「2000人の終末期患者を診療した医師が教える 1分でも長生きする健康術」を読んだ。隠れファンを自認している緩和医療医・大津秀一先生の新刊だ。
ベストセラー「死ぬときに後悔すること25」をはじめ、先生の著書や新聞連載等はこれまでずっと拝読してきた。今も先生のブログを愛読し、メルマガも登録させて頂いている。
先生は早期緩和ケア(診断時やがん治療中からの緩和ケア及びがんに限らない緩和ケア)の普及・実践のため、昨年8月に遠隔診療を導入した日本初の早期緩和ケア外来専業のクリニックを開院された。機会を作ってぜひ一度伺ってみたいとも思っている(ミーハー・・・)。
さて、先生のブログやメルマガでこの度新刊が出ると知り、早速ポチッとネットで購入。届いたのが昨夜のこと。今日は都心出張で読書タイムがたっぷりあったので、いそいそと持参し、往復でさらっと読み終えた。
何よりとても平易で読みやすく、難しい言葉はない。ごくすんなり頭に入ってくる。帯には「科学的に証明された食事×運動法でお金をかけずに健康寿命を延ばす! 今日から!カンタンに!誰でもできる!」正しい情報に基づいた心掛けで“人生100年時代”はもっと長~く楽しめる」とある。
まあ、ステージⅣ歴患者を10年以上やっている私が人生100年は欲張り以外の何物でもないけれど、それでも学ぶところは沢山だ。先生の仰る長生きの鍵は3つ。「情報」・「食事」・「運動」だ。
なるほど、今は情報戦の時代。PCをちょっとクリックすれば、それこそ玉石混交の情報がどーんと押し寄せてくる。何が正しくて何が誤っているのか。それを見分けるリテラシー、取捨選択する力がないと本当に痛い目に遭う。限られた時間、後悔先に立たず、である。がん患者の弱みに付け込む詐欺まがいの治療情報を流す輩がいるのも悲しいかな、事実。だからこそ科学的根拠に基づいた信頼できる情報をセレクトしないといけない。
あまりに安易な話、シングルイシュー化されたファストな言説~いわゆる手軽で便利なもの~こそ私たちをダメにしている、と先生は書かれている。
2人に一人ががんになる時代。基本、がんにはなると思っておいたほうがよい、というのも実に明瞭な論法だ。つまり、あなたと私がいたら、どちらかがかかるのですよ、ということ。そして、がんになってからでも健康の基本は食事と運動である。バランスの良い食事をし、適度な運動をする。これはがん患者に限らず誰にでも通じること。○○を食べるだけでよい!なんて偏ったことがある筈はない。
また、“ヨガでもラジオ体操でも「続けられる運動」を”とある。ハイ、やっています!と思わずにんまりする。
何事もやり過ぎは良くない。ほどほどに、バランスよく。笑顔で美味しく感謝しながら食事をして、適度に体を動かしてきちんと疲れて心地よく眠る。そんなの当たり前だ、と言うなかれ。それこそなかなか万人が出来ることではないのだから。
「抗がん剤治療のキモは、将来やってくる痛みや不調を出来るだけ先延ばしにするために今、ある程度の不調を受け入れることであり、それが理解できていないと辛い。今がんによる自覚症状が出ていない人は、辛い副作用を受け入れ難いのではないか。その点、私は現にある痛みや不調が治療によって軽減された体験を持っているから、ある程度辛い治療も受け入れることが出来、ある意味幸せなのだと思う。」とこのブログでも書いた記憶がある。まさしくがん医療が不信を生じやすいのはそういうことだ、と先生も書いておられる。
ともあれ書き出すともうきりがないけれど、とにかく読み終わってとてもすっきり。今の感じで進んでいけばいいのだな、という確信が持てて再び治療に前向きになれそうだ。
今日は、先日撮影した遺影の写真を受け取ってきた。前回EC治療の脱毛前に撮った遺影から既に6年以上が経過し、あの写真を使ってはもはや詐欺でしょう!と思って再び撮影し直したのだ。この後「あら、また6年経ってしまったわ~、撮り直さないと」と笑って言えるかどうかは神のみぞ知る。
人は生まれてきたからには必ず死んでいかなければならない。がんであれ、別の病気であれ、老衰であれ。だからこそ、最期まで笑って今ここにある幸せを感じながら過ごせたらこんなに素敵なことはない。
1分でも健康で長生き!この本をまた指南書としてこれからの日々を送ってきたいと思う。お薦めです。