ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.8.30 雨ニモ負ケズ、いろいろ段取り・・・の日曜日

2015-08-30 22:37:05 | 日記
 それにしても毎日々々ジメジメしたお天気。8月は一体どこへ行ったのかという日が続いている。帰国して以来、太陽にはろくにお目にかかっていない。天気予報では早くも秋雨前線が・・・と言っているから、このまま本当に秋を迎えてしまうのだろうか。困ったことに、こういうお天気だと胸痛が悪化し、頭も重く、何かと体調が優れない。

 昨日出かけた疲れか、今日は目覚ましをかけずにいたら久しぶりに予定以上の朝寝坊。明け方お手洗に起きて、再びたっぷり寝てしまった。洗濯物を干してもなかなか乾かない。ブランチを済ませ、ここのところずっとサボっていた掃除を済ませる。
 カドサイラ(T-DM1)の副作用の手足症候群が悪化している。手の平も足の裏も赤く腫れてテカテカ。足は靴下が履けるから痺れはあるけれど、痛みはそれほどではない。それに引き替え、手の方は、手袋をすると何かと不便だし、と素手で行っていたことが、段々辛くなってきている。とにかく、ちょっとした摩擦でも痛みを引き起こす素になっているようだ。スマホをいじることも、本をめくることも含めて、全く摩擦を避けることは難しい。「こんなのがあるよ」と夫が出してくれた化学療法室の看護師さんが使っておられる使い捨ての薄いビニール手袋をはめて拭き掃除をしてみたら、痛みを感じずに細かい作業が出来て、さすがに便利だ、と思った。

 午後から、母が入院する間に父がショートステイする候補施設の見学に、母と夫と3人で出かけた。あいにくの雨だけれど、今日を逃すともう行く暇がない。
 施設の最寄駅前で待ち合わせ、タクシーで5分ほど。閑静な住宅地の中、普通のマンションとしか見えない建物だ。言われなければ介護付き老人ホームとは思えない。心強いことに救急病院が隣接している。「(義母が)入所していた特養ホームとは随分違うね~」と開口一番、夫が言う。
 父がデイサービス等でお世話になっているケアマネのSさんに紹介して頂いたこともあり、エントランスで「見学予約していた●●です」とご挨拶すると、すぐに窓口の相談員Oさんが出てこられる。名刺交換をして、施設見学をしながら丁寧な説明を伺う。
 開所して3年が経ったばかりで、リハビリルームなども最新の設備である。廊下には食事のメニュー表等が貼られており、そのメニューの豊富さにも驚く。何より明るく、新しく、清潔。看護師さんも複数常駐している。HPで見た印象も良かったけれど、やはり百聞は一見にしかず、来て良かったと思う。

 最上階のラウンジは三面が窓で、テラスも広々。近くには高い建物がないので、見晴らしが素晴らしく開放感に溢れている。お天気の良い時には富士山もよく見えるという。ゆったりとしたソファーがあり、事前に予約すれば、ここで入居者と家族が食事をすることも出来るそうだ。そのテーブルで、説明を受ける。
 父の体調や既往等を母が話すが、なかなか要領を得ない。父の性格や趣味等もお話しした後、手続き等の話を伺い、各階のお風呂等も見せてきながら1階ずつ下に降りていく。なんといっても、お風呂が大好きで毎日入らないといられない父。施設に入って週に2回とか1日おきにしか入浴が出来ないとなると気の毒だと思っていたが、介助なしで入れるのであれば毎日でも大丈夫だそうで、不安を払拭することが出来て良かった。
 大浴場に檜風呂、チェアーやリクライニング等の機械浴など各種揃っている。
 明日からショートステイに入る予定の方の居室を見せて頂く。ナースコール付きのベッドにテレビ、2ドア冷蔵庫、大きな安楽椅子にテーブル、ロッカー、タンス等全て完備。洗面所もお手洗も十分な広さだ。まさに家具付きのマンションの1室である。

 「これなら安心して治療に専念出来るわね」と母に言うと、ほっとした様子。最初は自宅で一人で頑張る、施設は嫌だと言っていた父も、周囲の言うとおりにする、と観念したという。結婚して半世紀以上、身の回りのことを全て母におんぶに抱っこだった父が、この非常事態に母にしてあげられることは、何より母に治療専念させてあげることだ、ということを納得してもらえたのであれば良かったと思う。
 母には色々な障害は一つずつ取り除いて、今出来るベストな状態で入院生活を迎えさせてやりたいと思う。なんといっても82歳になって初めて開腹手術を受けることになる。不安で胸が押し潰されそうなのは当然なのだ。

 気付けば2時間以上が経っていた。母の入院スケジュールが決まれば電話で予約が可能で、入居当日、私が施設に出向いて契約書にサインの上入金すればすべて完了とのこと。
 帰りは最寄駅まで送って頂いた。相変わらず雨がしとしと降り、肌寒いほど。母を励ます会と称して、3人で我が家お気に入りのイタリアンレストランでコース料理を堪能してきた。父が自由に外出できなくなって以来、母は外食をすることも殆どないと言う。父がデイサービスに出かけている日にでも、お友達とランチにでも行けば良いと思うのだけれど、今回の告知の後は、とてもそんな気にはなれず、食事もろくに摂れていないらしい。「とにかく体力が第一なのだからしっかり食べないと」と言ったところ、「もうお腹一杯」と言いつつ頑張って食べていたので、胸をなでおろした。

 その後、駅ビルで入院用のパジャマ等の買い物を済ませ、母と別れて夫と2人、再びバスに乗って帰宅した。

 明後日からは9月である。まずは3日、母の造影CT検査結果を聞き、治療方針が出たらまたそれに対応して速やかに動かなければならない。
 大切な家族がピンチに立った時、その相手に思いやりをもって自分の行動を考えることが出来るかどうか、高齢の父にはちょっと可哀想だけれど、今が正念場なのだと思う。それが出来れば、60年近く連れ添ってきた2人の絆はきっとまた深まるだろうし、後悔することもないように思う。
 だからこそ、一人娘の私にとっても正念場の9月である。
コメント (2)
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