会員限定記事
北海道新聞2024年11月22日 5:00
全国から移住者が集まる北海道では、本州ではみられないような風習や慣習が多くあります。道外から北海道に来て、あるいは道外に住んでみて初めてその違いに気付く。当たり前だと思っていたけれど、実は「北海道ならでは」のものを集めてみました。
(ライター・藤森祐子)
あなたはおせち料理をいつから食べ始めますか? 元日? 大みそか?
おせちを大みそかの夜から食べる
本州では、おせち料理を元旦(元日の朝)から雑煮と一緒に食べるのが一般的―と聞くと、驚く人がいるかもしれません。古くから道民は、おせちを大みそかの夜に年越しそばと一緒に食べていました。
おせちは、奈良時代から宮廷で行われていた「節会(せちえ)」という行事に由来します。この宴で神様に供える「御節供(おせちく)」が江戸時代に大衆化され、黒豆や煮物、だて巻きなど日持ちのする正月料理のことを「おせち」と呼ぶようになりました。これは正月三が日は釜戸を守る荒神様を休ませるためとか、料理の際に出る「灰汁(あく)」は「悪」につながり縁起が悪いから新年の始まりは避けるためとか、諸説あるようです。
旧暦の頃は大みそかの夜からが新年
では、なぜ北海道では大みそかから食べられるようになったのでしょう。北海道博物館学芸主査(民俗)の尾曲(おまがり)香織さんによると、「旧暦の頃は、時間の感覚が現在と違っており、日が暮れると翌日になると考えられていました。大みそかも暗くなったらもう翌年のお正月でした。新暦が使われるようになっても、大みそかの夜におせちを食べる風習が北海道に残ったのが通説」と言います。なぜ、その風習が残ったのかは謎だそうです。
大みそかにおせちを食べる風習は、北海道のほか、東北、九州、四国の一部にあるそうです。ちなみに沖縄にはおせち料理はありません。
・・・・・・・