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人に上下をつけないアイヌの教え 自然に学ぶ大切さ 宇梶静江さん

2022-01-03 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2022年1月3日 8時00分

有料会員記事 聞き手・佐野楓
 社会に存在するさまざまな「境界」の今を探り、問題解決には何が必要か、望ましい境界の未来を模索する連載企画「ボーダー2.0」。今回は、詩人でアイヌ文化伝承者の宇梶静江さんに、人に上下をつけない社会のあり方や、災禍があれば自分たちの行いを改める機会だととらえるアイヌ民族の考え方について語ってもらいました。
 65年前に札幌から上京し、東京を拠点に暮らしていました。向こうで骨をうずめるつもりでいましたが、昨年11月に北海道白老町に引っ越しました。88歳になり、やっぱり私はアイヌなので、色々な活動に関わっているうちに「せっかく長生きしたんだから、皆さんが仲良くしていくのを見届けて死にたい」という思いになりました。
 空き家を借り、敷地内の倉庫を改修して、アイヌの人々が集える場所をつくる予定です。ここを拠点に、アイヌ民族がこれからどう生きていくかを語り合う「アイヌ学」を立ち上げたい。初めて会う人も訪ねてくるようになり、同胞の期待を感じています。
 アイヌ民族の人権をめぐってもたくさんの会があり、さまざまな考え方があります。首都圏では民族として主張するのが難しかった。アイヌが一つになって何をするのか、どうやって生活をしていき、自分たちの人権を確立するのか。周りは「北海道には昔アイヌがいた」という程度の認識で、訴える力は弱かった。
 北海道では、大地に足をつけて生きていくための訴えをしていける。河川の一本でもアイヌ民族に返してもらい、自分たちのためにサケを捕るというふうに。植物採集やその食べ方といった文化の継承も、関東では個々が家々に分かれて暮らしているので不可能でした。これから立ち上げる「アイヌ学」では、考え方の違いや何かの問題への賛否に関係なく、語り合って手をつないでいきたい。
和人との間にあった「境界」
 かつてはアイヌ民族と和人との間に厳然とした「境界」がありました。
 人種差別はどこの国でもあると思います。アイヌ民族が目立たない本州では、アイヌだからといって特別苦労することはありませんでした。けれども、北海道でのすさまじい差別が忘れられなかった。同じ村で育ったのに村の外で会うとまるっきり無視される。市町村単位で仕事があっても、和人が仕事を取ってしまい、アイヌが仕事をしたくても出る幕がない。そういう圧力がありました。
 150年以上にわたり、アイ…
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https://www.asahi.com/articles/ASQ1254VCPDYIIPE00L.html

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《新選組壊滅の日》鳥羽伏見の戦いで死傷者続出。しかし、内部崩壊の兆しはその前から…

2022-01-03 | アイヌ民族関連
文春オンライン2022/01/03 06:00
 慶応4年1月3日。洛南の鳥羽街道で、新政府軍と旧幕府軍との武力衝突が起きた。戊辰戦争の幕開けとなる「鳥羽伏見の戦い」である。
 新選組は旧幕府軍として戦闘に参加したが、新政府軍の最新銃火器の前に惨敗を喫する。山崎蒸、井上源三郎らが戦死し、生還できたのは150名中80名に過ぎなかった。
「もはや刀や槍の時代ではなくなった」
 戦闘の後、土方歳三はこう嘆いたという。
 新選組は、武士にあこがれた町民、農民らを「鬼の副長」土方歳三が鉄の規律の下に鍛え上げ、最強の剣客集団となった。「現実の武士以上に武士たろう」とした結果、「士道不覚悟」の理由で、多くの隊士が切腹を命じられることになる。
 厳罰と粛清の嵐が吹き荒れる中、新選組の在り方そのものに疑問を呈する隊士も現われた。新政府軍との近代戦で敗れる前に、内部崩壊の芽が育まれていたのかもしれない……。
『新選組血風録』 収録の 「胡沙笛を吹く武士」 を題材に、剣のみを信じ、時代の奔流に抗い続けた男たちの軌跡を辿ってみる。
【マンガ】『新選組血風録─ 胡沙笛 を吹く武士』第1回はこちらから
新選組隊士と京娘の出会い
 真葛ヶ原を訪れた京娘”小つる”は、林の中から聞こえてくる笛の音に気づいた。どこか哀しげな笛の音に誘われて近づくと、そこには一人の武士が……。
 林の中で笛を吹いていたのは、新選組隊士・鹿内薫だった。
「胡沙笛といって、私の故郷の南部藩で蝦夷(アイヌ)の人々が吹いていた笛です」
 雨宿りをした鹿内と小つるは急速に親しくなっていく。鹿内が髪結いをしている小つると会うときは、家の近くで胡沙笛を吹くのが二人の合図だった。
 旅籠に張り込んで3人の長州浪人を斬った武功により、鹿内の評価は高まり、自信に満ちているように見えた。しかし、同僚の原田左之助だけは「鹿内は女ができたな」と看破していた。
 隊士が増員され、鹿内は助勤に昇格した。鹿内は手頃な家を借り、小つると一緒に住むようになる。
 勤皇派志士がクーデター計画を密議した「池田屋事件」の当日、鹿内は現場に向かう途中で薩摩藩士らと遭遇、同僚2人が斬り殺されてしまう。背中を斬りつけられた鹿内は恐怖にかられ、その場から逃げ出してしまう。
「ふかくでございました」
 鹿内の苦しい弁明に、土方歳三は疑念の目を向ける。
「士道不覚悟」の宣告
 隊の中で、怯懦という評価を受けつつある鹿内。しかし、土方は鹿内に名誉挽回の機会を与えようと決意する。折も折、三条大橋に掲げられた長州の罪状を列挙した制札が何者かに引き抜かれるという「三条制札事件」が勃発する。
 三条制札事件を探索中、鹿内は犯人を目前にするが、恐怖心から体が石のように固まってしまう。
 近藤勇は土方に「士道不覚悟」を宣告する。
「士道不覚悟」になれば、切腹、斬首、密殺のいずれかの処置が待っている。鹿内の運命は決した。討手は友人の原田左之助になった。
 友人を討たねばならぬ立場に陥った原田は、新選組の在り方を痛烈に批判する。
「人間には誰しも間違いがある。それがわからぬ近藤や土方は大馬鹿だ。隊士は敵ではない、同志だ。こんなことを続けていてはいずれ新選組も……」
「もういいです。原田さん、ありがとう」鹿内は寂しく笑う。その後の鹿内の運命は──。
 続きは、文春オンライン連載 『新選組血風録』 (原作・司馬遼太郎 作画・森秀樹)でお楽しみください。
 新選組幹部が幕臣に取り立てられたことをきっかけに、伊東甲子太郎ら15人が新選組から分離し、御陵衛士を結成。新選組と御陵衛士との間で、血で血を争う内部抗争が勃発する。
 首謀者の伊東甲子太郎は斬殺され、死体は油小路にさらされた。かたや、近藤勇は御陵衛士の残党によって銃撃され、鳥羽伏見の戦いでは指揮をとることができなかった。薩長と雌雄を決する前に、新選組は内なる敵との闘いに敗れつつあったのかもしれない……。
 12月25日〜2022年1月10日の期間限定で、 『新選組血風録』 に収録されている 「芹沢鴨の暗殺」 「海仙寺党異聞」 「胡沙笛を吹く武士」 を全話公開しています。
(文春コミック/文春コミック)
https://news.goo.ne.jp/article/bunshun/nation/bunshun-50830.html

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