北海道新聞 01/23 11:00

10年余り3世代のありのままの日常を撮り続けた宇井眞紀子さん
写真家宇井眞紀子さん(61)=東京在住=が初の写真絵本「伝え守る アイヌ三世代の物語」(少年写真新聞社)を出版した。道東を舞台にした父と娘と孫の交流が描かれ、収められた数々の写真は自然を大切にするアイヌ民族の思想や哲学も伝えている。
宇井さんは2017年、全国のアイヌ民族100組を捉えた写真集「アイヌ、100人のいま」を出版。その際、大阪から十勝管内陸別町に移住した藤戸ひろ子さん(45)、大貴さん(14)、若夏菜(わかな)さん(12)の一家に加え、ひろ子さんの父でオホーツク管内津別町に住む彫刻家藤戸幸夫さん(72)と親しくなった。
写真絵本には、それぞれ「ひろ子さん」「ダイキ」「ワカナ」「じいじ」として登場する。魚釣りや餅つき、愛犬イタとの散歩など家族の日常生活を丁寧に記録した。ひろ子さんがアイヌ刺しゅうやアイヌ料理、アイヌ語の歌を伝承する活動も紹介されている。
シカを解体しながら行われる命と食の教育や、ひろ子さんが工芸品の材料を採るため山に入る際、祈りをささげるシーンなどもある。宇井さんは「一家の日常に寄り添って撮っていたらアイヌ民族の哲学が随所に出てきた。まさに『持続可能な開発目標(SDGs)』が、アイヌ民族の生き方にしっかりと実践されていた」と振り返る。
「アイヌの人々は、かつて同化政策という国の方針で、自分たちの文化を否定されたり、アイヌ語を話すことをさまたげられたりしてきました」とあとがきに書いた宇井さんは、この本がアイヌ民族を理解する一助になってほしいと願う。AB判40ページ、1980円。
宇井さんは千葉県出身。日高管内平取町の二風谷ダム建設問題をきっかけに、1992年からアイヌ民族を撮り続けている。2012年に東川賞特別作家賞、17年には第1回笹本恒子写真賞を受賞した。現在、「アイヌ、100人のいま」の続編を撮影中だ。(編集委員 岩本茂之)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/636091

10年余り3世代のありのままの日常を撮り続けた宇井眞紀子さん
写真家宇井眞紀子さん(61)=東京在住=が初の写真絵本「伝え守る アイヌ三世代の物語」(少年写真新聞社)を出版した。道東を舞台にした父と娘と孫の交流が描かれ、収められた数々の写真は自然を大切にするアイヌ民族の思想や哲学も伝えている。
宇井さんは2017年、全国のアイヌ民族100組を捉えた写真集「アイヌ、100人のいま」を出版。その際、大阪から十勝管内陸別町に移住した藤戸ひろ子さん(45)、大貴さん(14)、若夏菜(わかな)さん(12)の一家に加え、ひろ子さんの父でオホーツク管内津別町に住む彫刻家藤戸幸夫さん(72)と親しくなった。
写真絵本には、それぞれ「ひろ子さん」「ダイキ」「ワカナ」「じいじ」として登場する。魚釣りや餅つき、愛犬イタとの散歩など家族の日常生活を丁寧に記録した。ひろ子さんがアイヌ刺しゅうやアイヌ料理、アイヌ語の歌を伝承する活動も紹介されている。
シカを解体しながら行われる命と食の教育や、ひろ子さんが工芸品の材料を採るため山に入る際、祈りをささげるシーンなどもある。宇井さんは「一家の日常に寄り添って撮っていたらアイヌ民族の哲学が随所に出てきた。まさに『持続可能な開発目標(SDGs)』が、アイヌ民族の生き方にしっかりと実践されていた」と振り返る。
「アイヌの人々は、かつて同化政策という国の方針で、自分たちの文化を否定されたり、アイヌ語を話すことをさまたげられたりしてきました」とあとがきに書いた宇井さんは、この本がアイヌ民族を理解する一助になってほしいと願う。AB判40ページ、1980円。
宇井さんは千葉県出身。日高管内平取町の二風谷ダム建設問題をきっかけに、1992年からアイヌ民族を撮り続けている。2012年に東川賞特別作家賞、17年には第1回笹本恒子写真賞を受賞した。現在、「アイヌ、100人のいま」の続編を撮影中だ。(編集委員 岩本茂之)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/636091