京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

パンとサーカス

2016-01-13 | 京都案内

 新年を迎えて数日、京の町並みにも本格的な冬の寒さが到来して参りました。特に朝方の冷え込みは厳しく、布団に包まってついつい二度寝…なんてこと、皆さんも同じですよね(笑)。だからこそ、この時期には朝の熱いコーヒーが欠かせません。熱いコーヒーに焼きたてのトースト。英気を養う朝食。
 皆さん、朝食はパン派ですか?それともご飯派ですか?ちなみに僕はパン派です。京都人なのにパン派です(笑)。意外と知られていないのかもしれませんが、世帯当たりのパンの購入量、実は京都市が全国一番なのです。和食が美味しいのは勿論ですが、京都には美味しいパン屋もたくさんあるのです。
 そこで今回は、当館の洋食メニューでもお世話になっている老舗のパン屋『進々堂』にまつわる話をさせていただきます。

 日本にパン食文化が伝来してから最初に、フランスパンの製造から販売まで手がけた日本人が進々堂の初代オーナーだと言われています。
 当館のすぐ近くに店を構える進々堂寺町店。店の扉を開くと漂ってくる焼きたてのパンの甘い香りに、思わずうっとり。ベーカリーに併設されたイートインカフェでは、無料でコーヒーのお代わりが頂けるというのも嬉しいサービスです。
 つい先日、僕も朝食を頂きに進々堂寺町店を訪れました。いつものようにテーブルのメニュー立てをふと見ると、そこには見慣れない小冊子が数冊。なんだろうと思い手に取って開いてみると、活字の列がずらりと並んでいるではありませんか。
 表題は『パンとサーカス』。
 それは、進々堂寺町店の常連さんだという京都市在住の作家、いしいしんじさんが、進々堂のために書き下ろした短編小説だったのです。本が好きな人には堪らない演出。パンとレコード、不思議な盲目の素人女性パン職人、そしてお店に集う常連客が織りなす陽だまりのような素敵なお話。
 この短編小説は進々堂が発行する非売品です。進々堂の各店でしか読むことが出来ません。是非とも京都にお越しになって、当館に宿泊して(笑)、進々堂寺町店を訪れてみてはいかがでしょうか。



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