京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

新緑スーパーノヴァ

2012-05-04 | インポート

 

 ゴールデンウィーク真っ只中。

 春の行楽シーズン!

 とか、言ってても、明日はもう、立夏。

 夏だという。

 桜の季節は終わり、はや新緑の季節である。

 

 5月の京都といえば、葵祭である。

 5月15日の路頭の儀、つまり斎王代行列が最大の目玉。

 ただ、それに先んじて前儀が執り行われる。

 5月3日、下鴨神社での流鏑馬は既に済み、明日は上賀茂神社で賀茂競馬である。

 <けいば>ではない<くらべうま>である。

 そちらを見るのも、なかなか楽しい。

 

 京都に三大祭がある。

 葵祭に、祇園祭、そして時代祭。

 一年の中で行われる順番であるこの序列は、歴史の古さの序列でもある。

 一説によれば。その起源は1400年前に遡るとか、なんとか。

 それが眉唾であっても、1000年前、清少納言や紫式部の時代にあったのは確かだ。

 『枕草子』にも『源氏物語』にも、葵祭のことが書かれている。

 ことに『源氏物語』における、いわゆる「車争い」の場面は有名である。

 

 ところで、葵といえば、もちろん植物の葵のことである。

 葵祭では、この葵の葉を、牛車や、行列の勅使の衣服に飾ることになっている。

 ちなみに、このとき飾られるのは、上賀茂、下鴨両神社の神紋であるフタバアオイである。

 しかし、このフタバアオイ、実はアオイ科ではなく、ウマノスズクサ科である。

 どうでも良い知識だ。

 でも、葵祭のニュースを見たら、一緒に見ている人にその知識を披露すると良い。

 「へえ」

 って、言われるから。

 

 葵は、旧仮名遣いで「あふひ」と書く。

 葵の語源が、そこにあるとも言われている。

 アオイ科の中のフユアオイという花に、向日性、つまり太陽のほうを向く習性があるという。

 「日を仰ぐ」=「アオグヒ」ということで、アフヒ、となったとか、なんとか、かんとか。

 ちなみに向日の葵と書いてヒマワリと読むが、ヒマワリはアオイ科ではない。

 釈然としなくても、あきらめよう。

 

 さて「あふひ」の語源には、他にもあって、その一つが「逢う日」である。

 万葉集中の一首に由来するという。

 語源がこの「逢う日」であるなら、なかなかにロマンチシズムを刺激させられる。

 葵祭の日が大切な人と逢う日。

 そんなことを夢想するのも一興である。

”あいらんど”