JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
鹿児島づくし
昨年の東北新幹線全線開業につづき、本年は九州新幹線が全線開業し、東海道・山陽新幹線から九州新幹線鹿児島中央駅までが一つのレールで結ばれることに因み、鹿児島の話題です。
これは、昭和40年3月に、西鹿児島駅で発行された、最短区間ゆきの両矢印式乗車券です。
西鹿児島駅は現在の鹿児島中央駅であり、九州新幹線新八代暫定開業の際に改称されました。
同駅からの最短区間は、日豊本線宮崎方面が鹿児島駅(営業キロ3.2km)と指宿枕崎線枕崎方面が郡元駅の次である南鹿児島駅(営業キロ3.9km)でありますが、鹿児島本線熊本方面は広木駅(営業キロ4.6km)と駅間が広いため、最短区間の乗車券には含まれることはありませんでした。
そのため、着駅が南鹿児島駅と鹿児島駅の2駅となり、たまたまこのような「鹿児島づくし」の券となっています。
下北駅発行 はつかり号乗継特急券
昭和59年2月に大湊線下北駅で発行された、東北本線野辺地駅~盛岡駅までの「はつかり8号」乗継特急券です。
当時は東北新幹線の北限は盛岡駅であったため、新幹線で仙台・東京方面へ旅行する利用客は、特急・急行列車で盛岡駅まで行き、ここで新幹線に乗り換える必要がありました。
そのため、盛岡駅は在来線特急・急行列車と新幹線との乗継駅となっており、乗継特急券需要が高かったと思われます。
この券は仙台印刷場が硬券印刷を終了した後の東京印刷場調製の券で、色が褪せてしまっておりますが、緑色地紋となっております。
特に年代の古い券ではありませんが、(乗継)の「乗」の字が旧字体の「乘」という活字が使用されています。
東京印刷場の乗継関連の硬券の題字には、見本券を見ても「乘」の活字が使用されているようで、新字体によるものは存在しなかったように思われます。
渋谷駅発行 金額式硬券乗車券
JR化後の昭和63年4月に山手線渋谷駅で発行された、160円区間の硬券乗車券です。
ご存知の通り、渋谷駅は都内屈指のターミナル駅であり、設備されている券売機の台数もかなりの台数があります。
昭和63年当時、近距離乗車券はすべて自動券売機対応で発売されており、出札窓口も既に軟券化されて入場券や長距離乗車券といったものもマルス発券となり、硬券はすべて淘汰されていると思われていました。
しかし、券売機の発券能力を超す旅客が出札に殺到した時、一時的な混雑を捌くために硬券による臨時発売が行われたことがありました。
この券は、私が実際に購入したもので、コンコースにテーブルを出して臨時発売されておりました。
東京印刷場調製の汎用的な金額式硬券で、発行箇所名は単に「渋谷駅発行」となっており、窓口を特定する番号はありませんでした。
最近はSuicaやPASMOなどのICカード乗車券が主流となり、電車に乗る時にきっぷを買う必要性がなくなってきていることの他、自動改札機が主流となった改札において硬券は有人改札を混乱させるだけでしかなくなっており、混雑時の硬券による臨時発売が行われることは皆無となっています。
20年ほど前は、正月3が日の初詣やイベントによる混雑のときに硬券による臨時発売が頻繁に行われ、それを目当てに出かけたものです。
東武鉄道 大師前駅発行硬券乗車券
今から26年前の昭和60年1月2日、東武鉄道大師線大師前駅で発行された、100円区間ゆき硬券乗車券です。
同駅は東京都内の高速鉄道線の駅では数少ない無人駅で、通常、乗車券類の発売は一切行われていません。
大師線は西新井駅から大師前駅を結ぶ、営業距離わずか1kmの全線単線、途中駅なしという盲腸線で、乗車券の取り扱いは伊勢崎線との乗換駅である西新井駅の乗換通路にて行われています。
そのため、大師前駅から定期券で乗車する乗客以外は、乗車区間に有効な乗車券を所持しないで電車に乗車するようになっています。
そんな大師前駅ですが、正月期間中は西新井大師への初詣客を捌くために駅員が配置され、乗車券の発売が行われています。この券は正月期間中に臨時発売された、硬券乗車券です。
実際に乗車しましたが、改札口では係員にきっぷを見せるのみでパンチ(入鋏)はしませんでした。もしかすると、同駅の鋏痕の設定が無かったのかもしれません。
そのため、「M省略」という入鋏省略の表記がある硬券という独特な様式になっています。
裏面です。
有効期間や途中下車前途無効の注意書きのほか、東武鉄道の文字と、発行課所名が記載されています。
発行箇所名は大師前駅となっております。
⑮という循環番号がありますので、3が日だけの期間限定発売であるにも拘わらず、相当な枚数が発売されていたようで、臨時発売をする意義が感じられます。
現在は硬券は廃止され、また、PASMOやSuicaといったIC乗車券が主流となり、このような臨時発売の意味そのものが薄れてきてしまったように思われます。
その後、能登飯田さまより、縁日の日も臨発を行っているという情報をいただきました。
卯原内駅発行 網走ゆき片道乗車券
あけましておめでとうございます。
旧年中は拙ブログへの御支援、誠にありがとうございました。本年も変わらぬ御贔屓のほど、よろしくお願いいたします。
さて、兎年の初めは「卯」に因んだ駅のきっぷの話題からエントリーしましょう。
「卯」つく駅と言いますと、JR四国予讃線の卯之町駅が出てきますが、今回は卯原内駅発行の網走ゆき乗車券を御紹介いたしましょう。
卯原内駅国鉄勇網線の駅で、かつては列車の行き違い交換のできる有人駅でありましたが、昭和57年に貨物や荷物の取り扱いが廃止されると無人化されてしまった駅でした。
訪問した昭和61年には、島式ホームに線路は一線しかない構造になっており、かつて交換駅であったことが想像できる雰囲気を残していました。
無人駅ではありますが、駅前商店で乗車券の委託発売が行われており、そこで記念に買い求めたのがこの乗車券です。
お店に入ると、店の隅に事務机が置かれてあり、引き出しの中に硬券数種類が置かれていました。
折りしも、この年の9月1日に運賃改定が行われたばかりでしたが、運賃改定の印が捺印された券はなく、すべてが新券になっており、どれも状態が大変良好でした。
様式は北海道の簡易委託の乗車券として一般的な大人専用券で、他に小児用もあります。
管理駅は着駅でもある網走駅でしたので、発行箇所名は「○簡 網走駅発行」となっています。
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