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『アンという名の少女3』4話 親の束縛、国の拘束、自由に歌いたい少女たちの戦い

2022-01-10 | 先住民族関連
QJWeb 1/9(日) 11:01

L.M.モンゴメリ不朽の名作『赤毛のアン』に、大胆な現代的アレンジを加えたNetflixドラマ『アンという名の少女』シーズン3第4話「別の世界での再会を信じて」は、4組の親子の関係が描かれる回。『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』の作者でライターの米光一成による全話レビュー。
「マリラは私が嫌いなのね」
先住民族のカクウェットは、両親を別れを告げて、寄宿学校に入ることになる。「なぜカクウェットを学校にやる必要がある?」と父親はまだ反対している。母親は「世界は変化しているわ。その変化を学び強く生きるためよ」と答えて、カクウェットを送り出そうとしている。
寄宿学校へ行くカクウェットに、アンは自分の服をプレゼントする。インディアンとの付き合いを危険だと思っているマリラは、アンをきつく叱る。
「マリラは私が嫌いなのね」と泣くアンを、マシューは、時間が経てば解決すると慰めようとするが、アンの気持ちは収まらない。「私が大学に行けばマリラには好都合ね。私もそう。二度とここには戻らない」と、アンとマリラの溝はどんどん深まっていくのだった。
愛するメアリーを亡くしたバッシュは、メアリーの息子イライジャに、彼女が亡くなったことを伝えに行く。が、反抗的なイライジャは「死んだやつに会って何になる?」などと言い放ち、バッシュと殴り合いに。メアリーの手紙を置いて、バッシュは帰っていく。マシューは、「遠出を禁止したのは、あの子を失うことを恐れているからだろう。このままじゃ今すぐ失うぞ、お前の身勝手な振る舞いのせいでな」とマリラを叱る。マシューがこんなに怒るのは珍しい。
マシューの許しを得てノヴァスコシアを訪ねたアンは、ハリファックスの教会で両親の記録を見つける。アンは、自分が両親から捨てられたわけではないことを知って安堵する。
帰り道、アンは、寄宿学校を訪ねるが、シスターは「歌の練習中だ」とカクウェットに会わせてくれない。髪を短く切られ、暗い表情で歌っているカクウェット。アンが歩く姿を見つけたカクウェットは、窓に近づく。「家に帰りたい」「ここから逃げなきゃ」と叫ぶが、シスターは彼女を窓から引き剥がし、「英語以外の言語は禁止です。主のために歌いなさい」と叱る。
シスターは神父を呼び、カクウェットをムチで打つのだ。
ダイアナの冒険
強制的に歌を歌わせる酷い場面と照応して描かれるのは、ダイアナの冒険だ。
アンに感化されたダイアナは、「人生は短く、世界は広いから」(Because life is short and the world is wide.)と、家から抜け出し、肉を買うおつかいについていく。
だが、肉屋が休み。猟師の家に行くと、たまたまそれはジェリーの家族だった。ジェリーはカスバート家で手伝いをしていて、何度も会ったことがある少年。
ダイアナは、足をケガしたと嘘をつき、ジェリーの家に泊まる。大家族と食事を楽しみ、歌を歌い、踊る。
「足首治ったの?」と驚くジェリーに、「本当は痛くなかった」とダイアナは白状する。お姫様のようなダイアナがウソをついていたことにジェリーが驚くと、ダイアナは「体験したかったんだもの」と言い、「何を?」という質問に、「自由よ!」と答える。
両親と引き離され、自由を奪われ強制的に歌を歌わされるカクウェットと、両親のもとを抜け出して自由に歌を歌い楽しむダイアナ。
楽しい時間もつかのま。すぐに両親がやってきて、ダイアナは家に連れ戻されてしまう。
母親が子供を束縛するエピソード
原作の『赤毛のアン』シリーズにも、親が子を束縛するエピソードがいくつも出てくる。
たとえば『アンの愛情』には、ジョン・ダグラスという青年が登場する。いつまでたってもプロポーズしない原因が、母親だ。
〈「母がひどい発作を起こして、もう長くはないだろうと覚悟したとき、母が、自分の命があるうちはジャネットに求婚しないでくれ、と、泣きついてきたんだ」〉『アンの愛情』L.M.モンゴメリ 著/松本侑子 訳/文藝春秋
母親が子供を束縛するエピソードは、『風柳荘のアン』にも登場する。
〈「ポーリーンときたら、私を置いて外出したいと言うのですよ、シャーリー先生。なんとまあ、優しい、ありがたい娘でしょう。そうでござんしょ」
「たったの一日よ、お母さん」ポーリーンは涙をこらえ、ほほえもうとしました。
「たったの一日ですと! ああ、先生は、私の一日がどんなものか、ご承知ですよね。ええ、みなさまがご存じですとも。いや、患っていると一日がどんなに長いか、先生は、まだ、ご存じありませんね。この先も知らずに済むよう願ってますよ」
しかしギブソン夫人は今のところ、どこも悪くないのです。〉『風柳荘のアン』L.M.モンゴメリ 著/松本侑子 訳/文藝春秋
家のために束縛され自由を奪われるエピソードが、アンシリーズの中に繰り返し登場するのだ。『赤毛のアン』も、マシューの死によって、大学進学を諦めてアンが家に残ることを決意する物語でもある。
彼女は本当に歌が好きだった
シーズン3第4話には、歌う自由をめぐるエピソードがもうひとつ登場する。メアリーの葬儀のあと、牧師がバッシュに彼女の10歳のころの思い出を語る場面だ。
「彼女は歌が好きだった。ある日、教会でお気に入りの賛美歌が歌われず、どうしても納得できなかったメアリーはすっくと立ち上がり大声で歌い始めた。帰りかけていたみんなはあっけに取られたが、しばらくして全員声を合わせて歌い始めた。すでにみんな彼女を止めるより従ったほうが楽だとわかっていたんだ。彼女は本当に歌が好きだった」
バッシュは、この歌のエピソードを聞いて初めて、涙を流すことができたのだ。
『アンという名の少女』
原題:Anne with an “E”
制作:2017年 カナダ
原作:L・M・モンゴメリ
製作総指揮:モイラ・ウォリー=ベケット
キャスト
アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)(上田真紗子)
マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)(一柳みる)
マシュー・カスバート(R・H・トムソン)(浦山迅)
ダイアナ・バリー(ダリラ・ベラ)(米倉希代子)
ギルバート・ブライス(ルーカス・ジェイド・ズマン)(金本涼輔)
レイチェル・リンド(コリーン・コスロ)(堀越真己)
ジェリー・ベイナード(エイメリック・ジェット・モンタズ)(霧生晃司)
Netflixシーズン1から3まで配信中
米光一成
(よねみつかずなり)ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学教授/日本翻訳大賞運営/東京マッハメンバー。代表作は『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』『BAROQUE』『はっけよいとネコ』『記憶交換ノ儀式』等、デジタルゲーム、アナログゲームなど幅広くデザインする。池袋コミュニティ・カレッジ「表現道場」の道場主。宣伝会議「編集ライター養成講座 即戦力コース」専任講師。著作『自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法』(日本経済新聞出版社)、『思考ツールとしてのタロット』(こどものもうそうブックス)等。
文=米光一成
https://news.yahoo.co.jp/articles/2a7d1ab5a56651c92ff4f5b6eed3063faa9aa3a3

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川瀬弘至 勝手に決めつけるな

2022-01-10 | ウチナー・沖縄
産経新聞 2022/1/9 15:00
南走平家をご存じだろうか。源平合戦に敗れた平家の一部が海を越えて沖縄へと落ち延び、壇ノ浦の戦いの2年後、1187年に「舜天(しゅんてん)王統」を築いた―とする説である。
平家の渡海伝説
舜天王統は沖縄で最初の王国とされる。ただし本当に実在したのか定かではなく、信憑(しんぴょう)性の高い説とはいえない。
もっとも、平家が海を越えたというのは荒唐無稽な話でもなさそうだ。源平合戦が終わった頃から、沖縄の文化が飛躍的に進化したからである。
11世紀までの沖縄は貝塚時代で、竪穴式住居の集落が点在する人口数万の島だった。ところが12世紀前後から堅固なグスク(城)が次々につくられる。人々の生活も漁労・採集中心から農耕へと変わった。
社会生活が急変した理由は謎だが、源氏に追われる平家がいたならグスクも農耕も説明できよう。実際、沖縄には「平」のつく地名が不思議と多い。平家の落人が沖縄に土着したと考える識者は今も複数いる。
ロマンのある話じゃないか。沖縄の人々が平家の血を引いているなんて…。
沖縄にはもう一つ、源為朝の子が王統を築いたとする説があり、琉球王国が正史に書き込んだため平家にまつわる伝承がことごとく封印されたとされる。史実かどうかはともかく、この分野の研究が進むことを期待したい。
だが近年、沖縄をめぐり、ロマンのかけらもない珍説が出てきたから困ったものである。
沖縄は「先住民族」?
珍説を唱えたのは国連だ。2008年10月、国連の自由権規約委員会が日本政府に対し、「沖縄の人々を先住民族として認めよ」と勧告した。
沖縄県民は普通の日本人ではなく、政府が保護すべき「先住民族」であるから、土地などを侵害してはならない―とする内容である。
いやいや普通の日本人ですよ―と、政府が否定したのは言うまでもない。すると10年から18年にかけ、同委員会や人種差別撤廃委員会が同様の勧告を4回も出した。
そもそも先住民族とは何か。
国連広報センターによれば、「世界のもっとも不利な立場に置かれているグループの一つ」であり、多くは「政策決定プロセスから除外され、ぎりぎりの生活を強いられ、搾取され、社会に強制的に同化させられてきた」人々と定義される。
加えて「自分の権利を主張すると弾圧、拷問、殺害の対象となった」とも。
仰天したのは当の沖縄県民だろう。自分を先住民族だと思う県民などほとんどおらず、県議会で議論されたこともないからだ。勝手に決めつけるなと、昨年11月には複数の市町村議員が議連を立ち上げ、国連勧告の撤回を求める運動も始まった。
この勧告の問題点については那覇市出身のジャーナリスト、仲村覚氏が近著「狙われた沖縄」で論証しているのでそちらに譲ろう。南走平家を持ち出すまでもなく、沖縄県民はDNA解析からも遺伝的に日本人であり、沖縄の方言には古い大和言葉が多数残っている。
ほくそ笑む隣国
問題は、いったい誰が、何の目的で、こんな珍説を国連に吹き込んだかだ。
昨年11月の地元紙に、国連勧告を支持する琉球大教授のコメントが掲載されていた。
「沖縄の自己決定権を認めれば、日本政府は(沖縄に)集中させている基地を維持できなくなる」
国政選挙という民主的プロセスではなく、国連という外圧によって、米軍基地をなくそうということなのか。
だが、この勧告にほくそ笑んでいる隣の大国の存在を忘れてはなるまい。
ちなみに中国は、もともと沖縄は日本ではなく、中国(明(みん))の藩属国だったという立場だ。もしも沖縄が日本から分離されれば、間違いなく中国に組み込まれ、県民は「先住民族」としてウイグル族と同じ扱いを受ける…。
おっと、正月の鏡開きもしていないのに、ロマンのない話はもうよそう。
沖縄は今年、祖国日本に復帰して50年の節目を迎える。基地問題をはじめ未解決の課題は多いが、次の50年までには、総理大臣も誕生するだろうと期待したい。
国に保護されるのではなく、リーダーとして国を引っ張る、平家の棟梁(とうりょう)のような人材が…。(かわせ ひろゆき)
https://www.sankei.com/article/20220109-GZ2ZHTP74NLCLMOHE4FMH7GUIE/

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