ,手紙を活用する
7 情報管理を工夫する
8 情報に流されないようにする
9 情報を選択する
10 どうでも良いことは徹底して捨てる
11 「とらわれ」から解放される
12 「ながら族」も捨てがたい


●瞬発力を発揮するための指針
    *勝負に勝つコツ
1 一人になる
2 徹底してリラックスする
3 別のことにも集中してみる
4 少しずつ調子を上げていく
5 集中してリラックスする
6 開き直って無我の境地に入る
7 遊び上手になる
8 ユーモアやジョークを活用する
9 あがりを利用する
10 ことばによる気合いを利用する
11 追いつめられる状態を演出する
12 一心にそのことだけを考える
15 生活のある部分で禁欲する
16 うまくいった時のことを思い出す

●知的パワーを充実させるための指針
     *すぐれたアイデアをものにするコツ
1 問題意識なくして発想なし
2 集中すると意外な発想が生まれてくる
3 九の集中と一の弛緩を繰り返す
4 休憩の効果を利用する
5 棚上げ効果を利用する
6 頭の中のものを外に出す
7 会話の中からヒントをつかむ
8 頭の内と外のやりとりを活発にする
9 からだを動かす
10 適度の不安状態を演出する
11 ともかくすぐにとりかかる
12 別の視点から考えてみる
13 データ集めは拡散・集中で
14 連想を使う

身体性認知

2007-07-31 | 認知心理学

◆身体性認知(embodied cognition)
認知活動を、知識と身体と状況とのダイナミックなやりとりとしてとらえていこうとする認知研究の立場。身体が動けば状況は変わる。それに応じて、使われる知識の量も質も変わる。結果として、認識もダイナミックに変化する。
認知活動を頭の中に自閉されたシンボル情報処理としてとらえる立場と対立する。

感性

2007-07-31 | 認知心理学

◆感性(kansei)
人は、感覚器官を使って外界から絶え間なく情報を取り込んでいる。それらは、知の世界と情意の世界を形成する糧となっている。感性とは、知と情意とが混然一体となった、つまり「見たい、知りたい」と「好き、楽しい」とが融合した複雑かつ未分化な外界認識の世界である。この感性を製品開発のなかに組み込むことを求める動きが、ハードの時代からソフトの時代へとシフトしてくるにつれて強くなってきている。

高血圧対策

2007-07-31 | 心の体験的日記

●認知的体験 02/1/21海保
「高血圧対策」
・毒だみ茶を飲む あおきさんすすめ
・薬を一錠 保健センターの医者
・清涼飲料水 長島監督出演のCM
・各種栄養サプリメント5種類
・塩分抜きの食事
どれが効果があるのわからないが、目下、正常値。

認知的体験 再掲

2007-07-31 | 心の体験的日記

●認知的体験02/1/19海保
「パワーポイントで遊ぶ」
おもしろい。次々と資料、図表---また表をうまく作れない---がきれいにできる。あっというまに、1時間2時間が過ぎる。ひさしぶりのフロー体験。
1時半に目が覚めて、原稿を書きながら、つまったり、思いついたらPP作りをしていたら、あっというまに5時半。本業が手がつかない!!しかし、見事なソフトだなー。

素朴心理学

2007-07-31 | 認知心理学

● 素朴心理学(folk psychology)
人は誰しもが自分の心の動きを説明できる自分なりの「心理学」を持っている。これを素朴心理学と呼ぶ。3、4歳からその萌芽は見られる。もとより、素朴心理学は、学問としての心理学と同じものではない。個人個人の長年の体験を通じて作り上げられた思い込みや独善に満ち満ちているのが普通である。しかし、それだけに、素朴心理学は、人が日常生活を営む上で強力な力を発揮する。
学問としての心理学は、その素朴心理学の思い込みや独善を取り払い、より普遍的なものへ、芳醇なものへと導く手助けをする。また、学問としての心理学は、その素朴心理学の内容を探ることによって、さらなる心の理論体系の構築をめざす。かくして、二つの「心理学」が交わるかのごとく、離れるかのごとく、世の中に存在し続けることになる。

記憶管理不全とヒューマンエラー

2007-07-30 | ヒューマンエラー
リレー連載;第3回 海保博之 筑波大学「心理学系」
ヒューマンエラーを事故につなげないために----
心理安全工学序説

第3回 記憶管理不全

●はじめに
 人は膨大な知識を記憶している。その知識の取り込み、記銘、貯蔵、運用には、コンピュータとは違った、人特有のくせがある。そのくせをよく知った上での知識の記憶管理が大切である。
 さらに、記憶の脆弱さを補う、外からの知識管理の支援も忘れてはならない。頭の内外で知識の記憶が適切に管理されていないと、エラー、事故が発生する。

●たくさんのことを一度に覚えさせない---チャンキング支援
 朝会などでたくさんの注意事項を口頭で伝達するようなことはないであろうか。
 人が一度に覚えられる記憶容量は、意味的なまとまり(チャンク)にしてせいぜい7項目くらいまでである(魔法の数7)。注意すべきことはすべて話したと思っても、そのいくつかは、伝達したとたんに忘れられてしまう。
 大事な情報だけを精選し、細かい情報は減らす。これが、人の覚えてもらうために鉄則である。
 図1に示す10項目の注意はどうであろうか。数をもう少し減らし、内容を区別化し(チャンキングし)、さらに区別がわかるようにタイトルや見出しをつけて提示すると、覚えてもらえる。
 たとえば、「作業前に」(3、7、9、10)と「作業中」とに区別するだけでもかなり記憶のされかたに違いがあるはずである。
 
図1 減り張りをつけて提示することで記憶を助ける
   (「安全と健康」52、11より)

●知っていることと関連づけさせる---関連づけ支援
 我々が何かを記憶するときは、すでに知っていることに結びつけて覚えると、覚えやすいし、忘れにくいし、思い出しやすい。たとえば、
 ・数字列「4613」を覚えるときに、「白い味」というような  ごろ合わせして覚える。
 ・「メンタルモデル」という用語を覚えるときに、「メンタル」  とは「心的」の意味というように翻訳して覚える。
 ・もっと大がかりなのは、たとえば、「短期記憶」とは、「コン  ピュータで言うならバッファー記憶のようなもの」というよ   うにたとえてみることもある。
 記憶術は、関連づけるための知識を用意して、さらに、覚えるものとの関連づけの方法を体系的に工夫したものである。
 こうした記憶術的な趣向は、緊急用の電話番号や安全標語などを覚えてもらう際などに利用することがあってもよい。
 
 見直そう             
 整理・整頓・清掃・清潔(4S)

図 こんな関連づけ支援もある
 (中央労働災害防止協会ポスターより)

●知らないことを知る機会と手段を提供する---知識のメタ認知診断支援
 知識爆発の時代である。続々と新しい知識が社会には蓄積されている。それを取り込む努力を絶えず行なわないと、頭の外と内の知識ギャップが大きくなり、どんどん時代遅れになり、周りが何が何やらわけがわからなくなり、結果として、やらずもがなのエラー、事故が起きてしまう。
 コンピュータを使う方なら、日常的に経験しているはずである。
 そんなことにならないためには、まずは、自分が何を知っていて何を知らないのかを絶えずチェックする必要がある。
 メタ認知力があれば、その認識はある程度までは自分でも出来るが、知識の定期診断テストのようなものが利用できるとなおよい。
 あるいは、セミナーや展示会などの新しい知識の現場に積極的に出向かせてみるのも効果がある。知識の仕込みの方向がおのずから見えてくるはずだからである。
 
●知識を高度化させる---高度化支援
 知識は、仕込みをすればするほど高度化しないと、頭の中が知識爆発を起こしてしまう。
 知識を高度化させるには、まずは、一冊の定番テキストを自家薬籠中のものにすること、ついで、その知識を現場と関連づけさせること(応用・分析)、そして、最も高次までいくとすれば、その知識をより大きな視点から批判的に吟味できるようにすることである。
 そのためには、単に知っているかどうかの知識テストだけでは不十分で、時には、さまざまな課題解決場面での知識の活用経験を与えたり、みずからが講師になって講義させてみるなど、多彩な知識の活用経験の機会を与える必要がある。

●旧知識を棄却させる---負の転移防止支援
 組織やシステムや作業手順などの変更時にエラー、事故が起こりやすいことはよく知られている。古い知識が、それを使ってはいけない状況にもかかわらず、使われてしまうためである(負の転移)。
 事が面倒なのは、古いほうに習熟していればいるほど、そこで使われている知識を意識することができないこと、しかも、新しい状況の中にちょっとでも似た手がかりがあると、その知識が発動されて、前なら適切だった行為が実行されて事故になってしまうことである。
 これを防ぐ一番の方策は、新システムに慣れるための充分な時間をかけた訓練をすることにつきるが、さらには、古い知識が発動しないように、あえて状況をがらっと変えてしまうこともあってよい。旧と新とを徐々に切り替えるようなやり方は危険である。

●記憶の変容のくせに注意する---記録支援
 目撃者証言の信憑性が時折、裁判で問題になることがある。人の記憶がビデオ録画のごとくにはなっていないからである。
 記憶された知識がどのように変容するかというと、大きく2つある。
 一つは、自分の持っている既有知識と一致する方向への変容である。最初は矛盾を感じていた断片的知識も、次第に一貫した知識(スキーマ)に体系化されて(認知的不協和の解消)、結局、その断片的知識は最初とは微妙に違ったものになってしまう。
 もう一つは、そうであってほしい、あるいは、そうあるべきだという方向への変容である。白熱した議論をしたあとの議事録がしばしば物議をかもすのは、それぞれの記憶知識がそれぞれに変容してしまったためである。
 いずれの変容も、生きていく(適応していく)ための方略としては、それになりに有効であるが、エラー、事故に直結するような知識の勝手な変容はまずい。
 これへの対処は、記録しかない。マニュアルを整備したり、日誌をつけたり、メモ、デジタルカメラによる記録などなど。

●思い出す手がかりを豊富に---想起支援
 せっかく頭の中に知識としては貯蔵されていても、それをうまく引き出すことが出来ないことが多い。
 たとえば、喉まで出かかった現象。目の前にいるよく知った人の名前がとっさに出てこない。
 一方では、必要もないのに、余計なことが思い出されてしまい、困ってしまうこともある(ポップアップ記憶)。
 あるいは、プライミング現象。病気の本を読んだ後、「カゼ」は「風邪」に、「ケットウ」は「血糖」と聞き違えることが多くなる。
 想起のこうした脆弱さや特性を考えると、一つは、思い出すための外的な手がかりを豊富に提供することが必要なことがわかる。
 工具の保管場所を一定にして名前を付けておけば、工具の置き忘れはチェックできる。これも、想起の外的支援の仕掛けである。
 もう一つ、プライミング現象などからもわかるように、すぐに思い出せるように、必要な知識の準備状態を良くしておく(活性化しておく)ことである。 
 朝会などで、その日の作業の大枠を説明したり、起こりそうな事故を列挙してみたりするのも、知識の活性化に役立つ。

図2 人の記憶の構造と機能

タイムリミットとワークリミットのせめぎあい

2007-07-30 | 教育
●タイムリミットとワークリミットのせめぎあい 
子どもを育てる過程でも、「急いで」「速く」「遅れるな」「時は金なり」などなど、タイムリミットを強調する叱責や督励の決まり文句を、保護者や教師は頻発する。一定時間内に何かをしなくてはいけないとの規範感覚(タイムリミット感覚)、さらに、一定時間内にできるだけたくさんのことをこなせる能力(タイムリミット能力)を育てることは、子どもを社会化していく基盤の一つであるし、さらに、集団として動く教育現場における統制をとるためにも、絶対に必要である。  しかし、人の心や行動は、物理的な(時計的な)時間だけではなく、それとは別のオーダーで流れている心理的な時間にも従っている。(注2)しかも、セルフペース、マイペースという言葉があるように、心理的時間のオーダーには個人差もある。子どもでは、この点の個人差は極めて大きい。  
そこに、タイムリミット感覚・能力を育てる難しさがある。  この難しさに拍車をかけるのが、「できたけれども納得がいかない」「もっとやりたい」「もうちょっとでできるから待って」といった言説に反映されるような、ワークリミット感覚である。つまり、時計時間に縛られないで納得のいくまで何かをやり抜きたいとの思いである。  かくして、タイムリミットとワークリミットのせめぎあいが教育現場の随所で、しばしば発生することになる。  
教育現場では、圧倒的にタイムリミットが支配することになる。これは、能力の高い子どもには、「時間があればもっと高いところまで行けたのに」という不全感を、能力の低い子どもには「時間がないからできなかった」という逃げ場を提供することにもなりかねない。

 リテラシー(literacy)

2007-07-30 | Weblog
 リテラシー(literacy)は、社会の中に、新しくて強力な道具が出てきて、その使い方や使える力を広く一般の人々が身につけることが必須になってきたときに、その使い方や使える力を意味する言葉として使われてきた。
 リテラシーの本来の意味が「読み書き能力」なのは、紀元前3千年前頃に発明されたシュメール文字が、コミュニケーションの道具としての役割の重要性が認識されたことと無関係ではないであろう。
 また、情報化社会の今は、「情報リテラシー」、「コンピュータ・リテラシー」、あるいは、「メディア・リテラシー」のように合成語としてリテラシーが使われているのも、情報、コンピュータ、メディアが、道具として重要な役割を果たしていることを反映している。ちなみに、出版本のサイト「アマゾン・コム」で「リテラシー」を検索すると、ヒットした245冊の8割以上がこの3つの合成語である。あと20年もすると、どんな新しいリテラシー合成語が生まれるのであろうか。
 閑話休題。やがてその社会に出て活躍することになる子どもに、あらかじめ学校で、さまざまなリテラシーを身につけてほしいと考えるのは当然である。「確かな学力」として、リテラシーを想定するのも、これまた当然である。
 そこで、本稿では、リテラシーについて、あらためてその意味、とりわけ、教育的な意味を考えてみた後に、「確かな学力」の一部としての「どんな」リテラシーを「いかに」子どもに身につけさせるか,さらに、そこにはどんな問題点が発生してくるかを考えてみたい。


心の教育

2007-07-30 | 教育
05/10/18海保
きょうけん集会 基調講演 11月11日

   修身から道徳教育へ、そして心の教育へ

     筑波大学心理学系 海保博之

第1 小史
1—1)戦前は、修身  「———すべし」
1−2)1947年教育基本法の制定
  道徳は全科で
1−3)1958年 道徳教育の時間の設置
「———しましょう」
*1996年中学生による神戸連続殺傷事件が発生***確認

1−4)1997年 中央教育審議会へ「心の教育」を諮問
1999年答申「新しい時代を拓く心を育てるためにーー次世代を育て る心を失う危機」
●伝統文化の強調と道徳教育と心理主義の三位一体
1.我が国の文化と伝統の価値について理解を深め、未来を
拓く心を育てる
2.道徳教育を見直し、よりよいものにしていく
3.カウンセリングの充実
 (a)スクールカウンセラーに相談できる体制の充実
 (b)スクールカウンセラーの養成の充実
 (c)カウンセリングマインドを身に付けた教員の育成
(d)「心の居場所」としての保健室の役割の重視
「———しましょう」
第2 心の教育のねらい

2−1)心のノートの配布(2001年)
全国のすべての小学生に3冊、 中学に1冊、補助教材として配られている。
・自分探し「自分さがし の旅に出よう カバンに希望をつめ込んで 
      風のうたに身を まかせ 自分づくりの旅に出よう」
     (中学)
   「うらやましいと思うこと」、
   「自分 に腹が立つこと」、
   「自分の好きなところ」、
   「自分の改めたい ところ」
   「自分の好きな食べ物、スポーツ、本」
・道徳の自覚
   家族愛、近隣愛、自然愛、郷土愛、国家愛
2−2)「心のノート」の基調
○心理主義  すべては心に起因するので、心を育てることが教育の
ねらい
○カウンセリング主義 自分を知り、自分にふさわしい自分になれるような指導

第3 心の教育のあり方

3−1)極端な心理主義の克服
B=f(P、E)
関数fは、しかも、かけ算モデルで考えるのが常識である。つまり、P(人)だけ、E(環境)だけで生ずる行動はない。あるのは、いずれがより強くかかわっているかである。
心理主義も状況主義も、極端に偏ってしまえば事の認識も、事への対処も誤る。要は両者のバランスに配慮することである。

****山口のモデルをここに

3−2)極端なカウンセリング主義の克服
心理診断、自己認識支援、傾聴などなど、子供を知り、子供の心に寄り添う、カウンセリング技能とマインドを持った大人、教師は、子供、とりわけ心理的な悩みや障害を持った子供の扱いには、必要である。
しかし、これも、極端になると、解決の先延ばし、指導能力のない頼りない大人のイメージを与えるだけに終わってしまう可能性もある。事の内容、進展にふさわしい、指導モードの選択ができることが望ましい。

読書の習慣をつけよう 高校生に向けて

2007-07-30 | 教育
                                           
読書の習慣をつけよう


読書の秋ということもありますので、今日は、高校生の読書につい
て。
今、日本で、一日に出版される本は、約200册、年間で約7万冊もあるそうです。
 これほど大量の本が出版されていながら、 高校生の読書の実態は驚く程、さみしく貧弱です(2000年の毎日新聞「読書調 査」より)
たとえば、
・1月に一冊も本を読まなかった割合は、中学生で 3割、高校生にいたっては6割。
・ 1か月で読んだ冊数は、中学生2.1冊、高校生1.3冊

「この夏休み(1か月ちょっとありましたが)、5冊以上は読んだ人は手を上げてみてください」
 2/5くらいでしょうか。少ないですね。

 読書することは、高校生にとってなぜ大切なのでしょうか?
 1つには、知識が吸収できるからです。学業から得られる知識の幅を広げてくれます。
 2つには、あなたの知らない世界を教えてくれます。これからあなたが否応無しに、あるいは好んで入っていくことになる、たとえば、恋愛の世界がどうなっているのか、どうやってその中で生きていけばよいかを読書は教えてくれます。
 3つは、仮想世界での間接体験によって、体験を芳醇なものにさせてくれます。あたかも小説の主人公になったかのごとく、本の世界でさまざまな体験ができます。しかし、これは今やTVにかないません。
 4つは、思考力を鍛えてくれます。TVを見ることと比較してみてください。読書は、頭をフル回転させ、頭の中にある知識を引っぱり出して、内容の理解をします。それが、思考力を養うことになります。

 今、小中学校などでは、朝10分間の読書タイムを設けて、本を読む習慣をつけようとしているところが増えています。
 また、筑波大学の人間学類では、1冊の課題本を受験生にあらかじめ読んできてもらって、それをもとに面接試験をしています。

 いずれの試みも、若者に本を読んでほしいとの思いが、背景にはあります。

 今、落ち着いて読書するような環境がどんどんなくなってきています。読書しなくとも、いろいろの情報が簡単に手に入り、多彩で迫力のある世界を見たり疑似体験することができてしまいます。
 こんな時だからこそ、「自覚的に」読書することを考えないと、からだだけ逞しいが、
・知識貧弱な若者、
・思考力低下した若者
に成り下がってしまいます。

 読書の習慣をつける秋にしてください。
・いつも鞄に1冊の本を入れておいてください。
・いつも読書をする時間と場所を決めてください。
・いつも立ち寄る本屋をみつけてください。
・いつもこずかいでまず1冊の本を買ってください。

 1週間に1冊、年間50冊、あたりが目安ではないでしょうか。何をおいても、いろいろの領域の本をたくさん読むことだと思います。読書によって、知的なたくましさを身につける秋にして下さい。
********
●私が人生を知ったのは、人と接したからではなく、本と接したからである。(アナトール・フランス)
●読書をして考えないのは、食事をして消化しないのと同じである。(バーク)(1729-97、英:思想家.政治家)
●徹夜で難解な本を読むことも体力である。---考える訓練を積むことで、考える筋肉や持久力がどんどん鍛えられていく。(中谷彰宏「運を味方にする達人」PHP文庫)
* ******

海保の本

2007-07-30 | 教育
単著本
●ミスに強くなるーー安全のためのミスの心理学(中災防新書)
●ミスをきっぱりなくす本(成美堂文庫)
●集中力を高めるトレーニング(あさ出版)
●学習力トレーニング(岩波ジュニア新書 
●心理学ってどんなもの (岩波ジュニア新書  
●くたばれ、マニュアル 書き手の錯覚、読み手の癇癪(新曜社)
●一目でわかる表現の心理技法—文書・図表・イラスト(共立出版)
●自己表現力をつける(日本経済新聞社)*
●説明を授業に生かす先生(図書文化社)
●失敗をまーいいかとする心の訓練 (小学館文庫)
●連想活用術—心の癒しから創造支援まで ( 中公新書 )*
.●パワーアップ集中術 (日本実業出版社)*
● 読ませる・見せる表現のコツ—わかりやすい文章・図表の書き方からイラスト・地図の描き方まで(日本実業出版社)
●こうすればわかりやすい表現になる—認知表現学への招待(福村出版)*
●「誤り」の心理を読む ( 講談社現代新書)*


認知発達

2007-07-30 | 認知心理学

◆認知発達(cognitive development)〔1992年版 心理学〕
認知機能は誕生の瞬間から、生得的に組み込まれた機構を使って、活動を開始する。光に眼球は反応するし、動く物体を追視することもできる。生後二カ月くらいで、すでに意味のある絵のほうをよく見る傾向を示す。環境から膨大な情報を取り込んで、知識として長期記憶に貯蔵していく。これが初期学習である。
一定量の知識が貯蔵されると、その知識を最大限に活用して、さらに学習が進む。J・ピアジェは、この過程を同化と調節ということばでモデル化している。
同化とは、与えられた情報を貯蔵されている知識のなかに取り込むこと、調節とは、貯蔵されている知識の更新・変更によって情報を取り込むことである。
同化できる情報のときは「よくわかる」、調節を促す情報のときは「はてな」という主観的な体験をもたらす。同化と調節がほどよく行われているとき、知的に適応しているという。