先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

門別薫さん(旭川アイヌ協議会初代会長)10月1日死去 96歳 差別の根源 保護法撤廃に力

2018-10-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/27 17:00
 「北海道旧土人保護法はアイヌ差別の根源だ」と、撤廃を最大目標に掲げて1972年に活動を始めた旭川アイヌ協議会。その創設に尽力し、持ち前の弁舌と強い信念で会をけん引した。94~95年に村山富市内閣で官房長官を務めた故五十嵐広三・元旭川市長とも気脈を通じ、97年に悲願を達成した。
 結成の発端は72年10月、旭川で起きた「風雪の群像」爆破事件。のちに企業ビル連続爆破事件を起こしたグループの犯行と判明したが、当初、立像の和人にひざまずくアイヌ古老という像の構想案などに批判的だったアイヌ民族のかかわりが疑われ、捜査当局の目が光った。「こういう時こそ団結しなくてはならない」と同胞に呼びかけた。
 初めてお会いしたのは本社社会部(当時)記者時代の93年7月。保護法廃止とアイヌ文化振興法制定を翌年に控えた96年には「経済や福祉の問題というよりも、アイヌ民族の人権が踏みにじられているから保護法は廃止しなければならないんです」と、なぜ、あってはならない法律なのか、肝心な部分を押さえる必要を説いた。一方で「新しい法律の制定には反対だ」と協議会の方針も。「教育に力を入れ、和人と対等になることで差別をなくしていきたい」と持論を付け加えた。
 日高管内平取町出身。旭川営林局(当時)勤務の傍ら、人権擁護委員も務め、アイヌ協議会会長とも併せて3足のわらじをはいた。協議会で活動を長年、共にしてきた荒井武さん(89)は「弁が立つし、指導力もあるので会長に選ばれた。多忙だったはずだが、全部きちんとこなした」と故人の労を思い起こした。(編集委員 小坂洋右)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/242241

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川俣町旧避難区域の学校で文化祭 8年ぶり、福島

2018-10-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/27 11:08 更新
 東京電力福島第1原発事故による避難指示が解除された福島県川俣町の山木屋地区で、今春再開した山木屋小学校と中学校が27日、文化祭を開いた。地区での開催は8年ぶり。
 会場の体育館には住民ら約60人が集まった。英語弁論の部で地域伝統の和太鼓を紹介した中学3年の高野大祐さん(14)は「練習を続け、失われた山木屋の7年間を取り戻せるようチャレンジしていきます」と話すと、拍手が湧いた。小学生5人は北海道でアイヌ民族の伝統文化を学んだことなどを寸劇を交えて発表した。
 山木屋地区は町で唯一の避難指示区域となり、昨年3月末に指示が解除された。小学校と中学校が一貫校として再開したが、事故前に99人いた児童・生徒数は現在計15人に減少。小学校は6年生の5人のみで、来年度以降の児童確保が課題になっている。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/242209

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宮古島の古謡を歌い継ぐ 與那城美和(よなしろ・みわ)さん

2018-10-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/27 09:12
 アイヌ語や沖縄の宮古島方言を研究したロシア人言語・民俗学者ニコライ・ネフスキー(1892~1937年)の生涯をたどる音楽朗読劇に招かれた宮古島の唄者(うたしゃ)。「ネフスキーは、かつての島と今の私たちをつなぎとめてくれる存在」と話す。
 劇「島へ」は、ネフスキーがロシア語教師として着任した小樽市などで9月末に上演。スターリン体制下、スパイのぬれぎぬで処刑されたネフスキーの生涯に重ね、1羽だけ違う色で生まれた鳥を母が励ます「白鳥(しらとり)ぬアーグ」など古謡(こよう)7曲を歌った。そのいくつかはネフスキーが実際に耳にし、記録した曲。「彼の人生に感情移入し、本番は涙をこらえるのに必死だった」
 宮古島市総合博物館の依頼で2009年に披露したのをきっかけに、三線(さんしん)(三味線)を使わない「声だけの古謡」に向かい合ってきた。音源が手に入ると、繰り返し聴いて覚える。「消えつつある宮古の言葉を残したいから。宮古の人々はもとは文字を持たず、唄に思いを託し、歴史を記録した」と語る。
 分からない言葉はネフスキーが5千語を採録した「宮古方言ノート」で調べる。「生活の様子も記され、タイムカプセルのように当時の宮古を残してくれた」。劇では「島と共にある/島がある限り私たちは生きていける」と歌った。「テレビや開発の影響で言葉や島が変わりつつある。唄を歌い、言葉を残し、その奥深さを多くの人に伝えたい」。52歳。(有田麻子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/242194

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

誇れる文化を今に アイヌ語の「先生」関根摩耶さん

2018-10-28 | アイヌ民族関連
日本経済新聞 2018/10/28 2:00

「アイヌなんですか?」。そう問われるたびに、慶応義塾大1年の関根摩耶さん(19)は少し違和感を覚える。北海道の先住民、アイヌ民族には違いないが「アイヌ」という言葉は「人間」という意味もある。「『人間なんですか?』って、変ですよね」と笑う。
大学生でありながら、アイヌ語の“先生"としての顔も持つ。月に1回は北海道に戻って、ラジオで毎週日曜に放送される「アイヌ語ラジオ講座」を収録。リスナーから「摩耶…
[有料会員限定] この記事は会員限定です。電子版に登録すると続きをお読みいただけます。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37012500W8A021C1CC1000/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民泊や震災関連が最先端?修学旅行の目的・意義は多様化する時代へ~みんなの修学旅行~

2018-10-28 | アイヌ民族関連
ニフティニュース 2018年10月27日 20時00分
修学旅行をより深く理解するための連載「みんなの修学旅行」。今回は修学旅行の目的について、公益財団法人 日本修学旅行協会の竹内秀一理事長に話を伺い、修学旅行という学校行事の核心に迫る。
■ 修学旅行で歴史学習が重視される理由とは?
修学旅行の起源が軍隊の行軍練習にあり、そこに学びの要素が加えられたものであることは前回までに学習済み。当時は現地で植物や鉱物の採取、生物調査などが追加されたが、なぜ現代の修学旅行は歴史学習に重点を置いて行われているのだろうか。
「学生たちは、小・中学校、高校と長い期間日本の歴史を学ぶため、修学旅行の目標・意図に最もなじみやすいのが大きな理由だと思います。京都・奈良のような歴史や文化は誰しもがイメージしやすいはずですが、例えば、北海道ではアイヌ民族と開拓の歴史の両方を学ぶことが目的になります。アイヌの場合は、異文化交流や異文化理解という意味合いですね」
修学旅行は平和学習にも重きを置いている。ところが、ひと言で平和学習といっても、その意義はかなり広い。いろいろな場所で、それぞれに学びの機会があるはず、と竹内氏は続けた。
■ 戦争を多角的に捉え、平和への理解を深める
「平和学習といえば沖縄や長崎、広島をイメージする方が多いでしょう。でも実はもっと煩雑なのです。例えば、北方領土のほか、長野県の満蒙、京都・舞鶴の引き揚げなどがそうですが、いろいろな視点から戦争というものを捉えることができます。つまりは、平和というものを広義に考えるのですね。
私どもが発行し、学校に配布している「教育旅行」でも、あまり行き慣れないない場所にもこうしたものがたくさんあるという情報を発信しています。もちろん、離れているところはプランに組み入れにくいかもしれません。でも、近くを通るからちょっと寄ってみようかとか、まずはそういうきっかけ作りになればいいなと思っています」
戦争、ひいては平和というテーマを多角的に捉え、理解を深める──。
竹内氏の思いが伝わってきたが、データを見ると修学旅行に変化の兆しも見えてきているという。
「20011年の東日本大震災を受けて、震災・防災体験、民泊が体験できる施設が増えています。今後はそういったところへ出向くというのが徐々に増えることで、修学旅行先や目的も多様化するのではないでしょうか」
■ 修学旅行に見える変化の兆し
修学旅行に起きている新たな変化。では、実際にはどういった動きなのだろうか。
「防災・震災については、やはり何と言っても東北の沿岸部ですね。青森から宮城までの太平洋沿岸やその自治体が、さまざまに取り組んでいます。熊本などもこれからだんだんと増えていくのではないでしょうか。それから民泊です。大分県が発祥の地といわれていますが、修学旅行以外にもいわゆる移動教室や自然体験教室といった形で積極的に受け入れています。その他にも、長崎の松浦や南島原、山口の周防大島などの各地域に広がっていて、全国的に取り組みが進行中です」
これまでの修学旅行とは少々イメージが異なるが、学校の考え方にも変化が起こっているということなのだろうか?
「例えば、高校であれば1年生で何をやる、2年生で何をやる、というものが学年段階でさまざまあります。それと修学旅行をどう絡ませていくか、あるいは日常の授業とどう結び付けていくのかが、修学旅行先を決める上で重要なのです。学びの要素を中心のメインテーマに据えて、しっかりと取り組みを持たせる。それにプラスして、生徒が楽しみにする部分などを付け足していくという形ですね。これまではワンパターンでやってきていたところもありますが、だんだんとそういった流れに変化しつつあります」
“修学旅行での体験を通して何を学ぶか。それを自分の人生にどう生かしていくか、を考える重要な機会になる”という竹内氏。そういった意味では、ただただ施設を見学したりするのではなく、そこで何を体験して吸収するのかというのが重要だ。
今後は、修学旅行の多様化が人生の幅をますます広げるようになるのかもしれない。(東京ウォーカー(全国版)・安藤康之)
https://news.nifty.com/article/economy/economyall/12207-167265/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

萱野茂「アイヌ歳時記」 北海道・二風谷 自然そのものを神と崇めていたのである

2018-10-28 | アイヌ民族関連
日本経済新聞 2018/10/27付
枯れ葉がカサコソと音をたて、風に舞う。ドングリや栗のイガを踏むと、サクサク。10月半ば、二風谷(にぶたに)の湖畔に人の気配はなかったが、乾いた音が道づれになった。
この自然の中で生まれ、12年前に亡くなった著者の言葉を思い返す。「アイヌは自然の摂理にしたがって利息だけを食べて、その日その日の食べ物に不自由がないことを幸せとしていたのである」
秋に遡上するサケをどう扱ったか。氷頭(ひず)(頭の軟骨…
[有料会員限定] この記事は会員限定です。電子版に登録すると続きをお読みいただけます。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36964510W8A021C1BE0P00/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川俣町旧避難区域の学校で文化祭

2018-10-28 | アイヌ民族関連
共同通信2018年10月27日 / 10:40 / 17時間前更新
 東京電力福島第1原発事故による避難指示が解除された福島県川俣町の山木屋地区で、今春再開した山木屋小学校と中学校が27日、文化祭を開いた。地区での開催は8年ぶり。
 会場の体育館には住民ら約60人が集まった。英語弁論の部で地域伝統の和太鼓を紹介した中学3年の高野大祐さん(14)は「練習を続け、失われた山木屋の7年間を取り戻せるようチャレンジしていきます」と話すと、拍手が湧いた。小学生5人は北海道でアイヌ民族の伝統文化を学んだことなどを寸劇を交えて発表した。
 山木屋地区は町で唯一の避難指示区域となり、昨年3月末に指示が解除された。
https://jp.reuters.com/article/idJP2018102701001739

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボリビア最高齢女性が118歳に 世界最高齢の可能性も

2018-10-28 | 先住民族関連
AFBB NEWS 2018年10月27日 10:44 発信地:ラパス/ボリビア [ ボリビア 中南米 ]

【10月27日 AFP】南米ボリビアの最高齢で、世界最高齢の可能性もある女性が26日、118歳の誕生日を迎えた。言葉ははっきりしていて、体も健康だという。現地当局者が語った。
 この女性はフリア・フロレス(Julia Flores)さん。フロレスさんは1900年、同国南部にある鉱山地域ポトシ(Potosi)で、先住民族ケチュア(Quechua)の一家に生まれた。
 フロレスさんは現在、同国中部のサカバ(Sacaba)で暮らし、「ママ・フリア(Mama Julia)」の呼び名で知られている。誕生日は家族、友人、地元当局者に囲まれて祝った。
 ボリビアの平均寿命が71歳であることを踏まえれば、フロレスさんの長寿は特に際立つ。
 フロレスさんの年齢が正式に認定されれば、存命の人として世界最高、歴代でも世界3位となるが、まだギネス世界記録(Guinness World Records)には認定されていない。
 ボリビアのアンデス(Andes)地方には長寿の前例がある。先住民族アイマラ(Aymara)の男性、カルメロ・フロレス・ラウラ(Carmelo Flores Laura)さんは123歳まで生きたとされ、認定されれば世界史上最高齢だった。
 ギネスで認定された世界史上最高齢は、1997年に亡くなったフランス人女性、ジャンヌ・カルマン(Jeanne Calment)さんの122歳164日。(c)AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3194919

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福士蒼汰も「すごい」 ふんどし姿の台湾先住民子役=東京国際映画祭

2018-10-28 | 先住民族関連
中央フォーカス台湾 2018/10/27 15:18

(東京 27日 中央社)第31回東京国際映画祭が25日、東京都内で開幕し、「アジアの未来」部門に出品された唯一の台湾映画「海だけが知っている」(只有大海知道)のツイ・ヨンフイ(崔永徽)監督と先住民・タオ族の子役、ジョン・ジアジュン(鍾家駿)くんらがレッドカーペットを歩いた。タオ族出身者が同映画祭のレッドカーペットに登場するのは初めて。伝統衣装のふんどしにベストといういでたちのジョンくんは堂々と戦士の身振りを披露して注目を集め、前方にいた福士蒼汰も何度も振り返り「すごい」と親指を立てた。
「海だけ~」は、美しい海に囲まれた台湾東部の離島・蘭嶼の小学校の子どもたちが、新任教師と共に先住民児童伝統舞踊コンクールへの出場を目指して奮闘する物語。これまでドキュメンタリーを手掛けてきたツイ監督の初の長編フィクション作品で、主演の教師を除く全ての役は、ジョンくんを含め、島内に暮らすタオ族の人々が演じている。
配給会社の海鵬影業によると、ジョンくんと祖母役のリー・フォンイン(李鳳英)は衣装の手作りなど出発準備を1カ月前に終わらせており、21日に台東から列車で国際空港のある北部に向かう予定だった。だが当日、北東部・宜蘭で特急プユマ号の脱線事故が発生して延期を余儀なくされ、東京に到着したのは25日午前だったという。
(楊明珠/編集:塚越西穂)
http://japan.cna.com.tw/news/aart/201810270002.aspx

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(子どもの本棚)「わたしたちだけのときは」 静かに届く、認め合う大切さ

2018-10-28 | 先住民族関連
朝日新聞 10/27(土) 11:30配信
■「わたしたちだけのときは」
 なぜ、おばあちゃんは明るい色の服を着て、三つ編みを長く垂らし、小鳥に「クリー語」で話すの? 「それはね……」。おばあちゃんが子どもの頃の話をしてくれます。
 遠い寄宿舎へ入れられ、暗い制服を着せられ、髪は短く刈られ、母語も禁じられたこと。20世紀までカナダの先住民を苦しめた「同化政策」の歴史です。でも「わたしたちだけのときは」秋はきれいな落ち葉を服につけたり、春は髪に草を編み込んだりして、自分たちの心を守っていました。
 あたたかな形と深みのある色感、素朴で表情豊かな絵。遠い過去の話ではなく、個人の自由や多様な文化を認め合う大切さが、静かに胸に届きます。「だから、いまは」と続けるおばあちゃんの言葉に力づけられます。
 (絵本評論家・作家 広松由希子さん)
 ★デイヴィッド・アレキサンダー・ロバートソン文、ジュリー・フレット絵、横山和江訳、岩波書店、税抜き1400円、小学校低学年から
 続きあり
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13742048.html?_requesturl=articles%2FDA3S13742048.html&rm=150

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DNA検査の「自分探し」に米国熱狂、人種差別助長への警鐘も

2018-10-28 | 先住民族関連
【AFP=時事】10/27(土) 9:05配信
単なる好奇心、あるいは自分は何者かという問いの答えを見つけるため、何百万人もの米国人が、インターネットで販売されているDNA検査キットを使って、自身のルーツを調べている。
 だが、この「自分探し」への熱狂が人種的なステレオタイプを助長し、人種間の分断が深まる恐れがあると、専門家らは警鐘を鳴らしている。
 少量の唾液から顧客のゲノム(全遺伝子情報)を解析し、他人のDNAとの比較からそれぞれの出自を調べるサービスを、多くの企業が100ドル(約1万1200円)程度の検査料で提供している。
 元々、国民の大部分が移民だった米国では、家系図が人々の想像をかき立てる。このためDNA検査は人気が高い。DNA検査大手、アンセストリー(Ancestry)と23andMeの2社によると、これまで検査を受けた人の数は1500万人に達しているという。
■DNA検査で白人至上主義者は変わらない
 DNA検査を推奨する側は、新しい技術によって人々の多様な背景が明らかになり、異なる人種に対して寛容になれると強調する。
 23andMeのウェブサイトでは、奴隷の子孫の1人の黒人と、奴隷の所有主だった家族の子孫の1人の白人が、同社のDNA検査によって共通の祖先を持つことを知り、「和解」のしるしとして一緒に祖先の墓参りをしているというエピソードが紹介されている。
 だが、カリフォルニア大学(University of California)の研究者らは、白人至上主義者は自分の祖先に黒人がいると分かっても、自分の思想を変えるのではなく、慌ててその結果をなかったものにしようとすると指摘する。
 社会学者のジョアン・ドノバン(Joan Donovan)氏とアーロン・パノフスキー(Aaron Panofsky)氏は、極右系ウェブサイト「ストームフロント(Stormfront)」での討論に注目した。ここでは複数の利用者が、DNA検査で「悪い知らせ」を受け取ったと投稿していた。
 2人の研究者は「白人至上主義者がDNA検査の結果を受けて、人種に関する自らのイデオロギーを変えるという考えには根拠がない。さらに重要なことに、遺伝子情報は白人至上主義者の考え方を変える手段とはなり得ない」と説明する。
■新たな「人種差別」への懸念
 カナダ・アルバータ大学(University of Alberta)の医療法専門家、ティモシー・コールフィールド(Timothy Caulfield)氏は、DNA検査が社会における人種差別を助長する恐れがあると、警告する。
 同氏は、「DNA検査サービスというのは、生物学的な違いに重きを置き、そして、その違いが個人を定義するという考えを広めている」「ある種の人種差別、つまり自分が所属する集団は遺伝子に基づいて決めるべきだといった考えを助長する」とAFPの取材に語った。
 コールフィールド氏は、DNA検査を受ける人の大部分が単に「興味本位で」やっていて、「結果によって彼らの世界の見方が変わるようなものではない」ことは理解していると強調する。だが、「これが登場したのは恐ろしい時代だ…以前よりも同族意識が強まり、人々が自分と他の集団が異なる理由を探しまわっている時代だ」と指摘する。
 人類学者のジョン・エドワード・テレル(John Edward Terrell)氏も雑誌「サピエンス(Sapiens)で、DNA検査サービスは近代性を装いながら「人種」という概念を復活させようとしていると警告する。
「人種とは、人の心が作り上げたものだ。『人種』という印象の悪い古い言葉を、『祖先』や『遺産』という言葉に置き換えることで進歩のように感じるかもしれないが、実際は違う」と指摘する。
■生物学的意味を超える「遺産」
 民主党のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員は10月上旬、DNA検査を利用し、祖先に先住民がいることを証明してみせた。先住民の祖先がいると主張していたウォーレン氏に対し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が「ポカホンタス(Pocahontas、先住民女性の名前)」と呼び、やゆしたことを受けた行動だった。
 だが、先住民の人々はウォーレン氏に異議を唱えている。
 1828年に創刊された米国で最も古い先住民紙「チェロキー・フェニックス(Cherokee Phoenix)」のブランドン・スコット(Brandon Scott)氏はウォーレン氏の行動について、「先住民の遺産がDNAによって受け継がれるという伝説に正当性を与えてしまった」と批判する。
「遺産というものは生物学的なものだけで決められるものではない」と、スコット氏は説明し、「我々のアイデンティティーは、中国で作られた合皮製の羽飾りには存在しない。アイデンティティーとは共同体、長老の語り伝える言葉、われわれの子どもたちの表情の中に存在するものだ」と続けた。【翻訳編集】 AFPBB News
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181027-00000005-jij_afp-int

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする