●目標をきちんと管理していなかったからミスをした----目標管理不全
何度目になるか、またまた、PDS(計画-実行-評価)にかかわる話しである。 人の行為は、計画、すなわち、目標の達成という大枠の中で行なわれ、評価されている。したがって、目標の管理を間違えると、行為が誤った目標に従って行なわれてしまう。当然、失敗となる。
目標管理不全は、外部目標を取り込んで自己目標にするところでもっぱら発生する。 通常、仕事の目標は上司や会社など外から与えられる。我々は、外部目標を自分の中に取り込んで(内化して)自分の行為を調整している。
ところが、外部目標があいまいだったり、矛盾していたりすると、それを取り込むときに、外部目標と内化目標との間にギャップができてしまう。
たとえば、心理実験では、「できるだけ速く、かつ、正確に」判断してくれるように、被験者にお願いすることがある。まじめに考えれば、ずいぶんと矛盾したお願いであるが、被験者は、一生懸命にやってくれる。それでも、「間違わずに」を優先する人と、「速く」を優先する人とが出てくる。当然である。
似たような話しは、いくらでもある。
・「注文より30分以内のお届け」を売り物にするお店で事故が増え てしまったケース
・警官が業績をあげようと、犯人を捏造してしまったケース
・頼もしくて思いやりのある男性との結婚を夢見て、いまだ独身のケ ース(失敗とはいえない?)
******図 目標構造 *******************************
「いわずもがな」で組織の運営をしていることの多い日本では、この類の目標の取り違えが多くなる。
もっと深刻な話しとしては、外部目標の優先順位を勝手に入れ換えてしまって事故になってしまったというケースもある。
朝の通勤時。ブレーキ故障で動かない。乗客から不満の声の大合唱。それに押されて、故障修理もそこそこに発車してしまい、列車が止まらず大事故に。
安全を再優先すべきなのに、乗客の利便性を優先させてしまった、運転手の優しさと弱さ。目標の取り違えエラーと呼ばれている。
航空機ショーでしばしば起こる無理なアクロバット飛行での事故。安全と挑戦(できそうにないことをする)と自己顕示欲(見物客にいいとこを見せたい)の3つの目標が葛藤を起こしてしまうのが原因の一端になっているはず。
ハワイ沖での原子力潜水艦の急浮上による宇和島水産高校実習船の沈没事故の原因追及の過程でも、同乗させていた民間人にいいところを見せてやろうというサービス精神が、つい安全という目標より上になってしまったことが事故の遠因らしいことが指摘されている。
実は、「安全第一」は、仕事の達成目標と葛藤を起こしやすい。なぜなら、安全第一を文字どおり第一順位にすると、仕事がしにくくなってしまたり、仕事がおもしろくなくなてしまう(?)からである。ここにも目標管理の構造的な問題の一つがある。
さらに、もう一つの目標管理不全の話し。
目標は行為をガイドする。とはいっても、内部目標は慣れた作業になるほど、目標をあらためて意識することがなくなる。目標の暗黙知化が起こる。これも、認知資源を有効活用するための怠けである。
問題は、状況がいつもとちょっと違ったときにも、いつもと同じことをしてしまい、それが失敗になってしまうことである。
先日、いつもの駐車場からいつものように車を出そうとした。ところが、隣の車がいつもより少し出っぱっていたため、バンパーをこすってしまった。「周辺確認」という目標をそのとききちんと意識化していなかった---できなかった---ためである。
何度目になるか、またまた、PDS(計画-実行-評価)にかかわる話しである。 人の行為は、計画、すなわち、目標の達成という大枠の中で行なわれ、評価されている。したがって、目標の管理を間違えると、行為が誤った目標に従って行なわれてしまう。当然、失敗となる。
目標管理不全は、外部目標を取り込んで自己目標にするところでもっぱら発生する。 通常、仕事の目標は上司や会社など外から与えられる。我々は、外部目標を自分の中に取り込んで(内化して)自分の行為を調整している。
ところが、外部目標があいまいだったり、矛盾していたりすると、それを取り込むときに、外部目標と内化目標との間にギャップができてしまう。
たとえば、心理実験では、「できるだけ速く、かつ、正確に」判断してくれるように、被験者にお願いすることがある。まじめに考えれば、ずいぶんと矛盾したお願いであるが、被験者は、一生懸命にやってくれる。それでも、「間違わずに」を優先する人と、「速く」を優先する人とが出てくる。当然である。
似たような話しは、いくらでもある。
・「注文より30分以内のお届け」を売り物にするお店で事故が増え てしまったケース
・警官が業績をあげようと、犯人を捏造してしまったケース
・頼もしくて思いやりのある男性との結婚を夢見て、いまだ独身のケ ース(失敗とはいえない?)
******図 目標構造 *******************************
「いわずもがな」で組織の運営をしていることの多い日本では、この類の目標の取り違えが多くなる。
もっと深刻な話しとしては、外部目標の優先順位を勝手に入れ換えてしまって事故になってしまったというケースもある。
朝の通勤時。ブレーキ故障で動かない。乗客から不満の声の大合唱。それに押されて、故障修理もそこそこに発車してしまい、列車が止まらず大事故に。
安全を再優先すべきなのに、乗客の利便性を優先させてしまった、運転手の優しさと弱さ。目標の取り違えエラーと呼ばれている。
航空機ショーでしばしば起こる無理なアクロバット飛行での事故。安全と挑戦(できそうにないことをする)と自己顕示欲(見物客にいいとこを見せたい)の3つの目標が葛藤を起こしてしまうのが原因の一端になっているはず。
ハワイ沖での原子力潜水艦の急浮上による宇和島水産高校実習船の沈没事故の原因追及の過程でも、同乗させていた民間人にいいところを見せてやろうというサービス精神が、つい安全という目標より上になってしまったことが事故の遠因らしいことが指摘されている。
実は、「安全第一」は、仕事の達成目標と葛藤を起こしやすい。なぜなら、安全第一を文字どおり第一順位にすると、仕事がしにくくなってしまたり、仕事がおもしろくなくなてしまう(?)からである。ここにも目標管理の構造的な問題の一つがある。
さらに、もう一つの目標管理不全の話し。
目標は行為をガイドする。とはいっても、内部目標は慣れた作業になるほど、目標をあらためて意識することがなくなる。目標の暗黙知化が起こる。これも、認知資源を有効活用するための怠けである。
問題は、状況がいつもとちょっと違ったときにも、いつもと同じことをしてしまい、それが失敗になってしまうことである。
先日、いつもの駐車場からいつものように車を出そうとした。ところが、隣の車がいつもより少し出っぱっていたため、バンパーをこすってしまった。「周辺確認」という目標をそのとききちんと意識化していなかった---できなかった---ためである。